2019年式、走行距離2,500kmに満たないBMW C650GTをMotorrad 世田谷店から引き取ってきた。
BMW R1150Rからの乗り換えで、次の車種にはメンテナンスも手軽なヤマハTMAXなど、日本車を考えていた。しかし、これまで連れ添ってもらったBMW製オートバイへの思いを断ち切ることができなかった。
C650GTは、ちょうどカタログ落ちが決まったモデルであった。しかし、そのためなのか、かえって人気が集まっているようである。中古車情報でいち早く見つけたこの車両にも問い合わせが殺到したらしい。私が購入した後には、C650GTの新車が2台も売れたとのことである。
もしかすると、自分にとって最後の大型ガソリンバイクになるかもしれない。しかし、今振り返ると、なかなか良い選択をしたのではないかと思う。
○ BMW C650GTを4年間・12,000km乗って分かったこと(追記記事)
○ 追加装備備品について(追記記事)
○ BMW C650GTを選んだ理由
○ BMW C650GTの魅力
○ 魅力的な前オーナーの追加オプション
○ Motorrad 世田谷店で更に増設した機能
○ GIVIのトップケースを取り付け
○ BMW C650GT ツーリングでのインプレッション
○ BMW C650GTとホンダ フォーサイトの使い分け
○ BMW C650GTの給油時に注意したいこと(納車時の説明)
○ BMW C650GTを4年間・12,000km乗って分かったこと(追記記事)
BMW C650GTに乗り始めて4年が経過した。この間の走行距離は約12,000kmで、年間およそ3,000km走っている計算になる。街乗りではSUZUKI バーグマン200を使用しているため、C650GTの走行距離のほとんどは長距離ツーリングによるものだ。

BMW C650GTを購入した直後の1年ほどは、あまり乗る機会がなかった。スクーターながら車重が約260kgもあるため取り回しが悪く、気軽に乗る気になれなかったのだ。長距離走行では非常に快適なバイクである一方、近場の移動では、長く重い車体のためUターンも難しい。都内のバイク駐車場では、車体の大きさゆえに停めにくいこともあった。
こうした事情から、当初は車種選択を誤ったかもしれないと感じていた。しかし、距離を重ねるうちに、このバイクの良い面が次第に見えてきた。そして今では、強い愛着を感じるようになっている。

・BMW C650GTの良い点
長距離を走るほどに、BMW C650GTの真価を実感する。中でも絶大な効果を発揮するのが電動ウインドスクリーンである。長時間の高速走行でも風圧を大きく軽減するため、疲労を感じにくい。多少の雨なら、スクリーンを上げるだけでほとんど濡れずに走行できる。
意外に重宝するのがシートヒーターである。標高の高い峠道や北海道では、夏場でも急に冷え込むことがある。そのような場面で、シートヒーターの効果を実感する。加熱が早く、すぐに熱が身体に伝わるため、肌寒い環境でも快適に走行できる。
シート下にある約60リットルの大容量収納は、長距離ツーリングでとても重宝する。さらに後部には55リットルのトップケースを装着しており、収納力は十分である。これだけでもほとんどの旅に対応できるが、長期ツーリングでは容量を補うため、サイドバッグも追加した。
ラフアンドロード (ROUGH&ROAD)のロードサイドバッグ RR5632 である。ロングセラーの製品で、これを取り付けると、さらに65リットルもの搭載スペースを確保できる。
・BMW C650GTの弱点
数年乗って実感したのは、車重の重さとホイール径の小ささから、タイヤが路面の影響を受けやすい点である。そのうえ、タイヤの消耗も早い。空気圧や摩耗状態は、長距離走行のたびに確認するくらいの意識が必要だ。
車重の重さゆえに、取り回しは非常に難しい。特に下り坂でのUターンは、私にはほぼ不可能に感じる。
こうしたデメリットを踏まえ、最近はツーリングでも悪路をなるべく避けるようにしている。そうすれば、長距離ツーリングではほとんど不満のないバイクである。大都市を離れれば広い駐車場が多く、取り回しの悪さも気にならない。
加えて、BMWのスクーターという珍しさも、このバイクならではの魅力である。同じBMWでもGSシリーズなどはよく見かけるが、C650GTを見かける機会は少ない。そのため、走っているとよく話しかけられ、会話が弾む。ガソリンスタンドや工事現場の誘導員、フェリー乗り場などで乗り心地を尋ねられることも多い。
今では旅に彩りを添えてくれる良き相棒である。
○ 追加装備備品について(追記記事)
・スマホホルダーの交換
以前使用していたスマホホルダーは、着脱のたびにゴムバンドを外す必要があり、手間がかかる上にゴムが切れてしまうこともあった。そこでKaedear(カエディア)製のホルダーに交換した。ホールド性が高く振動にも強いため、走行中でも安定しており、着脱も簡単である。接合部は1インチボール仕様のため、従来使用していたRAM MOUNTS(ラムマウント)にそのまま装着可能だ。
・BMW C650GTの防寒対策
後述のようにBMW C650GTにはヘラープラグの増設をしてもらったので、愛用しているKLANの電熱ウェアをつなげば上半身の防寒が確保できる。これに以下のハンドルカバー、膝下からレッグカバーを備えれば冬場のツーリングも十分に可能となった。
-ハンドルカバー
愛用している大阪繊維資材の大きめのサイズのハンドルカバーを、BMW C650GTにも装着した。高速走行では風も強くなるので生地は厚く、内側にはボアがついている。グリップヒーターと併用すれば手がかじかむようなことはない。
-レッグカバー
Tucano Urbano製のレッグカバーも初めて使用してみた。シートヒーターと併用すると、まるでオートバイにこたつを載せているような暖かさになる。
○ BMW C650GTを選んだ理由
車種選定にあたって重視したのは、長距離ツーリングに適していることである。積載量、運転姿勢、風防(スクリーン)による防風性など、大型スクーターならこの点は申し分ない。長距離ツーリングではタンデム(2人乗り)も多いため、タンデムを重視したBMWの設計思想とも合致する。これらが、BMW C650GTを選択した決め手となった。
本当のところは、フランスでレンタルして気に入ったピアッジオ(Piaggio)の3輪バイクに、もう一度乗りたいという思いが強かった。ただ、ピアッジオの大型モデルを日本で整備するのは難しそうで、ツーリング先で故障すると対応に困る。そのため、今回は断念した。
※ ピアッジオ(Piaggio)の3輪バイクについては「パリで三輪オートバイを借り、両大戦の史跡のあるコンピエーニュの森へ」の記事を参照ください。
ちなみに、ヤマハのナイケン(YAMAHA NIKEN)も候補に入った。850ccの大排気量エンジンを搭載した大型3輪バイクで、デザインもなかなか魅力的である。しかし、「スタンディングアシスト」、つまり手元のボタンを押すと前輪二輪をロックして車体を静止させられる機能がないため、選択肢から外した。
Piaggioやヤマハのトリシティに搭載されているこの機能があれば、交差点などで両足を地面につけずに停止していることができる。足つき性が悪く、重量のある大型3輪だからこそ便利な機能だと思う。そのため、NIKENに装備されていないことは、私にとって選択上の大きなポイントとなった。
○ BMW C650GTの魅力
・電動スクリーン(ウインドスクリーン)
長時間の高速走行では、肩こりの原因にもなる風圧に悩まされていた。BMW C650GT では手元のスイッチでフロントのスクリーンを上下することができる。最大限上方にセットすると高速走行でも顔に当たる風は皆無となる。驚いたのは、タンデムの際に使用しているマイクが「風切り音」をほとんど拾わなくなったことである。
これまで高速道路での走行では、マイクが「風きり音」を拾って会話が聞き取れないことがままあったが、このスクリーンを最上部に上げるとしっかり会話をすることができる。これまでの BMW R1150R では風防(スクリーン)がどうしても小型で、マイクが拾う「風きり音」、腕や肩への風圧の負担が大きかったのだが、これでこれらの重圧から解放される。
BMW R1150R のスクリーン交換については、こちらの記事をご参照ください。
ウインドスクリーンは、最も低い位置から角度を立てつつ上昇する仕組みになっている。走行中でも左ハンドルにあるスイッチによって無段階調整できる。

・前後のシートヒーター
グリップヒーターに加えて、前後共にシートヒーターがついている。これが予想外に気持ちよい。タンデムライダーも快適になるし、冬のツーリングだけでなく、朝晩の冷え込みにも有効である。タンデム用のシートヒータースイッチは後部座席の下にあり、二段階の温度設定ができる。
こういうタンデムにも親切なところから、BMWのタンデム重視の設計思想がうかがわれる。また、グリップヒーターと前方シートヒーターはオートモードが付いており、外気温度、速度、エンジン回転数に応じて自動調整することができる。バッテリー食いのヒーターに、こちらの機能は有効である。

・大容量のシート下収納(シート下トランク)
シート下の大きな収納スペースは、スクーターならではの魅力である。トップケースなどを装着しなくてもフルフェイスヘルメットが2つ入るので、近距離ツーリングにも気軽に出かけられる。このトランクの容量は約60リットルもあり、形状も長方形なので長めのものも収納でき便利である。2人用のテントくらいなら余裕で収納できる。

・ETCとシガーソケット(グローブ ボックス内)
ステアリングロックに連動して施錠できるグローブ ボックス内には、ETCとシガーソケットが設置されている。施錠されるのでETCカードや充電したままのスマートフォンをグローブ ボックス内にしまっておける。
・サイドビューアシスト(Side View Assist)
車に装備されているサイドビューアシストが、バイクに初めて搭載された機能らしい。前後左右に車が近づくとミラー下の三角の警告灯が点灯し、死角をカバーしてくれる。ちょいと顔を振れば周囲を見回せるオートバイでこの機能は必要なのか疑問だが、高速道路で背後から車が近づいてきたことを把握する程度には役に立つ。

・サイドスタンドとパーキングブレーキの連動
サイドスタンドを降ろすとエンジンが始動しなくなるだけでなく、後輪のパーキングブレーキがかかる。車重があるバイクなので坂道での停車では安心感が高まり、助かる機能である。
・メーターパネル ディスプレイ
昨今のバイクの中ではシンプルなほうだが、スピードメーター以外はすべてデジタルディスプレイである。平均速度、外気温、平均燃費、瞬間燃費、オイルレベル、カレンダーなどが表示される。外気温が視認できるのは、朝晩や山間部などのツーリングでそこそこ役立つ。

・ウインドデフレクター(可変フラップ)
走行風を調整する機能がスクリーン下に更についている。暑いときにはフラップを開けて風を取り入れ、高速走行時にはフラップを閉じて、身体に当たる風や乱気流を抑制する。走行状況に応じて風の流れを調整できる便利な機能である。


○ 魅力的な前オーナーの追加オプション
・前後のドライブレコーダー(ミツバサンコーワ GPS EDR-21G)
取り付け費用まで考えると、優れもののドラレコが最初から装着されていたのは嬉しい。専用アプリから簡単にスマホやiPadに動画がダウンロードできる。Wi-Fi接続なので屋外でもダウンロードが可能だから旅先でも画像は簡単に確認できる。また、データは細かく切り分けられ、サムネイルも付いているので必要なところだけ選択してダウンロードすればよい。
以下は画像サンプルで、ブログ掲載用に画質を落としている。通常であれば、相手車両のナンバープレートも確認できる程度の解像度であった。


・スマホ用のRAM MOUNTS(ラムマウント)
スマホ用のRAM MOUNTSがついており、ベース部はブレーキフルードのリザーバータンクカバーに装着してある。この位置はメーターディスプレイとも干渉せず、視認性もよいので、リザーバータンクカバーへの装着は適切である。
・トランクキャリア(キャリアトップケースホルダー)
トップケースは旧車で愛用していたGIVIを引続き使用する予定だったので、最初から取り付けてあったのは助かる。

・後部座席にバックレスト
純正のバックレストが装着済みで、タンデムがメインなのでこれは助かる。後ろのトップケースに寄りかかるのは、荷重の関係からやはりちょっと不安がある、せっかく後部座席も座面が広いのだから、やはり別にバックレストがあるのが望ましい。
○ Motorrad 世田谷店で更に増設した機能
・ヘラープラグの増設
昔のBMW車種についていた時代錯誤のヘラープラグをシート横左側に取り付けてもらった。用途は本体カバーを外さずバッテリー充電を可能にすること。通勤などで頻繁に乗る訳ではないのでバッテリーの消耗やバッテリー切れは避けたい。以前の車種でもバッテリーあがりで何度か痛い目をみた。そこで、日頃からバッテリーチャージャーでマメに充電をしておこうと考えている。
そして、もうひとつヘラープラグの用途がある。愛用しているKLANの電熱ウェアの電源である。この位置であれば後部座席でも電熱ウェアを着用できる。 正規ディーラーだけあって穴開けもお手の物で、仕上がりも綺麗におこなってくれた。シートヒーターに電熱ジャケット電熱グローブががあれば冬も鉄壁である。

BMW C650GTバッテリー交換方法については以下の記事を参照ください。
・USB電源の増設
せっかくなので、USB電源をスマホ用のRAM MOUNTS付近に設置してもらった。今までのツーリングでは、ずっとGARMINのeTrexシリーズを使ってきたが、今回からカーナビはスマートフォンに切り替えようと思っている。海外でも使用できる Sygic などのカーナビアプリが充実してきているので、もはやカーナビ専用端末も不要である。そして、旅での軌跡記録(GPSロギング)はGARMINのGSPランニングウォッチをGPSデータロガー代わりに使用することにしているので、GPS端末はいよいよ不要となった。

GPSデータロガーとして使っているGARMINのGSPランニングウォッチについては、こちらの記事をご参照ください。
GARMINのeTrexシリーズについては、こちらの記事をご参照ください。
○ GIVIのトップケースを取り付け

GIVI トップケースのベース(台座)に モノキーと モノロック の2種類の方式がある。各々のベースで 10kgと3kgと積載量が異なり、大型バイクにはモノキー一択である。BMW R1150R 時代から愛用していた 46リットルの大型トップケース GIVI E460 を取り付けるために、GIVI E251 汎用ベースプレート モノキーケース用 を購入し、これをトランクキャリア(キャリアトップケースホルダー)に取り付けた。
最初に付属していた六角穴付ボルトでは長さが足りなかったので、ステンレス製の六角穴付ボルトM8を新たに購入した。半ネジタイプのほうが首下部の強度が増すので、加重のかかるトップケースの取り付けには、こちらのタイプのほうがよいだろう。ボルトはM8、長さ40mmのものを使用している。尚、BMW C650GTに GIVIのモノロックのベースの取り付け方法をネットで検索したところ、情報がなかったのでベースを取り付けた際の金具位置の写真を参考までに掲載しておく。

○ BMW C650GT ツーリングでのインプレッション
実際に乗ってみて、従来のバイクと異なる印象を持ったのは、アクセルの軽さと細身のグリップ感であった。力をいれて太いグリップを押さえ続ける必要がなく、これだとアクセルを握り続けても右手は疲れなさそうで、装着を検討していたスロットルロッカーも不要ということがわかった。
リッターオーバーバイクであるBMW R1150Rから乗り換えたため、排気量はほぼ半分になった。さらに、ネイキッドからスクーターへの変更にもかかわらず、車重はむしろ増えている。
そのため、高速走行時の加速は以前より緩やかに感じる。しかし、追い越し車線でまごつくようなことはなかった。一方、発進時の加速はスクーターらしく快調で、トルク感もあって申し分ない。
和感を覚えたのは操作性である。通常のオートバイと異なり、重い車体でありながらニーグリップができない。そこで、アメリカンタイプのハーレーに乗るとき以上にステップを踏み込むようにした。すると意外なことに、安定してコーナリングできるようになった。
足を大きく前に投げ出しても BMW C650GT はステップ(踏みしろ)が広いので強く力を入れて踏ん張ることができる。

こうなると、一番の問題は低速時や停車時の取り回しである。260kg近い車重に加え、スクーターはニーグリップできないため、重い車体を支えるのが難しい。
跨がったまま足でこいでバイクごとバックなどできないし、Uターンなど低速で曲がる際には、ホイールベースが長く、重い車体を傾けすぎると倒してしまう危険がある。そこで、低速では車体を大きく傾けず、ハンドルを切りながら曲がるようにすると、比較的安定して旋回できる。
○ BMW C650GTとホンダ フォーサイトの使い分け
ところで、足つきが悪いと言われるBMW C650GTだが、身長175cm以上であれば、私はそれほど気にならなかった。実際、座る位置を選べば足裏もしっかり地面につく。もちろん、足つき性が悪いと感じる人もいるだろう。しかし、スクーターはシート幅が広く、長距離ツーリングを考えれば、このくらいのシート幅と車高になるのも理解できる。
むしろ、街中走行が主流で、シティコミューター的な乗り方をするのであれば、C650GT を選択から除外するほうがよいだろう。
現在、十数年乗り続けているホンダ フォーサイトは、シティコミューターとして使っている。やはり、用途による使い分けが必要である。ある種のツアラーバイクともいえる大型スクーターを、街乗り用途まで同じように使おうとするほうが無理なのだ。むしろ長距離ツーリングに用途を絞ることで、BMW C650GTというビッグスクーターの魅力が最大限に生きてくる。
ホンダ フォーサイト (Foresight)については、こちらの記事をご参照ください。
○ BMW C650GTの給油時に注意したいこと(納車時の説明)

・ガソリン給油口を間違えない
ガソリンの給油口は細く、上から見下ろすだけでは見えにくい位置にある。覗き込むと、ノズルの太さほどの給油口が奥まったところにある。そのため、給油時はノズルを給油口の奥まで差し込んで給油する必要がある。ノズルを奥まで差し込まず、手前の穴の部分で給油を始めると、ガソリンが吹き出す可能性がある。

・給油口のカバーを開いたままシートを開かない
給油口のカバーもシートも、フロントのキーをひねるだけでロックが外れる。ただし、給油口のカバーを開いたままシートを開くと、カバーが外れてしまうとのことである。
















