海外ツーリング-フランス編 2 / ルーブル美術館に次ぐと言われる コンデ美術館で「世界で最も美しい本」とド・トロワ「牡蠣の昼食」を愛でる

前回からの続き、コンピエーニュの森の後は、これまた以前から行ってみたかったシャンティイ城(Château de Chantilly)内のコンデ美術館(Musée Condé)へ。なにせルーブル美術館に次ぐ、との触れ込みの美術館。お城の中に素敵な美術館があり、かつてのオーナーの意向で収蔵品の外部貸出しが禁じられているとなれば、観る機会はなかなかない。現地に出向かなくては、こちらの貴重な写本やラファエロは拝めないのだ。

・広いシャンティイ城敷地を巡りコンデ美術館 へ

オートバイをお城入口の門の手前に路上駐車する。そして、広い庭園を横切り、オーマル公の居城であった館へ徒歩で向かう。

オーマル公の居城 @ Château de Chantilly – Musée Condé

館の中に入るとミニベルサイユと言った趣の豪華なしつらえの部屋が並び凄まじい蔵書数の図書室がある。こちらには、パリ国立図書館に次ぐ5万冊の蔵書があるらしい。

図書室@Musée Condé

この図書館のしつらえも見事だが、とりわけの見所は、世界で最も美しい本と言われる「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」。この絵は、ラピス・ラズリや昆虫の色素など高価な顔料をふんだんに塗り重ねて描かれ「フランスの宝石」と言われていたとのこと。また、美しいだけでなく、中世の人々の暮らしぶりがわかる細密画がたくさんあり、そのような意味でも興味深い。
15世紀に書かれたものだが、その後行方知れずになり、19世紀に再び発見される。それがイタリアで売りに出されたものをオマール公がフランスの為に大枚をはたいて買い戻した。展示してあるのは、写本の写本なのだけれども、それでも美しい。

ベリー公のいとも豪華なる時祷書(複製) @Musée Condé

「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」 以外にも「インゲボルグ詩編 (Psautier d’Ingeburge de Danemark)」、令嬢たちが所有していただろうミニ写本などが展示されており、これらはどれも息を呑む緻密さと美しさである。

インゲボルグ詩編 @Musée Condé
小さな写本@Musée Condé

コンデ美術館は確かに「ルーブルに次ぐ」質なのだが、どことなく手狭感があり、大美術館で絵画を鑑賞するイメージとはちょっと異なる。絵画の配置変更はオマール公によって禁じられており、今でも忠実にそれが守られているらしく、手狭な感じは変えようもない。往時の状況を体験できると思えば、それも良しと言ったところか。また、広大なルーブル美術館に比べ、展示品の分量も美術館規模も手頃でゆっくり見るのにちょうどよいとも言える。

絵画の部屋で、筆頭に上がるのはラファエロの「オルレアンの聖母」だろう 。この時期の彼はローマに行く直前にあたり、聖母像を描きまくっていた時期の作品のひとつ。絵の大きさがかなり小さいのも驚きだった。そして、この美術館には、ラファエロを敬愛していたプッサンの絵も多く展示されている。

ラファエロ、オルレアンの聖母 @Musée Condé

・初めてシャンパンを登場させた絵画 ド・トロワ作「牡蠣の昼食」

中世の食べ物に関する書籍には度々登場するのが、こちらのジャン=フランソワ・ド・トロワ「牡蠣の昼食」。牡蠣をすする者、豪快にシャンパーニュを注ぐ者、賑やかでざわめきが聞えてきそうである。

ジャン=フランソワ・ド・トロワ「牡蠣の昼食」@Musée Condé

この絵を描いたド・トロワは二枚目で才能溢れモテモテの逸材だったらしい。そして、ルイ15世の享楽的な趣味にあわせて描いたのがこの絵。シャンパンが絵画に登場したのも、この絵が初めてで、自分も原画をこの旅で見て、視線の先に宙に舞っているシャンパンの栓を初めて認識できた。
そして、実物の絵を見て、画風は全く異なるがカラヴァッジョばりの躍動感と動的描写がわかった。ナイフ片手にシャンパンを開栓して、吹き飛ぶ栓に周囲はあっけにとられている。離れた所には、抜栓の音など気にせず飲み、牡蠣を喰らう輩。そして、手前にある氷で冷やされた次の出番を待つシャンパン。なんとまあ芳醇な絵画だろう。

ボウルに逆さに置かれたグラスはシャンパンの澱を捨てる為のボウルで、当時は澱を捨て次から次と注いで一気飲みしたらしい。グラスの持ち方、仕草なども一人一人異なり本当に楽しいのだ。その一方、描かれた人々の顔が、皆同じ顔をしているのも面白く、美術家の間でも諸説あるようだ。

この時代、発砲発酵の原理が判明しなかったのでシャンパンは危険な飲み物だった。いつ瓶ごと爆発するかわからないシロモノ。特に作り手はセラーで防護マスクを着用していたが、それでも失明や傷は耐えなかったと言う。つまり、とても贅沢な飲み物。

そもそもシャンパンはルイ14世が16歳の時にランスで出会ってから、その虜になり、以降50年間シャンパン以外飲まなかった。なにしろ王の振る舞いは絶対だから、それを真似する貴族たちが続々と現れ、シャンパンは一大産業になる。先代からフランスの王族貴族には切っても切れない縁の飲み物だった。

・ シャンティイ城 の 大厩舎

さて、美術館の次である。シャンティイ城には大きな厩舎があり、200年前はここに馬を含めて数百頭の動物が飼育されていた。今は、ここで馬術ショー が行なわれ、馬の博物館 (Le musée du Cheval)も併設されている。

広大な敷地を大厩舎に向かって5分ほど歩く@ Le musée du Cheval
厩舎として今でも使われている@ Le musée du Cheval

博物館内にはメリーゴーランドの馬もたくさん展示されていて、馬への愛着を感じさせる。

古い木馬たち@ Le musée du Cheval

・パリ郊外のパン屋さんは魅力的

さて、シャンティイ城を後にしてパリに戻る。途中、夕暮れ時に良い雰囲気の田舎町を通った。ロードサイドにこぢんまりとしたパン屋を見つけ、バイクを停めて立ち寄ってみた。

夕暮れ時の田舎町@La Chapelle-en-Serval
こぢんまりとしたパン屋 @Le Goûter de Fanny et Florian

中に入ってみると、ちょっと大ぶりなケーキがたくさん並んでいる。運転疲れもとんでしまい、ニコニコ顔になる。
どのケーキもパリ価格とは大違いでずいぶんとお手頃価格だ。右下の巨大エクレアを試してみると、ちょっと甘めだが、手作りのクリームに、さらさらした生地が美味しい。

美味しそうに並ぶケーキ@Le Goûter de Fanny et Florian

・バイク慣れした都市、パリ

パリ市内に到着すると、朝のラッシュ時ほどではなく渋滞もたいしたことはない。だいぶ運転にも慣れたので、パリジャン走法で車の間のすり抜けをしながらアパルトマンに戻る。知人によると、パリではバイクがすり抜けられるように、車体を寄せておかないと、車のドライバーは文句言われるらしい。バイク乗りからすると、車が道を譲ってくれなんて天国のようなお話。 ただ、パリのバイク乗りさん達、中央分離帯超えたり、ちょっと無理な割り込みも多いので、いささかずに乗りすぎな面もある。

ちなみに、パリはロンドンと同じく、街中でもバイクの駐車は、し放題。昔の東京と同じで、便利この上ない。そして、いたるところでオートバイ、スクーターが走っている。自転車乗りが多い欧州他国と比べるとちょっと異色な景色だ。クラシックのコンサート行く時ですら、老いも若きもバイクでコンサートホールに乗り付けてくる。その為、どこの劇場の前もオートバイだらけ。パリのコンサートは開始が遅く20時や20時半開始など当たり前であるから、終演も23時くらいになる。遠方の人や家路を急ぐ人はバイクのほうが便利なのだろう。

借りているアパルトマンの目の前のバイク停車スペースがたまたま空いていたので、そこに駐車する。

市内では、こんな感じでバイクが停められる。中央の前輪をロックしてあるのが私の車両。

<詳細情報>
コンデ美術館
60500 Chantilly

フランス / シャンティイ、コンデ美術館

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