ハーレーダビッドソン エレグラで走るオレゴンとカリフォルニア 2 / オレゴンとカリフォルニアを走る魅力

ハーレーダビッドソン エレグラで走るオレゴンとカリフォルニア 2 / オレゴンとカリフォルニアを走る魅力

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サンフランシスコ(San Francisco)でハーレー エレクトラグライド(Harley-Davidson FLHTC ELECTRA GLIDE CLASSIC)をレンタルし、アメリカ西海岸ツーリングを開始した。
目指すはオレゴン州。州の東は荒野と大平原、西には延々と続く海岸線、東西の間には深い森林と多くの湖を抱くカスケード山脈(Cascade Range)である。人もまばらで、走ってみるまでは、アメリカの大自然をこれほどまで満喫できるツーリングとなるとは想像もできなかった。
ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)にまたがり、6日間3000Km、2度目のアメリカバイクツーリングである。

カリフォルニアを走る / バーガーキングでの老人のアドバイスに感謝
オレゴンを走る / 荒野での思い出深い出来事
この旅で思い出に残る景勝地
・ ラッセン火山国立公園(Lassen Volcanic Natinal Park)
・ クレーター・レイク国立公園(Cratar Lake National Park)

●カリフォルニアを走る / バーガーキングでの老人のアドバイスに感謝

カリフォルニアで思い出すのはサクラメント(Sacramento)の熱波とジリジリ肌を焼く暑さだ。サクラメントに近づくにつれバイクの速度をあげても暑さから逃れることができない。我慢できなくなり、フリーウェイを降りて停車し上着を脱ぎ捨てた。しかし、サクラメントを抜け標高があがってくると徐々に日差しも気温も和らいでくる。アメリカのツーリングでは温度差が目まぐるしくかつひどく変わることをこの時に知った。

そして、タホ湖そばのトラッキー(Truckee)までくると高原地帯の気候に変わる。6月でもこのあたりの朝晩の冷え込みはかなりのものである。バイクに乗っていると首まわりが寒く、マフラーなどもっていなかったので、朝は首にタオルを巻いてしのいだ。
そして、トラッキーから89号線に入り、カリフォルニア州の国立公園をいくつか走ってオレゴン州を目指す。ここからは気持ちのよい森林のツーリングとなる。道路は森林を突っ切るような直線が続き早朝は特にのどかで気持ち良く走ることができる。

バイク乗り同士はお約束のピースサイン @89号線
バイク乗り同士はお約束のピースサイン @89号線

この森林地帯のツーリングでは途中、幾度も線路と交差する。その古びた鉄橋なんかも見どころだ。

線路との交差 @89号線
線路との交差 @89号線

また、のんびり景色に見とれていると130km/hでかっ飛ばすスクールバスに抜かれたこともあった。子供は乗っていなかったが、バスはこんなに爆走できるのかと思い、さほど広い道でもないのに、その威勢のよい運転に驚いた。

重そうなスクールバスが意外やスピードが出る @89号線
重そうなスクールバスが意外やスピードが出る @89号線

楽しいのは森林地帯だけではない、カリフォルニア州は海岸側も国立公園となっており、景勝地が続く。

広大なレッドウッド国立公園(Redwood National Park)の手前の町クレセントシティ(Crescent City)でガソリンを補給した。早朝だったので、気温が低く、暖をとるためバーガーキングでホットコーヒーを頼んだ。すると横に座る老人と会話になった。
彼にこれからメンダシーノ(Mendocino)に向かうことを伝えると、海岸線を走るだけではなくウィリッツ(Willits)から山道ルートを通ってアプローチすると景色がよい、と教えられた。地元の方のこういったアドバイスはありがたいかぎりだ。

コーヒーで身体が暖まったこともあり、外気はよけい低く感じる。そこで、雨具を着込んで海岸線沿いのレッドウッド国立公園へ出発した。海岸沿いの森林地帯は濃い霧に包まれており、ゆっくり走行する。
この霧の湿気によって巨大なRedwoodが育つらしく、太い木が霧の中から次々立ち現れる中でのツーリングはダイナミックでわくわくする景色だ。

レッドウッドの森林地帯を走る @Redwood National Park
レッドウッドの森林地帯を走る @Redwood National Park

そして、海辺では小さな黄色い花が一面に拡がっており、時折見かける鹿は逃げもせず道端を散歩している。レッドウッド国立公園を抜けた後は海岸線から離れて内陸に向かい、バーガーキングでアドバイスを受けたウィリッツ(Willits)を目指す。このあたりまでくると先ほどまでの霧は嘘のように晴れ、暖かく青空の拡がる。

先ほどまでの濃霧が嘘のように空は晴れ渡る @Willits
先ほどまでの濃霧が嘘のように空は晴れ渡る @Willits

そして、ウィリッツからは林の木漏れ日を浴びながら小1時間の山岳ツーリングとなる。実はこの地帯は広大な州の公有林であり、ジャクソン・デモンストレーション州立森林公園(Jackson Demonstration State Forest)とのことであった。

森のワインディングを走る @Jackson Demonstration State Forest
森のワインディングを走る @Jackson Demonstration State Forest

小川と併走しながらの道はツーリングに向いており、ワインディングを攻めるのも楽しく、バーガーキングでこの道を教えてくれた老人に感謝である。

カリフォルニアを走っていて、楽しい道と言えばアンダーソン・バレー(Anderson Valley)近辺も楽しかった。ソノマやナパの北に位置するこの近辺も、ぶどう畑が連なっており、ところどころにワイナリーの看板が立っている。このぶどう畑が溢れる丘陵地帯は走っているだけで豊かな気分になり、同時に運転する身には辛く、一杯ひっかけたい気持ちを抑えながらのツーリングとなる。ワイナリー巡りにツアーもあるようなので1泊してツアーに参加してもよかったのだろう。

ぶどう畑を走る @Anderson Valley
ぶどう畑を走る @Anderson Valley

●オレゴンを走る / 荒野での思い出深い出来事

カリフォルニア州の北に位置するオレゴン州は更にノンビリ感が漂っていた。カリフォルニア州を過ぎオレゴン州に入ると圧倒的に人が少なくなり、山間部には広い畑が拡がり、大きなスプリンクラーが自動で水撒きをしている。そして、頭上に突如複葉機が現れたかと思うといきなり農薬を散布し始めた。

農薬散布の複葉機 @97号線
農薬散布の複葉機 @97号線

あちこちの広大な畑にある車輪がついたものは、可動式のスプリンクラーである。Google Earthでこの辺りの地図を見ると、この大きなスプリンクラーや刈取りの跡がまるでナスカの地上絵のように綺麗な円形を地面に描いている。

車輪のついたスプリンクラー @97号線
車輪のついたスプリンクラー @97号線

こうした畑が延々と続く風景でポツンと農家が1軒あったりする。こうした民家のそばではバイクの速度を落す、すると畑で作業中の農夫が思いっきり手を振ってくれ。何気ない出来事ながら旅先での素敵な一瞬を感じる。

時折、こうして人の温かみを感じる中でもっとも思い出深いのがマウピン(Maupin)近くの高原での出来事だ。見渡す限りの荒野が続く197号線。空を見上げると雲がとても綺麗で、この道をただ走り抜けてしまうのがもったいなと感じ、ちょっとした高台にさしかかったところでバイクを停めた。そして、360度を山脈に囲まれた大地の見事な景色に見とれていた。

すると通りすがりの3台のハーレーが横をかすめていく。あたりは本当になにもなく砂漠の真ん中にいるような荒野で車通りもほとんどない。すると、そのハーレー中の1台が数百メートル先から戻ってくる。何事か、人気のない場所なので少々不安になる。

脇まで来ると姿は、いかにもハーレー乗りといった腕のぶっといおじさん、こちらも身構えてしまう。緊張した顔をして迎えてしまったのだが、相手は一言「大丈夫か?」と。道端に停まっている様を見てトラブルかと思い、気にしてわざわざ戻ってきてくれたのであった。すれ違い様にほとんどのバイクが手を横に出して挨拶するお国柄、ライダーのマナーの良さやこういった親切心に胸が熱くなった瞬間だった。

声をかけてくださったライダーの後ろ姿 @Maupin
声をかけてくださったライダーの後ろ姿 @Maupin

●この旅で思い出に残る景勝地

カリフォルニア州もオレゴン州も普通に走っていても絶景が続く地なのだが、中でも特筆すべき景勝地が2つある。

・ラッセン火山国立公園(Lassen Volcanic Natinal Park)

カリフォルニア州で印象的だったのは、このラッセン火山国立公園。山道を走り随分標高が高くなったと感じつつ走っていると、グングン気温が下がる。先ほどまで暑いと感じていた下界とはうってかわって、寒くなってしまい持参した唯一の防寒着であるセーターを着込んだ。ちょうどその時、ラッセン火山国立公園入口に着いた。

ラッセン火山国立公園入口 @Lassen Volcanic Natinal Park
ラッセン火山国立公園入口 @Lassen Volcanic Natinal Park

更に公園内を進むにつれて湖は凍り、ところどころ残雪が予想だにしていない量で残っていて驚いた。更に登ると、6月にして一面美しい銀世界に変わる。調べてみると頂上付近のヘレン湖(Lake Helen)標高は2500 mもあるのだった。透明度が高く水面の綺麗なはずのヘレン湖もまだ凍結状態、初夏の気分であったのでこの景色には仰天した。

凍ったヘレン湖 @Lake Helen
凍ったヘレン湖 @Lake Helen

しかし、オートバイで銀世界をツーリングできる機会はなかなかなく、この後、標高が下がれば涼しく気持ちよくワインディングが続くので気分も爽快で楽しいことこの上ない。そして、暖かく天気のよい下界にもどってきたと思えば、いきなりの霧雨である。この辺りは天気も目まぐるしいようで、しばし濡れた路面の林間ツーリングとなったが、次の瞬間には晴れ渡ってしまった。

霧雨の中を走る @Oid Station
霧雨の中を走る @Oid Station

・クレーター・レイク国立公園(Cratar Lake National Park)

オレゴン州のクレーター・レイク国立公園はラッセン火山国立公園に並ぶ魅力的なツーリングコースであった。こちらも標高は2400mと高い。そして、麓には長さ32 kmのオレゴン州最大の淡水湖であるアッパークラマス湖 (Upper Klamath Lake) が横たわっている。

アッパークラマス湖の脇を走る @Upper Klamath Lake
アッパークラマス湖の脇を走る @Upper Klamath Lake

このアッパークラマス湖は静かで雄大、いくら走っても湖が視界から離れない。そして、やっと湖を抜け丘陵地帯を越えると、広大な牧場とその背景には見事な山脈が現れた。これがクレーター・レイク国立公園(Cratar Lake National Park)玄関口である。
そして、道路の右サイドはガードレールのない崖というスリル満点の森林道をひたすら走るとクレーター レイク国立公園入口のゲートがある。

クレーター・レイク国立公園入口 @Cratar Lake National Park
クレーター・レイク国立公園入口 @Cratar Lake National Park

ゲートで支払を済ませ10分ほど登ったところ、巨大で美しいカルデラ湖が突然目の前に出現した。水は深遠なブルー、背景の雪山にも映え、湖の景色としては完璧。水深は600m近くあり、米国で最も深い湖である。これまでアメリカで見てきたどの湖よりも美しく感動の景色であった。

巨大なカルデラ湖 @Cratar Lake National Park
巨大なカルデラ湖 @Cratar Lake National Park

クレーターレイクからの帰り道はくだり坂が長く続く。遠くの綺麗な山脈を眺めつつ雪道をバイクで下っていくので、まるでスキーをしている気分になる。

スキーをしているかのような下り坂 @Cratar Lake National Park
スキーをしているかのような下り坂 @Cratar Lake National Park

せっかくの眺めなので、途中少し休憩をして積雪をバックにハーレー エレクトラグライドの写真を撮った。雪とこの大きなバイクの写真は珍しいし、なかなか風格があるバイクなので絵になる。

雪とエレグラ @Cratar Lake National Park
雪とエレグラ @Cratar Lake National Park

そして、こちらでも一気に下界に駆け下りると雪は消え、砂地が見える景色に変わり、日差しは強く気温がグングン上昇してくる。その温度差は10℃以上もある。しかし、またその次は再び涼しい森林地帯に戻る、という具合。とにかく1日でいろいろな景色と気温が体験できる。

それもそのはず、ここは西海岸を縦走する長大な遊歩道 パシフィック・クレスト・トレイル(Pacific Crest Trail / PCT)の一部で、アメリカでも有数の自然歩道である。このパシフィック・クレスト・トレイルを歩きつつ半生の振り返る物語として「わたしに会うまでの1600キロ」というタイトルの映画まである。そんなルートのまっただ中にいるので、クレーター・レイク国立公園を過ぎても次々と雪山や湖に出会う楽しい道中であった。

次の休憩では湖の標識があったので、小径に入って向かってみた。すると全く人影のない山奥の湖にヨットを楽しんでいる人がいた。こんな案配で、このパシフィック・クレスト・トレイル界隈はオートバイで走っても景勝地が続く、オレゴンらしい大自然を堪能できるルートであった。

アメリカ / オレゴン、カリフォルニア

<詳細情報>
フリーダムアメリカ社(Freedom America Inc.) アメリカ オートバイツアー・レンタル専門
レッドウッド国立公園(Redwood National Park)
ジャクソン・デモンストレーション州立森林公園(Jackson Demonstration State Forest)
ラッセン火山国立公園(Lassen Volcanic Natinal Park)
クレーター・レイク国立公園(Cratar Lake National Park)