ミュンヘン(München Munich)には、映画『去年マリエンバードで』のロケ地となったニンフェンブルク城や映画『Uボート』で使用した潜水艦艦内に入ることができるババリア・フィルムシュタットと映画好きには必見の場所がある。
そして、ミュンヘン・レジデンツ内にある不気味でエスニックなグロット宮殿や異様でおどろおどろしい内装のアザム教会と隠れた面白い場所もたくさん。
また、バイエルンの中心都市で食材豊かでビールも音楽も美味しい。
ミュンヘンの博物館・美術館には、歴史博物館だけでなく、ドイツ全般の技術史を辿ることができるドイツ博物館とその分館(車、鉄道、航空機など)、BMWの博物館などがあり、技術立国ドイツを俯瞰して学べる。
そして、数多ある美術館の中には、王道のアルテ ピナコテーク以外に、大工芸博物館であるバイエルン州立博物館、象徴主義のベックリンを多数所蔵するシャック コレクションなどガイドブックには薄い記載ながら超おすすめ美術館もある。そして、各美術館をセット料金にしたお得なチケット コンビチケット(KOMBI-TICKETS)も是非活用したい。
● ミュンヘンへ / 空港から市内へ
● ミュンヘンの博物館
・ミュンヘン市博物館(Münchner Stadtmuseum)
・ドイツ博物館(Deutsches Museum)
・シュライスハイム航空館(Deutsches Museum Flugwerft Schleißheim)
・ドイツ博物館 交通センター分館(Deutsches Museum Verkehrszentrum)
・バイエルン州立博物館(Bayerisches Nationalmuseum)
・BMW博物館(BMW Museum)
● ミュンヘンの美術館
・アルテ ピナコテーク(Alte Pinakothek)
・レンバッハハウス美術館(Städtische Galerie im Lenbachhaus und Kunstbau München)
・シュライスハイム城(Schloss Schleißheim)/ バイエルン州立美術館
・ピナコテーク デア モデルネ(Pinakothek der Moderne)
・ブランドホルスト ミュージアム(Museum Brandhorst)
・シャック コレクション / シャック ギャラリー(Schack-Galerie)
● ミュンヘンの史跡
・ミュンヘン・レジデンツ(Residenz München)/ グロット宮殿(Grotto Courtyard)
・ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)
・アザム教会(Asamkirche)
・ババリア・フィルムシュタット(Bavaria Filmstadt)
● ミュンヘンの博物館/美術館ではコンビチケットがお得
・コンビチケット(KOMBI-TICKETS)セット料金について
● 美味しいミュンヘン
・ミュンヘンのビール Räuber Kneißl
・ミュンヘンのビール Augustiner Bräu とドイツ料理のレストラン Liebighof
・ミュンヘン中央駅そばの美味しいトルコ料理 Altın Dilim
● ミュンヘンでの音楽
・リヒャルト・シュトラウスの生誕の場所
・プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)
・ヘラクレス・ザール(Herkulessaal)
・バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
・ガスタイク(Gasteig, Philharmonie)
● ミュンヘンへ / 空港から市内へ
ミュンヘンに行く為に成田空港を発つ際は生憎の大雨に見舞われ空港へのアクセスやトランジットなど不安の多い旅立ちとなった。幸いトラブルには見舞われなかったが、この辺りの顛末は別記事『大空港の乗り継ぎ(トランジット)のミスとロストバゲージの恐怖』をご参照いただきたい。
トランジットのモスクワからミュンヘンまでは空路は3時間。短い時間ながら夕食がキチンと供され少々驚いた。ミュンヘン空港は予定通り夜遅く22時半に到着したが、荷物もすぐに受け取ることができた。
空港から町中心部へは、鉄道(Sバーン)を用いる。空港内の「S」の標識をたどって行けば、地下にある駅にすぐに到着できる。電車も遅い時間にも関わらず、間隔短く発着しているので、1時間もかからず、ミュンヘン中央駅に到着。
初日は夜も遅いのでアパート泊を避け、ミュンヘン中央駅から近いホテルを1拍で予約したので、徒歩で向かった。土曜日の夜だったが12時近くでも駅には人もたくさんおり、店もたくさん開いている。これなら日曜日にどの店もお休みになってしまうドイツでもなんとかしのげると安心した。
30年ぶりのミュンヘンに深夜到着。10月の終わりに欧州に来るのは初めて。もう冬の入口ですね。音楽の街、博物館の街でありながら、かなりのご無沙汰で明日からが楽しみです。
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 27, 2019
今日は遅い到着なのでホテル泊、明日からはアパート泊になります。フィンランド産の凶暴そうなウォッカが今夜のお供。 pic.twitter.com/Wl73cMmNkL
● ミュンヘンの博物館
・ミュンヘン市博物館(Münchner Stadtmuseum)
逗留先の都市の歴史博物館にはなるべく早い内に行き、歴史を知ってから街を歩くようにしている。ご多分に漏れず大都市かつドイツらしい立派な博物館で、郷土資料館というよりも、郷土資料に加えてお得意の収蔵品を加えた形。もちろんミュンヘンの歴史をおさらいがしっかりできる。ただ、凄いのは3階にある何万体ものの人形博物館、主に人形劇のものだが、からくりの説明から、造形の見事さ奇抜さに見入る。ドイツの紙芝居と言ったところか。上演の動画を見ていると子供たちの歓声と人形使いのボルテージの高さに引き込まれる。
ミュンヘン市博物館(Münchner Stadtmuseum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 2, 2019
郷土資料以外にもお得意の収蔵品を集めている。中でも3階にある何万体もの人形博物館は別格の凄さ。人形劇や見世物用、からくりの説明などがあり、各々の造形の見事さ奇抜さに見入る。ちなみに博物館の建物はとても立派で元武器庫、王室厩舎だったらしい。 pic.twitter.com/DvHlmcJRRw
エレベーターに乗ってみると、先ほど見たところのもう一つ上の階があるようなので、行ってみると巨大な楽器博物館となっていた。階段のアクセスがないので、このフロアは見逃しがち。古い建物は往々にして、こういう構造のものがある。ちなみにこの博物館の建物はとても立派で元武器庫、王室厩舎だったらしい。
その楽器博物館フロアだが、ここも広く今まで見てきた楽器博物館の中でも規模は最大級のひとつ、弦楽器などジャンル別に展示され、アジアの楽器も集められている。
ミュンヘン市博物館(Münchner Stadtmuseum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 2, 2019
階段では行けない4階は密かに広大な楽器博物館になっており、こちらもお見事。今まで見てきた楽器博物館の中でも規模は最大級のひとつ。アジアの楽器も多く、写真の大砲のような太鼓はタイの楽器らしい。 pic.twitter.com/RC4mYtDGGP
・ドイツ博物館(Deutsches Museum)
通常博物館は月曜日休みだが、ここは奇特にも開館、その為月曜日は少々混んでいた。ミュンヘンと言う内陸に位置しながらも船舶関係が充実、その他はエネルギーの発展史、ガラス、窯業等々あらゆる産業におよぶ。敷地はとにかく広く、解説をロクに読まずに徘徊しても4時間を要した。結局、数日後再訪し所要時間都合9時間ですべてを見終えた。
船舶関係の充実度はハンブルクの海事関係各博物館には劣るが、体系だって由緒ある博物館でひとまとめに見られるのはありがたい。そして、見事な船舶模型の数々は眺めてるのは、時を忘れるほど楽しい。
特筆すべきは採掘の展示。博物館地下に設置されている、いつ終わるともしれない地下の細い坑道を延々と歩かされる。その途中にちょっとした展示物がある。歩いていると息苦しくなるような、長い行程を歩かされ、これも展示趣旨の一環なのかもしれない。
ドイツ博物館(Deutsches Museum)の採掘ブース
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 5, 2019
いつ終わるともしれない狭い坑道を延々と歩く。所要時間10分以上、息苦しくなるような、暗くて長い展示。アップダウンも頻繁にあり、よくぞこんなものを博物館建物の地下に造ったな、と感心することしきり。入口がわかりにくいので最初の写真を参考に。 pic.twitter.com/p0xKflsZgx
ドイツ博物館(Deutsches Museum)のミニチュアが凄い。
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 1, 2019
とても小さな仕草ながら何をしているのかがわかり、表情までも。
もう一つ、ここで凄いのが地下の採掘の展示。博物館地下に、いつ終わるともしれない狭い坑道を延々と歩く。息苦しくなるような、長い展示。 pic.twitter.com/KgVNTEkW4Z
・シュライスハイム航空館(Deutsches Museum Flugwerft Schleißheim)
ミュンヘン中心からはSバーン1で40分ほど揺られ、駅を降りてからは20分ほど徒歩となる。ドイツ博物館の分館にあたり、ドイツ博物館で購入してあった共通券を使用した。ドイツ博物館の管理下なので正統派で展示方法も真面目。いきなり戦闘機がどーんと目の前に現れたりはしない(笑)。エンジン好きの自分には好ましいことに、大量のエンジンが剥き出しで展示されており、カットモデルも多数ある。更には飛行機のエンジン部分のカバーをご丁寧に外しているものも多い。
独特の機体をあえて集めているようで、どの機種も見応え十分。ドイツがVTOLジェット戦闘機(EWR VJ 101)を開発していたとはここで初めて知ったし、ドルニエ Do 31(Dornier Do 31)というVTOLジェット輸送機まで開発していた。また、広いハンガー内で複葉機(Otto-Doppeldecker)のレストアをおこなっており、楽しそうでよい仕事だなぁ、とその作業を眺めつつのんびりできる。
航空館の中にはコーヒー販売機付きのフリースペースがあり、持参したサンドイッチを食べた。田舎の博物館はカフェこそないが、こういったフリースペースがあるのがよい。
シュライスハイム航空館🇩🇪(Deutsches Museum Flugwerft Schleißheim)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 19, 2019
ドイツ博物館の分館で本格的、人間が飛ぶようになった歴史を丁寧に順を追って見せる。大量のエンジンを剥き出し展示、カットモデル多数、航空機はエンジンカバーを外して。ドイツのVTOL機など独特の機体も多く見応え十分。 pic.twitter.com/3nyophb8p9
・ドイツ博物館 交通センター分館(Deutsches Museum Verkehrszentrum)
こちらも航空博物館と同様でドイツ博物館の分館なので共通券入ることができる。建物は3つに別れ、自動車、オートバイ、鉄道の三種類を展示。毛色が変わった車両を中心に展示しているようだ。ミュンヘンの鉄道には可愛いマークが描かれている。これは市の紋章で修道僧だそう。そもそもミュンヘンの名の起源がMönch(僧侶)から来ている故とのこと。

都心内にこれだけ立派な交通博物館があるのは珍しい。大きな車両や列車などまで展示してあり、子供も夢中になっていた。こういった情景を見ると、今はもうない神田の交通博物館が懐かしく感じる。
ドイツ博物館 交通センター分館🇩🇪(Deutsches Museum Verkehrszentrum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 19, 2019
ドイツ博物館の分館。都心内にこれだけ立派な交通博物館があるのは珍しい。建物は3つで毛色の変わった自動車/オートバイ/鉄道を展示。大きな列車、分解モデルもあり子供達も夢中。かつて神田にあった交通博物館が懐かしむ。 pic.twitter.com/uWdo4JIqeZ
・バイエルン州立博物館(Bayerisches Nationalmuseum)
名称から判断不能だが実は工芸美術館でアルテ・ピナコテークよりも広く、工芸博物館としては一級品で内容も充実している。展示品は象牙、金細工、織物、陶器、タペストリー、キリスト教関係木彫、楽器、家具、ミニチュアなど多岐にわたり、各々が膨大な展示数。象牙や金物細工など加工のプロセスの動画も各ブースにあり、それがまた丁寧に仕上がっていて職人の手さばきを見ていて飽きない。また、地下に広がる人形ジオラマ群も凄い。こういう収蔵品を見るとミュンヘンはとことん奥が深い街と感じる。都合5時間弱の滞在でやっとすべてを見終えた。宝物を見るならレジデンツよりもこちらをお勧め。
バイエルン州立博物館🇩🇪(Bayerisches Nationalmuseum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 20, 2019
実は工芸美術館でアルテ・ピナコテークよりも広い。展示品は象牙/金細工/織物/陶器/タペストリー/キリスト教関係木彫/楽器/家具/ミニチュアなど多岐かつ膨大。博物館地下の人形ジオラマ群には圧倒される。宝物を見るならレジデンツよりお勧め。 pic.twitter.com/gv5UjmxJLT
・BMW博物館(BMW Museum)
一部改装工事中で過去のオートバイラインナップと古いエンジンの歴史が見られなかったのが心残り。総じてブランディングの上手さを感じる企業博物館。しかし、技術が躍進した戦争時代の展示が一切ないのと、本業だった航空機エンジンの展示が少ないのには疑問。ついでに、お向かいにあるBMW Weltなる巨大ショールームにも寄ってみた。バイクの新車も豊富に展示されており、固定されたバイクに誰でもまたがることができる。子供たちまで大きなBMWのバイクにまたがって楽しんでいた。ショップのグッズも豊富で,ここでもブランディングのうまさに舌をまく。
BMW博物館🇩🇪(BMW Museum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 20, 2019
ブランディングの上手さを感じる企業博物館。一部改装工事中だったが歴史、環境への取り組みなどを歩き回りながら俯瞰できる内容とつくり。お向かいのBMW Weltなる巨大ショールームは車が実際に走り、バイク展示も多く、ショップグッズは豊富で楽しめる。 pic.twitter.com/UPgod2tFhf
BMW博物館🇩🇪(BMW Museum)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 21, 2019
如何にもイタリアンな外見のイセッタ。周囲に貼られていた写真が各者各様で面白い。日常使いでも愛おしく、楽しそうなドライブでのハレの空間ぷりも素敵。 pic.twitter.com/6LeZiJX6Wp
● ミュンヘンの美術館
・アルテ ピナコテーク(Alte Pinakothek)
ミュンヘン訪問で一番楽しみにしていた美術館。訪れた時の特別展はヴァン・ダイク。ヴァン・ダイクは同作品を複数描いており、その比較がいくつか展示されている。中でも目を引いたのは「聖セバスティアヌスの殉教」の2枚。1枚は写真におさめたが、もう一方のほうは特別展中1点だけの撮影禁止絵画。気づかずカメラを構えたらスタッフに警告されてしまった。悔しいのでキャプションボードだけ撮らせてもらった笑。これによるとスペインのエル・エスコリアルの絵画館の収蔵品らしい。あそこは建物も美術品も大物の素敵なものが多く再訪したいところ。エル・エスコリアルは、当時も撮影禁止だったけれど、まだそれが続いているのだろうか。
ルーベンス『幼児虐殺』の母親たちの凄まじい形相が印象的。旅の都度、追いかけているブリューゲルもじっくり見る、ヒエロムニス・ボスも1点見つけた。尚、ノイエ・ピナコテークが改装中につき一部作品がこちらで展示されている。
アルテ・ピナコテーク Alte Pinakothek
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 29, 2019
ミュンヘンを30年ぶりに再訪する大きな理由がこちらでした。ここ数年、欧州の美術館を本格的に周りだし再訪したい一番手、やはり質量含めて最高峰の一つ。そして懐かしい画の数々、若い時の記憶は残っているものですね、今とは大違い(笑) pic.twitter.com/Zn8tBAutLe
ミュンヘンの美術館でカールおじさんを発見しました。 pic.twitter.com/bKz0Q9Ontx
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 30, 2019
直線の建物なので彼方が見通せる、通常はうんざりするが、素敵な絵画がふんだんにあるので気にならない。別日にもう一度訪問し都合9時間、それくらい時間を割いてもよい美術館。
・レンバッハハウス美術館(Städtische Galerie im Lenbachhaus und Kunstbau München)
若い頃に1度訪れて、カンディンスキーが好きになるきっかけとなった美術館、小ぶりで自分好みの美術館でもある。カンディンスキーやクレーの先生にあたるフランツ・フォン・シュトゥック(Franz von Stuck)のサロメ、副題にコンサートとついたカンディンスキーの作品はは30年間記憶に残っている。
つらつら画を眺めていて面白かったのは、カンディンスキーの恋人だったガブリエル・ミュンターが描いたカンディンスキーの素顔。ミュンター作「カンディンスキーとエルマ・ボッシ」(1912年)のカンディンスキーは、半ズボンなのであろうか、ちょっと茶目っ気がある。また、ミュンター作「MAN AT THE TABLE」(1911年)に描かれているのもカンディンスー。カンディンスキー本人も気に入った一枚だと言う。単純化されたパーツと構図が面白い。画には緊張感があるのにカンディンスキーはリラックスしているように見える。この美術館のカンディンスキー作品はミュンターが寄贈したもので、そのおかげで一大カンディンスキー美術館となっている。ただ、2人の末路はとても辛いので、これらの絵は2人の幸せだった日々に想いを巡らしながら観ることになる。
この美術館は本当に建物も素晴らしく、レンバッハさんの邸宅だった部分も残されており、これも美術館に雰囲気を加えている。どこもかしこも素敵すぎる建物と絵画で立ち去りたくないと想いから結局3周ほど回ってやっと後にした。尚、この美術館に訪れた際の受付窓口の客さばきが上手くいっておらず、たいした行列でもないのに20分待ちであった。どうもシステムが煩雑なようでチケットを1枚発券するのに随分と時間がかかる様子。観光シーズンは凄いことになりそうなので、多少余裕をもって行ったほうがよさそうである。
・シュライスハイム城(Schloss Schleißheim)/ バイエルン州立美術館
ここは旧館(Altes Schloss Schleißheim)と 新館(Neues Schloss Schleißheim)に分かれており、旧館は郷土資料館だがややしょぼい。新館はバロック絵画を中心に展示しており、バイエルン州立美術館。ここはアラン・レネ監督の『去年マリエンバートで』のロケ地のひとつでもある。お城なので、当然かなり広いのだが、なんと人がほとんどおらず、美術館を独占状態。『去年マリエンバートで』の映画内にいるようで、美術館に、こんなに人がいない経験は初めてである。
お城の美術館はどこもそうだが、薄暗く照明の当て方もいまひとつなので絵は見にくい。ただ、丹念に見ていくとレンブランドはもちろん、グレコ、プッサン、ホセ・デ・リベーラにカラバッジョ(?)まである。一人で美術館兼お城をウロウロできるのはそうないので、ついつい王様気分で長居をしてしまった。
シュライスハイム城(Schloss Schleißheim)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 3, 2019
こちらの新館はバロック絵画中心のバイエルン州立美術館。アラン・レネ監督の『去年マリエンバートで』のロケ地としても有名。驚いたことに人がほとんどおらず、美術館全部を独り占めで映画の世界に迷い込んだよう。名画を独占し、すっかり王様気分で長居。 pic.twitter.com/HTCeLAXOxu
・ピナコテーク デア モデルネ(Pinakothek der Moderne)
ここはアルテ・ピナコテークで購入したコンビチケット(5館共通)共通券が使える。建物がモダンの極みで大きな箱にも関わらず、どの方向をみても切れ味鋭いデザイン性を感じる。
とてもよかったのがドイツの近現代の絵画展示。各部屋が「青騎士」、「ブリュッケ派」、「第一次大戦時のアーティスト」、「バウハウスと構成主義」、「ナチス下のアーティスト」とわかれており、各々に相当数の作品が展示されていて、俯瞰してドイツ近現代を観ることができる。ブリュッケのキルヒナーには一部屋あてがわれていた。ミュンヘンで活躍した人ではないので意外であり、まとめて観る機会が少ない人なのでありがたい。
今年はバウハウスは開校100周年なのであちこちで特別展をやっているらしいが、ご多分に漏れずミュンヘンでもということか、バウハウスの企画展をやっていた。展示数こそ多いが、残念ながら特筆すべきような展示はなかった。
・ブランドホルスト ミュージアム(Museum Brandhorst)
ピナコテーク・デア・モデルネのお隣、アルテ・ピナコテークなどのコンビチケット(5館共通)が使える。ここは比較的新しくできた現代アートの美術館、サイ・トゥオンブリ(Cy Twombly)の大作が集中的に展示されていた。この方、すでにかなり著名な方らしい。こういう作品に触れられるのは、欧米の大都市の現代美術館に行くしかないし、やはり建物が大事と痛感。どの部屋も天井高が異様に高く、設計時の志の高さがうかがえる。
ブランドホルスト・ミュージアム🇩🇪(Museum Brandhorst)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 21, 2019
比較的新しい現代アートの美術館。サイ・トゥオンブリ(Cy Twombly)の大作が集中的に展示されていた。モダンアートの大作の場合、やはり建物が大事と痛感。どの部屋も天井高が異様に高く、設計時の志の高さがうかがえる。 pic.twitter.com/tC0CuLj49e
・シャック コレクション / シャック ギャラリー(Schack-Galerie)
アルテ・ピナコテークなどのコンビチケット(5館共通)が使える。建物は邸宅を美術館にしたようなしつらえ。手頃なサイズの美術館で自分好み。ここもほとんど客がおらず、訪れた時は「屋敷の主」状態。アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin)の作品が大量にあり、まとめて見られるのが嬉しい。古い屋敷にベックリンの夢うつつの世界を彷徨う。幻想的な世界がなじみ、居心地がとてもよい美術館。そして、邸宅を貸し切ったような贅沢さ。
シャック・コレクション🇩🇪(Schack-Galerie)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 21, 2019
大邸宅を美術館にしており、とても落ち着く空間。アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin)の作品が大量にある。古いお屋敷にてベックリンの夢うつつの世界を彷徨う。幻想的な世界がなじみ、居心地がとてもよい美術館。邸宅を貸し切ったような贅沢さ。 pic.twitter.com/LlC3Rzy6Iw
● ミュンヘンの博物館/美術館ではコンビチケット(共通チケット)がお得
・コンビチケット(KOMBI-TICKETS)セット料金について
以下の美術館はコンビチケット(KOMBI-TICKETS)なるセット料金が設定されているので、網羅的に巡る方にはお得。但し、日曜日特別料金 1 ユーロがあったり特別展は別料金、休館によりお得でなかったりするので事前確認が必要である。尚、バイエルン州立絵画コレクションのデイパス(1日に5つの博物館すべて)と言うのがあるがどちらもそこそこの広さなので移動時間を考慮すると現実的ではないのでご注意を。
・バイエルン州立絵画コレクション
アルテピナコテーク 、 ノイエピナコテーク(休館中)、 ピナコテークデア モデルネ 、 ミュージアムブランドホルスト 、 シャックコレクション
・市立博物館
ミュンヘン市立博物館 、 ミュージアムヴィラスタック 、 レンバッハハウス 、 ユダヤ博物館ミュンヘン 、 ナチス資料センター
・宮殿
ニンフェンブルク 、レジデンス、シュライスハイム
・ドイツ博物館+2つの分館
・人と自然と植物園の博物館
ミュンヘンの博物館/美術館🇩🇪ではコンビチケット(共通チケット)がお得
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 23, 2019
ピナコテークなどバイエルン州立絵画コレクション/レンバッハなど市立博物館/各宮殿/ドイツ博物館+分館/人と自然と植物園の博物館
これらにはセット価格が設定されているので、網羅的に巡る方にはお得。https://t.co/p793wLj7wX pic.twitter.com/reZot40BkY
● ミュンヘンの史跡
・ミュンヘン・レジデンツ(Residenz München)/ グロット宮殿(Grotto Courtyard)
コンサートホールのヘラクレス・ザールと同じ建物にある。王宮関係はあまり見てまわらないのだが、ちょっと禍々しい感じがするグロット宮殿(Grotto Courtyard)を見たくて出向いた。チケット売り場に並ぶとコンビチケットがあり、宝物殿を追加4ユーロで見られるというので、こちらもついでに入ってみた。
宝物殿は金細工の施されたまばゆい品々でいっぱいだが、つい目が精緻な小物類に行く。王族たちが使ったはさみやスプーン、砂時計など精巧なデザインで興味深いものがかなりある。
宮殿には宝物殿とは別の入口から宮殿に入る。グロット宮殿は入口から入ってすぐのところにあった。貝殻で装飾され、エスニックな雰囲気も漂う奇っ怪な宮殿、「グロッタ」とは洞窟を意味する。この洞窟のコンセプトはイタリアやフランスに以前からあったスタイルで、貴族たちは庭園にわざわざ人工の海底洞窟や鍾乳洞を模したものを造った。彼らはそこで宴会をひらいたり、愛を交わす密会場所として使ったらしい。また、母胎をイメージさせることから婚礼の場としても使われたようだ。この文化が後にミュンヘンに流入したとのことである。
宮殿らしく圧倒的なのはタペストリー類。タペストリーは見逃しがちだが一度ハマってから、なるべく丁寧に見るようにしている。石造りの建物で保温機能を備えた壁紙のようにも使われていたタペストリー。王宮を飾る物だから当然手がかかるものであり、細工も微細で見事なものが多い。今回は食肉解体等の市井の暮らしぶりがわかるような珍しいテーマのものをいくつか見かけた。
部屋を回っているとロングコースとツアー客向けのショートコースを選べる矢印がある。余裕があるのでロングコースを選んだところ、その広いこと!結局、王宮をまわるだけで1時間以上要する。
ミュンヘン・レジデンツ🇩🇪(Residenz München)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 22, 2019
貝殻で装飾され、エスニックな雰囲気も漂う奇っ怪なグロット宮殿目当てで訪ねる。アンティカリウムも素敵だが、細工の見事な王族の日用品や圧倒的なタペストリー類など見所満載。 pic.twitter.com/OfyLPkHo6H
・ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)
ここも映画「去年マリエンバードで」のロケ地であり、映画では庭園がとても印象的に使われていた。都心から路面電車で15分ほど揺られ、そこから住宅街を抜け徒歩10分ほどで到着する。大きな敷地のお城なのに都心部からとても近い。
お城の端に到達するとそこが馬車博物館だったので、まずはこちらを見学する。歴代の王の乗り物なので豪華絢爛なのだが、つい馬車下の足回りなど駆動部分に目が行く。最高権力者の乗り物であるから当然当時の最先端技術のはずで、その視点からだと馬車の発達史が楽しめる。また、冬に馬車の代わりに使うそりも多く展示されており、屋根もなくさぞかし寒かったと思われる。
馬車博物館を出て本館に行ってみると団体観光客が非常に多い。ガラガラだったシュライスハイム城とはうってかわって、通路もあちこち渋滞している。都心から近く観光バスでも乗り付けられるので大賑わいなのだろう。しかし、お目当ての庭園へ行くと、広大すぎて人もまばら。美しい幾何学的な庭園を巡りながら映画のイメージを重ねてみた。
庭園を散策した後は本館には戻らず、そのまま城の横の公園を散歩しながら、帰路につくことができる。市民が普段使いしている のどかさと木々が美しい公園なのでついでに立ち寄るのも良い。
ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 22, 2019
映画「去年マリエンバードで」のロケ地、美しい幾何学的な庭園を巡ると映画のイメージが重なる。歴代の王が使った馬車の博物館は当時最先端技術であった車体や足回り等の発展史としても面白い。馬車の代替の冬季用ソリも多種多様、屋根もなくとても寒そう。 pic.twitter.com/j7ZXpws917
・アザム教会(Asamkirche)
目立たないながらマリエン広場からも近くミュンヘンに来たら必見の建物。あまりに普通の教会と異なる異様な雰囲気に圧倒されること間違いない。
アザム教会🇩🇪(Asamkirche)
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 23, 2019
白眉だったのは「異世界への扉」と呼ばれているバロック様式の教会。建築家だったアザム兄弟が私的使用目的で建立と言うだけでも驚き。小ぶりな教会内に凝縮された独善設計とおどろおどろしい装飾の調和が見事。外扉が閉ざされ認知度も低い為か、素敵な空間を独占できた。 pic.twitter.com/4lEyD8gvYY
・ババリア・フィルムシュタット(Bavaria Filmstadt)
ミュンヘン郊外に映画村がある。その体裁が風変わりで面白い、本格的な撮影スタジオ建物群の合間にアトラクションを点在させてあるのだ。つまり、映画関係者も歩き回るスタジオ敷地内をガイドに連れられて、見学して回る形になり、自分が映画関係者になったかのような気分にさせられる。スタジオ内を練り歩き、オフィスやスタジオの日常が垣間見られるアットホームな感覚が楽しいのだ。
そして、ここには 1982年に公開された映画『U・ボート』(Das Boot)のセットがそのまま保存されており、撮影所ツアーの目玉施設となっている。
ババリア・フィルムシュタットの詳細については、以下のブログ記事「映画村”ババリアフィルムシュタット(Bavaria Filmstadt)”で 名作映画『U・ボート』(Das Boot)のセットを見学する / 強力推薦! ドラマ版『U・ボート TVシリーズ完全版』」をご参照ください。
● 美味しいミュンヘン
・ミュンヘンのビール Räuber Kneißl
1556年設立のマイザッハ醸造所(Brauerei Maisach GmbH)のビール、色濃く風味豊かで、是非試していただきたい。
\\美味しいミュンヘン//
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 16, 2019
ミュンヘンのビール「Räuber Kneißl」。強盗クナイスルの名前がつけられたダークビール。クナイスルはバイエルンのロビン・フッドで、反権力の人気泥棒だったらしい。麦芽の香り強く、ちょい甘めで美味しい、ラベルデザインも素敵。 pic.twitter.com/TSl3eYJ1p2
・ミュンヘンのビール Augustiner Bräu とドイツ料理のレストラン Liebighof
Augustiner Bräu は、1328年設立のミュンヘンで最も古い醸造所、ホップの香りが豊かで美味しい。このビールをいただいたドイツ料理のレストラン Liebighof はバイエルン州立博物館そばでバイエルン国立歌劇場やヘラクレスザールから1kmほど。ドイツ料理を楽しんでドイツ音楽を楽しむのにも丁度良い。お店は開店して30分ほど過ぎると、あっという間に満席になった。お手頃なお値段とビールの美味しさから、その人気もうなずける。
\\美味しいミュンヘン//
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 17, 2019
せっかくなのでドイツ料理をと、オペラ観劇前に地元民も多そうな店 Liebighof へ。
ダークビールのグレーヴィソースのかかった肉団子に炒めたキャベツと焼いたポテト。ビールは Augustiner Bräu、1328年設立のミュンヘンで最も古い醸造所、ホップの香りが豊かで美味しい。 pic.twitter.com/Bg79nIQLC8
・トルコ料理 Altın Dilim @ミュンヘン中央駅そば
味のバリエーションが豊富なトルコ料理、野菜をたくさん摂ることもできるし、お米もあるので、いささか一本調子なドイツご飯の中では貴重。ドイツはトルコからの移民も多く、お味は本格的。
\\美味しいミュンヘン//
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 17, 2019
庶民的な雰囲気でご飯をパクつけるトルコ料理屋さん。この日はトルコ料理の定番、ピーマンの肉詰めをいただきました。サラダとパンも追加できます。野菜もたくさん採れるのがトルコ料理の魅力ですね。 pic.twitter.com/WsRubAxC5T
借りたアパート周辺はトルコ人街隣接で美味しい食材や定食屋さんが多い。
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 3, 2019
こちらはパプリカの味わいが素晴らしい一品。鶏も大きいですね。向かいのトルコ人の若者はお肉を丁寧にバラして、ご飯と混ぜてスプーンで食べていました。
@Altın Dilim ミュンヘン中央駅そばのお店です pic.twitter.com/JwpD8m8Qqt
・中央駅付近は食材充実で自炊に便利( City Aparthotel München )
今回逗留したシティ アパートホテル ミュンヘンのキッチンは小さいながらも煮物程度なら必要充分。この辺りの食料品店はスーパー含めて量り売りなので、これくらいのキッチンがあれば、1人鍋やスープを作ったりできる。また、ドイツはチーズやハムなど加工肉が充実しているのでサンドイッチも各種作ることができる。

ちなみに シティ アパートホテル ミュンヘン のお部屋は旧市街外観に面していて明るい良い部屋であった。洗濯機も完備しており、トイレはウォシュレット付、カールスプラッツにも近い立地も考慮すると、かなり快適なアパートホテルである。

\\美味しいミュンヘン//
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) December 18, 2019
ミュンヘン中央駅近辺には盛況値頃な八百屋、肉屋がたくさん。Viktualienmarktが割高に感じる。そしてKarlsplatz辺りは普段使いスーパーや自然食系スーパーもある。どこも量り売りで手頃な数を購入可。白ソーセージとキノコ炒めでワインをひっかけ、オペラ前に腹ごしらえ。 pic.twitter.com/3wodDXPKXE
● ミュンヘンでの音楽
・リヒャルト・シュトラウスの生誕の場所
場所はPschorr Garage というパーキングビルで、住所は Altheimer Eck 16, 80331 München 。
リヒャルト・シュトラウスの生家跡だそうです。大きなパーキングビルの角にひっそりと痕跡が。@Altheimer Eck 16, 80331 München pic.twitter.com/nZ5wzDe0VM
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 27, 2019
・未完のワーグナーの祝祭劇場案CG@ミュンヘン市博物館 (Münchner Stadtmuseum)
ミュンヘン市博物館には、上階の楽器博物館フロアとは別に、ミュンヘン史としての小さな音楽ブースがある。当時のミュンヘンの音楽環境を知るにちょうどよい。
ミュンヘン市博物館で見たワーグナーの祝祭劇場案のCGが面白かった。ドレスデン歌劇場を設計したゼンパーが、ルートヴィヒ2世よりミュンヘンに建てるよう依頼されたもの。かなり物々しくて完成していたら、さぞかし迫力ある劇場だったと思う。 pic.twitter.com/S1e6IMpbdf
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 28, 2019
・ザビーネ・マイヤー/ ミュンヘン放送管弦楽団 @プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)
このコンサートは、夜のコンサートと思いきや、マチネだったことに気がつき、慌ててタクシーに飛び乗った。途中、おしゃべりで前向きな運転手が気を遣ってくれる。「すぐに着くから大丈夫」と運転手に励まされ続ける展開。ただ、ミュンヘン中心部を横断するルートにあたり、なかなか到着しない。運転手の奮闘のおかげでなんとか休憩時間に滑り込むことができた。古い劇場なのでファザードには馬車用のスロープがある。なんとこのスロープを駆け上がって劇場の前に停めてくださった。気分はルートヴィヒ2世。
ちなみにこの劇場は、ミュンヘン市博物館の展示にあったルートヴィヒ2世が渇望したワーグナーの祝祭劇場案が廃案になり、ワーグナー上演用の代替のオペラ劇場が欲しいとのことで1901年に造られた。散々ワーグナー家と揉めたようで完成は遅れ、実はルートヴィヒ2世は完成した劇場を見ていない。
当日のコンサートでは、クラリネットのザビーネ・マイヤーさんがウェーバーの権威らしく、前半のそれを聞き逃したのが残念だが、後半のクラリネットとバセットホルンのためのコンツェルトシュテュックと真夏の夜の夢を聴くことができた。オーケストラはミュンヘン放送管弦楽団とマイナーだがまあ本場なので、破綻なく放送局の楽団らしく的確な演奏。
プリンツレーゲンテン劇場の音響は無難な部類で奏者と客席が近いので悪くはない、元はオペラ劇場として設計されていたのけどコンサート用としても十分な箱。豪華絢爛な装飾が演奏に華を添えるので休みの日のマチネなんかにはゆったり最適な気分のコンサートとなる。
Münchner Rundfunkorchester
Sabine Meyer, Klarinette
Reiner Wehle, Bassetthorn
Ivan Repušić, Leitung
ザビーネ・マイヤーさん@プリンツレーゲンテン劇場
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 27, 2019
ホール音響は月並みながら、装飾の絢爛さが良き音楽と交わり至福。
本日、日曜日はMünchen Ticket のチケット発行代理店はすべてお休み。チケットなしだが、劇場にて予約確認書(メール印刷)で入れてくれてホッとする。土曜の深夜便着はちょっと危険。 pic.twitter.com/fQaFYg1NW2
・ヘレヴェッヘ/シュターツカペレ・ドレスデン @ヘラクレス・ザール(Herkulessaal)
ヘラクレス・ザールは録音盤も多いので、1度現地を訪れてみたかった。録音にも適した均等な響きのよい音響、自分好みで気に入った。
演目は ヘレヴェッヘ/シュターツカペレ・ドレスデンのオールモーツァルト。ヘレヴェッヘのモーツァルト演奏は安定の古楽奏法、ギリシャの神々に囲まれて聴く39.40.41番、特に41番はサブタイトルが「ジュピター」なので、このホールとベストマッチ(笑)。
Sächsische Staatskapelle Dresden
Philippe Herreweghe, Leitung
ヘラクレス・ザールは録音も多く1度訪れてみたかったホール。ブレーメンのGLOCKEや楽友協会ほど温もりある響きではなく、やや硬質で楽器の音色を楽しめる残響で気に入った。ヘレヴェッヘ/シュターツカペレ・ドレスデンのモーツァルトは安定の古楽奏法、ギリシャの神々に囲まれて聴く交響曲39.40.41。 pic.twitter.com/lVl25ohdiD
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 30, 2019
・プッチーニ:トスカ @バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
旅程優先でロクに調べもせずにチケットを購入したので、実はバッティストーニが指揮とは登場するまで知らず、出てきて驚いた次第。バッティは例によって大ぶりな指揮でオケを鼓舞するのだけど、そこはミュンヘンの古株奏者の方々、易々とはのらない感じ。しかし、こうしてハルテロスなんかが普通に歌っているのを聴けるのだから、本場は本当に凄い。
Giacomo Puccini: TOSCA
Musikalische Leitung: Andrea Battistoni
Floria Tosca: Anja Harteros
Mario Cavaradossi: Stefano La Colla
Baron Scarpia: Željko Lučić
Cesare Angelotti: Markus Suihkonen
Bayerisches Staatsorchester
Chorus and children’s chorus of the Bayerische Staatsoper
バッティストーニの火の玉トスカ@バイエルン歌劇場
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) October 31, 2019
ほとばしる汗のバッティ、1幕ラストは凄まじい熱量。ステファノ・ラ・コッラはハリある声で拍手喝采。ハルテロスはやや上品すぎるも声量豊かで素晴らしい。バイエルンの歌劇場、久々だけど音響よいオペラ座なのですね。空間が声と音に満ちて私好み。 pic.twitter.com/FwZ9xxl5xX
・バレエ:不思議の国のアリス @バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
シリアスだったり、いかついクラシックばかりではなく、たまにはこういったキュートなバレエを見て家路につくのもよい。
Joby Talbot Alice’s Adventures in Wonderland
Musikalische Leitung: Myron Romanul
Alice:Maria Chiara Bono
Carroll / weißes Kaninchen: Javier Amo
Jack / Herzbube: Alexey Popov
Mutter / Herzkönigin: Prisca Zeisel
Soloists and corps de ballet of the Bavarian State Ballet
Bayerisches Staatsorchester
バイエルン国立歌劇場でバレエ『不思議の国のアリス』
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 1, 2019
新国立劇場でも評判のクリストファー・ウィールドン振付。
ストラヴィンスキーに似た楽曲もよいし、演奏も巧み、チェシャ猫はそうきたか笑。
クリスマス前におとぎ話のバレエ、寒い夜にほんのりするお話で、外は冷え込む今の欧州にぴったり。 pic.twitter.com/RPVtb6LJqg
・ベートーヴェン:フィデリオ @バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
ベートーヴェンの「不滅の恋人」、彼女に宛てられた手紙が書かれたテプリツェを旅程に組み込んでいたので、この上演はタイミングがよかった。その「不滅の恋人」の手紙が書かれたのが1812年、演目の「フィデリオ」の初演が1814年で作曲は丁度「不滅の恋人」と同時期。この機会に苦手なフィデリオをしっかり聴くことができてよかった。
Beethoven FIDELIO
Don Fernando: Edwin Crossley-Mercer
Don Pizarro: Michael Kupfer-Radecky
Florestan: Klaus Florian Vogt
Leonore: Emma Bell
Rocco: Günther Groissböck
Musikalische Leitung: Stefan Soltesz
Bayerisches Staatsorchester
Chorus of the Bayerische Staatsoper
盛り上がりに欠け苦手なオペラ「フィデリオ」をバイエルン国立歌劇場で。
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 3, 2019
さすが名門オペラハウス、テンション高く最後まで楽しんだ。後半のフォークトさんの聞き惚れるほどの美声のおかげもある。
今回は3階席。横が立ち見席で以前ここで見たことを思い出す。サバリッシュ/ロッシーニ/モーゼだった。 pic.twitter.com/g5JnQGmvay
・ランラン/ホーネック/ピッツバーグ響@ガスタイク(Gasteig, Philharmonie)
ホーネックはデイビス/ロンドン響の代役とムーティ/シカゴ響の代役で聴き、昨年はSKDでも。自分には注目株の指揮者のひとり、今回は手兵のピッツバーグ響との演奏を聴くことができ、うれしさも倍増した。
Mozart: Konzert für Klavier und Orchester Nr. 24 c-moll KV 491
Bruckner: Symphonie Nr. 9 d-moll
Pittsburgh Symphony Orchestra
Lang Lang, Klavier
Manfred Honeck, Leitung
ランラン/ホーネック/ピッツバーグ響@ガスタイク
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 4, 2019
モーツァルト27番協奏曲は悪魔的で迫り来る演奏、ランランは打鍵柔らかでダイナミックレンジ広く、とても饒舌。ブルックナー9番、オケは意外や欧風の音で弱音も綺麗な腕達者、名演。リファレンスレコードのファンとしては今後も楽しみな組み合わせ。 pic.twitter.com/ogvCiOV8GY
そして、30年ぶりのガスタイク再訪しての、その音響はやはりイマイチ。よくぞここであの響きの饒舌なチェリビダッケが指揮をし続けてくれたと感心する。
ガスタイクの音響
— ごーふぁー 🇵🇱🇨🇿🇩🇪 (@juntaniguchi) November 4, 2019
改善のせいか酷すぎることはない。ただ、低い位置の反射板など苦肉策が多いのだろう。反射板の下の楽器音が上に立ち昇らない等もあってバランスを欠く響きで音源も遠く感じる。そして、やはりホールが鳴っていない。最後の写真は30年前ペンデレツキ/MPO時のもの、反射板はなかった。 pic.twitter.com/hBgiSeA75r