パリ、印象派の至宝が集まるオルセー美術館。そちらの最上階にあるカフェでの出来事。
25年前のカフェの写真を注文を取りに来られたスタッフにチラと見せたら、さあたいへん。
仕事そっちのけでカフェスタッフの方々が集まってきて、皆さん興味津々。他のお客さんも「何事っ?」という雰囲気で私のテーブルを眺めている。
昔の旅の写真を持ち歩くだけで、楽しい出来事が盛りだくさんというお話です。
このときは楽しかった。
カフェスタッフが仲間に声をかけ、次々と店員さん達が席に集まってくる。昔のカフェ写真を表示している私のタブレットは次々人手へ渡っている。しまいには厨房からも人が出て来て、最後は全スタッフがテーブルの周りに集まった。
仕事をしながらでも、こうしたフランス人の自然な振る舞いがとても心地よかった。一方、こうした仕事中にも一呼吸おくフランス人と仕事するのはたいへん、という知人の苦労話を思い出したりもした(笑)。
旅先には昔の旅の写真を持参している。昔訪れた際の景色からの変遷を楽しめることもあるし、こうした出会いでの結びつきを強めてくれるから。
また、旅行中は日本に旅したことがあるよ、日本に住んでたことがあるよ、と声をかけられることも多い。そんな時に東北の温泉の写真をちょいとお見せたり、桜島の写真をチラ見してもらい懐かしんでもらったりしたこともある。
そして、こうした旅先の写真を眺めていると、昔の旅の物語と今の眼前での旅の物語が 自分の中でリンクしてくる。今回のオルセーのスタッフの方々の写真も次回のパリ訪問の際の記憶の糧になるかもしれない。ちなみに、こちらが今のオルセー美術館のカフェの写真、冒頭の写真と見比べてみて欲しい。
かなりモダンな雰囲気に変わっている。その分、アクセントだった時計の存在感が薄れてしまっているのが残念。
オルセー美術館が開館したのは1986年、冒頭の写真は1989年だから、オープン間もない頃に撮影したことになる。ちなみにベルトリッチ監督の映画『暗殺の森』(Il conformista) -1970年伊仏独作-では、美術館になる前のオルセー駅を観ることができる。