前回からの続き。サザンアルプス山脈を再び越えて、西海岸から東海岸のクライストチャーチに戻る。
途中のアーサーズ・パス国立公園では景観の素晴らしい 「翡翠街道」を走り、バイク乗りの間でも有名なニュージーランド名物のパイ専門店を訪れた。
クライストチャーチに到着してからは、オートバイの足の良さを生かして、郊外に点在するニュージーランド空軍博物館やウィローバンク動物園、そして、あちこちのスーパーマーケットで買物を楽しんだ。
● 「翡翠街道」とも呼ばれるアーサーズ・パス国立公園(Arthur’s Pass National Park)の道を走る
● スプリングフィールドのパイ専門店
● ニュージーランド空軍博物館(Air Force Museum of New Zealand)
● ウィローバンク野生動物保護区(Willowbank Wildlife Reserve)
● クライストチャーチのモールで買い物&食事
Greymouth→Arthur’s Pass→Springfield→Christchurch 286km
● 「翡翠街道」とも呼ばれるアーサーズ・パス国立公園(Arthur’s Pass National Park)の道を走る
本日はクライストチャーチに戻るだけ、走行距離も短いので、のんびり8時半くらいに出発。午前中はアーサーズ・パス国立公園をゆっくり眺めながらサザンアルプス山脈を越える。距離にして200kmほどの山道を流すように走る。東海岸と西海岸を結ぶこのルートは先住民族が古くから活用しており、現在は国道73号線となっている。また、西海岸から翡翠を運ぶ為に用いられたことから「翡翠街道」とも呼ばれている。
アーサーズ・パス国立公園は大自然が拡がり、トレッキングなどが盛んな公園だが、公園内を横断するこの道をオートバイで走るだけでもかなり楽しい。
● スプリングフィールドのパイ専門店
バイク乗りにはとても優しいのがニュージーランドである。内気な方が多いので、アメリカ人のように盛大なお出迎えこそないが、いかなる場所でもバイク乗りを鷹揚に迎えてくれる。
例えば、サザンアルプス山脈を越え山道を抜けたところにあったスプリングフィールドという小さな街。そこで給油した際、ふと前を見るとパイの専門店があることに気がついた。入店してみると、老夫婦が経営しているこぢんまりとした店内に、焼きたてのミートパイの良い香りが立ちこめている。お客はまばらながらお店はアットホームで良い感じ。老夫婦の接客もおっとりと丁寧で、とても良い雰囲気であった。
早速パイをいただいてみると、これがとても美味しく。聞くところによると賞をいくつか受賞したパイのようだ。パイの種類も豊富で胡椒の効いたビーフ、ラムと香草、挽肉とチーズなど、お店の雰囲気と美味しさゆえに、つい食べ過ぎてしまった。
後になってレンタルバイク店で聞いたのだが、ここはバイク乗りの間でも有名なパイ屋なのだそうだ。ただ、近年ご近所トラブルがあり、こちらの店は退店を余儀なくされてしまったらしい。パイの味もバイク旅の思い出としても、良い印象をもっていたお店なので残念なことだ。
● ニュージーランド空軍博物館(Air Force Museum of New Zealand)
南島をバイクで一周して、やっとクライストチャーチにもどってきた。バイクをレンタルしている足回りの良さを活用して、まず向かったのはニュージーランド空軍博物館。ニュージーランド空軍は現在、戦闘機も持たない小規模軍隊だが、かつての戦歴は立派で第二次大戦では多くのパイロットを輩出している。それ故に空軍博物館も立派である。
近くまでも来ると、入口には映画の零戦役で有名な T-6 テキサン(North American Harvard / T-6 Texan) が迎えてくれるので、場所はすぐにわかる。
建物は大戦中に格納庫だったそうで、広い展示スペースに機体が並ぶ。輸送機のダグラスC-47(Douglas C-47 Dakota)は、珍しく VIP機として使用されていたものが展示されている。
第二次大戦後すぐに配備されたデ・ハビランド バンパイア(De Havilland D.H.100 Vampire F.B. Mk.5)、2000年を境に縮小傾向にあったのでジェット機は旧型機ばかりが展示されている。
ロールス・ロイス マーリン エンジン(Rolls-Royce Merlin MK25)、 液冷V型12気筒ガソリンエンジンで、この型番は木製の戦闘爆撃機 デ・ハビランド モスキート(de Havilland Mosquito)に搭載されていた。第二次大戦中は英国空軍と行動を共にしていたので英国機が多く供与されていた。
こちらはキーウィ(Kiwi)マークのダグラス A-4 スカイホーク(Douglas A-4 Skyhawk) 、国鳥とは言え、飛べない鳥をシンボルにするのは如何かなとも思うが、キュートなマーク。スカイホークは長年ニュージーランドの主力機だったが現在はすべて引退している。
● ウィローバンク野生動物保護区(Willowbank Wildlife Reserve)
クライストチャーチ近郊には小さな動物園がある、中心から少々離れているので、バスなど乗り継いでいくような形になるが、オートバイやレンタカーがあるとちょいと便利な場所だ。
主にニュージーランドの固有種の鳥が中心でキーウィもいる。また、基本的に鳥も動物も放し飼いで餌もやれるのが楽しい。
動物たちは豚やロバなど一般的な動物が多いが動物たちとの距離がとても近いのと、ニュージーランドらしく、どの動物もストレスなくのんびりしている感じがする。
そして、こちらの動物園の白眉であるキーウィ(Kiwi)は、出口そばの最後の建物にいる。もともと夜行性の為に部屋は真っ暗で、目が慣れるまでなにも見えないほど。目が慣れると赤い光でなんとなく景色が見えるが、部屋は広く、キーウィの動く音であたりをつけないとなかなか見つけられない。草の陰にやっと輪郭を把握できる感じであった。
キーウィの卵は大きくて有名で親鳥の重量の4分の1(約400g)ほどあり、2か月半も孵卵に時間をかけると言う。ここでは孵卵器の中キーウィの卵を見ることができ、転卵や孵卵温度の解説があった。
● クライストチャーチのモールで買い物&食事
クライストチャーチにはたくさんのスーパーやショッピングモールがある。お土産用を買うにも、地元の方々が普段使いしているものであれば、空港などで購入するよりも安心できる上に安い。蜂蜜やバター、チーズなどのお味は、ニュージーランドではお墨付きであるし、スーパーでは選択幅も広い。
いくつかスーパーマーケットをまわった後、モールの ウェストフィールド・リッカートン(Westfield Riccarton)にも立ち寄った。ここは、唯一夜遅くまでやっている。アパレルショップもいくつか入っており、ニュージーランドのオリジナルブランドの商品などを眺めるのも楽しい。ファッションセンスが少々ズレており、のどかな国民性が影響しているのか、流行とは無縁のような感じである。
また、このモール内にも大きな安売りスーパーがあった。お肉のパックのしかたが面白い。これで一日分なのか、幾種類の肉がひとつのパッケージに収まっている。また、海に囲まれた島国なので当然お魚もしっかり販売している。
そして、スーパーをうろうろしていると、噂には聞いていたが、本当に裸足の方々がいる。ニュージーランドでは子供は大半が裸足で、大人の方も素足で街を歩いている人を度々見かける。
泊まりは空港そばのホテルにしたので、自炊はできない。美味しそうなスーパーの食材を前に残念だがモール内で食事をすることにした。こちらに来ての初めての豚肉。例によって盛りつけは、ダイナミックすぎるのがニュージーランド風。ただ、野菜の風味がしっかりしており美味しい。グレービーソースに、アップルソースと甘めのサツマイモ、南瓜がローストしたポークに合っている。(次回に続く)