念願だった金沢の博物館巡りをしてきた。近年では、国立工芸館までもが移転し、博物館が集中する金沢で、逗留しながらじっくりこれらを巡りたいと常々思っていた。それがやっと実現した次第である。
金沢は文化的な土地で、古書店も多いと聞いており、古本屋巡りも楽しみであった。金沢駅に着いて、最初に立ち寄った金沢市観光案内所には、なんと「石川の古書店案内」なるリーフレットまであり、胸が高鳴る。毎回、事前にその街の古書店を検索をしたり、閉店してやいまいかと1軒1軒確認をしているので、この案内誌は助かった。
もちろん、古本屋だけでなく各種施設のパンフレットも充実している。そして、金沢の博物館巡りをする際に、とても便利な文化施設の共通パスまであり、ご丁寧にも金沢市立と石川県立の2つが準備されている。これを携えて、小雪の舞う金沢の街をレンタルサイクルに跨がり、存分に散策してきた。
そして、国内旅で初のレンタルアパート暮らしをし、Airbnb(エアビー)の活用メリットを堪能できたのも、今後の旅で活用できるノウハウとなった。
● 金沢文化施設の2つの共通パス「金沢市文化施設共通観覧券」「サムライパスポート」と金沢市観光案内所
● 金沢のレンタルサイクル ドコモのバイクシェアサービス
● Airbnb(エアビー)を利用して金沢でアパート生活
● 金沢文化施設の2つの共通パス「金沢市文化施設共通観覧券」と「サムライパスポート」
金沢の博物館巡りをする際に、とても便利な文化施設の共通パスがある。パスポートの種類は2種、ひとつは金沢市の文化施設の3日間の共通チケット「金沢市文化施設共通観覧券」、もうひとつが石川県立施設を中心とした2日間の共通チケット「サムライパスポート」でこちらは兼六園などにも入れる。2つの共通パスは多少閲覧施設がダブっているが、その数は多くない、また、パスを見せると割引になる施設もあるので、金沢での滞在日数が少なければ、どちらか一方を購入するだけでもよい。
また、「金沢市文化施設共通観覧券」のほうは小粒な博物館が多く、市内に分散しているので遠方の「金沢湯涌」を除いてもすべての施設を観覧するには3日は要するだろう。この共通パスは最初に訪れた文化施設で購入ができるので入手も至極便利だ。一方、石川県立施設の「サムライパスポート」のほうは金沢駅到着時に駅の「金沢市観光案内所」で購入するのがよいだろう。パスポート開始日も選べるので、先に買っておいても一向に問題はない。
・金沢市文化施設共通観覧券
1日券:520円 / 3日券:830円 / 1年間:2,090円
【利用可能な17文化施設】
金沢蓄音器館、泉鏡花記念館、金沢文芸館、寺島蔵人邸、徳田秋聲記念館、安江金箔工芸館、金沢能楽美術館、金沢ふるさと偉人館、金沢市立中村記念美術館、鈴木大拙館、金沢くらしの博物館、金沢市老舗記念館、前田土佐守家資料館、室生犀星記念館、金沢湯涌江戸村、金沢湯涌夢二館、谷口吉郎・吉生記念金沢建築館(常設展に限る)
【割引(団体料金)5文化施設】
石川四高記念文化交流館、いしかわ生活工芸ミュージアム、石川県立美術館(常設展に限る)、加賀本多博物館、いしかわ赤レンガミュージアム石川県立歴史博物館
https://www.kanazawa-museum.jp/passport/
・サムライパスポート SAMURAI PASSPORT
2日間有効 1,000円 / 金沢市内一日フリー乗車券付:1,500円
【利用可能な12文化施設】
武家屋敷跡 野村家、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門、特別名勝 兼六園、いしかわ生活工芸ミュージアム、石川県立美術館、石川県立歴史博物館、石川四高記念文化交流館、前田土佐守家資料館、金沢市老舗記念館、金沢市立中村記念美術館、鈴木大拙館、金沢能楽美術館
【割引(団体料金)4文化施設】
国指定重要文化財 成巽閣、国立工芸館、金沢21世紀美術館、加賀本多博物館
https://hyakumangoku-route.jp/samurai
・金沢市観光案内所
金沢文化施設の共通パスであるサムライパスポートを入手すべく立ち寄る。すると膨大な量の観光案内資料があり、企画展など旬の情報も多くとても便利。金沢における芭蕉の足跡などの資料もあり、逗留先でこれらを読む楽しみもある。
スタッフも親切で各施設の休館日も確認してくれた。金沢駅からの主要なバスのリアルタイムの時刻表もこちらに表示されており、至極助かるので、金沢到着時にまずは立ち寄るのがよい。
● 金沢のレンタルサイクル(公共シェアサイクル) ドコモのバイクシェアサービス 「まちのり」
金沢には東京都内で普段使用しているのと同じレンタルサイクルもあった。ドコモ・バイクシェアサービスで、アプリも都内のものがそのまま使える上に、料金も165円/30分と金額も同額。レンタルされる自転車は緑の最新型で東京のものより新しく快適だった。地方都市のレンタルサイクルは、自治体の独自のシステムで入会手続が煩雑だったり、料金が見合わないものに幾度か出くわしたので、これはとてもありがたい。
金沢では、天気は目まぐるしく変わり、雪も降ったが、日中幾度か晴れ間もみせる。そうすると、雪が溶けてべちゃべちゃの歩道を歩かず、「消雪パイプ」で雪を溶かした車道を自転車で走ったほうが、遥かに楽であることに気がついた。レンタルサイクルは乗り捨てができるので、天候に応じて、便利に利用させてもらった。
・公共シェアサイクル「まちのり」
https://www.machi-nori.jp/
● Airbnb(エアビー)を利用して金沢でアパート生活
今回は宿泊にAirbnb(エアビー)が利用できたことがよかった。小規模都市ではまだまだ民泊をやっているところは少ないが、大都市であると別である。金沢規模となると、かなりの数の宿泊先から選ぶことができ、大仰な一軒家ではなくアパート物件もけっこうある。更には、シーズンオフでもあるので、宿泊料も格安で、なんと1DKで1泊3000円から。ビジネスホテルより格段に広く、キッチン、洗濯機もあり、逗留先で日常生活ができて、この価格なので今後も大都市観光ではエアビーが活用しそうだ。
しかも、今回のアパートの立地は香林坊近辺、お洒落な竪町通りから100メートルほど入ったところで、裏手には21世紀美術館があり、博物館群にもとても近い。買物にももちろん便利で、主に香林坊の東急スクエア1階のマルエーmini 香林坊店を用いた。
また、付近の竪町通りの先にある新竪町商店街には、入口に老舗 天狗中田本店 の肉屋、商店街には魚屋や八百屋もあって、今どきかなり真っ当な商店街がある。散歩をしていると、お店の方がお客と雑談している傍らで、店の番犬がおとなしくお座りしているような昭和の構図に感動してしまった。更には、この商店街には、アート系に強い古書店まであるのだからワクワクしてしまう。
鍵の受渡しは玄関のノブに下げられたキーボックス、あらかじめパスワードを教えてくださるので、すぐに入手し部屋に入れた。鍋など調理器具も揃っており、IHコンロがあるのも嬉しい。食器類も充分で、お湯もしっかり出る。お風呂は狭かったが、ビジネスホテルと同等なので問題はない。寒い日々だったのでお湯をはって湯船に浸かれたのはよかった。
このところの海外旅行でのアパート暮らしと同じような生活スタイルで、地元で買物をして自炊し、博物館を巡る旅がいよいよ日本でもできるのは嬉しい。ただ、欧州と異なってオペラやコンサートの観劇の機会が少ないので、夜は時間に余裕がある。そこで、金沢の夜は、多くの文豪を輩出した地にちなんで、畳でくつろぎながら読書にふけった。