金沢文化施設の2つの共通パス「金沢市文化施設共通観覧券」と「サムライパスポート」を携えて、金沢の文化施設巡りをしてきた。金沢の中心地と言えば、やはり香林坊界隈であろう。百貨店 香林坊 大和を中心に犀川に向かって多くの飲食店が建ち並ぶ。ここから近い百万石通りには金沢21世紀美術館があり、犀川を渡れば忍者寺の異名を持つ妙立寺や金沢建築館がある。
そして、この界隈には美味しいお店もたくさんある。そこで、金沢ならではの食材調達場所を「美味しい金沢」としてまとめてみた。
● 金沢中心部(香林坊、野町/寺町界隈)
・金沢21世紀美術館
・石川四高記念文化交流館 / 石川近代文学館
・石川県政記念しいのき迎賓館
・金沢市老舗記念館
・妙立寺(忍者寺)
・谷口吉郎・吉生記念金沢建築館
● 美味しい金沢
・とり野菜みそ1人鍋専門店
・天狗中田本店
・赤玉本店
・マルエーmini 幸町店
・8番らーめん 金沢駅店
・近江市場
● 金沢中心部(香林坊、野町/寺町界隈)
・金沢21世紀美術館
夜に館内をうろつくことができる美術館は少ないだろう。ここは共有スペースが22:00まで開いている為に、夜も館内を巡ることができる。
人気もなく、ヒンヤリとした空間で、美術館建物が最高に映える。月夜と建物、静まりかえった白い部屋のを存分に味わった。
一方、日中は日本一若者が多く観賞し、楽しげな雰囲気の美術館かもしれない。観賞しながら戯れている様がたくさん見られ、多幸感溢れる館内が楽しい。観光地化した美術館の恩恵であり、これはこれで良い感じである。
・石川四高記念文化交流館 / 石川近代文学館
文学館の多い金沢の中で一番網羅的、しかしパネル展示中心で、館内の撮影も禁止であった。一方、四高記念文化交流館の展示には模型もあり、ダイナミックかつリアルに体感できて興味深い。旧制高校の文化の香り豊かな展示で、その校風は金沢の街によって育まれてきたことがうかがえる。
「超然主義」、「南下軍」、「ストーム」などの四高を体現するワードも楽しい。展示品からは学生のみならず、教員や街の人々の四高生を見守り育てる熱意のようなものを感じる。金沢大学内の資料館と合せて見学すると感慨深いものがあった。北村喜八が四高生であった関係か、築地小劇場の雑誌まで展示されていた。
・石川県政記念しいのき迎賓館
旧石川県庁、夜にはライトアップもされる美しい建物。1924年竣工で矢橋賢吉の設計。県庁移転後はリノベーションにより、表は昔の外観を残すが、金沢城址側を全面ガラス張りとしており、中に入ると斬新で驚く。古くからあるステンドグラスも見事で、これらは建設当初のもの。
・金沢市老舗記念館
商工会議所に所属する老舗企業が集って運営されているがPR色は少ない。薬局だった古い商家を使っており、大きな木造家屋を見学でき、2階が老舗企業の展示室。天狗中田本店は昔の支店所在地地図など展示しており、当時の金沢の街の様子がわかって興味深い。
目の前に前田土佐守家資料館があるが、今回は休館中であった。
・妙立寺(忍者寺)
シーズンオフで観光バスもおらず、他の観光客と合わせて3名での円滑なツアー見学であった。記憶がないほど遠い昔に来たが、再訪して正解。やはり興味深い仕掛けが盛り沢山のお寺である。「忍者寺」は通称で、実は防御の為の前線の城。戦の際は付近の寺をも防御戦にし、その司令塔の役目を担うはずだった。故に最上階は見晴らしが良い。
幕府により3階以上の建物は禁止されていた為、外部からは2階建てに見えるが、実は4階建て7層。入口に設置された落とし穴は深さ3mで「こりゃかなわん」という深さ、しかも底には伏兵が待機。隠し階段や錯綜する部屋の配置も面白い。
井戸には横穴があり、金沢城へ続くとの説だが、途中に犀川があり実は無理だろうと。4畳の切腹の間は、内側から開けられない仕組みで、有事に自害し火を放つための部屋。中2階には殿様お忍び参拝の隠し拝殿があり、欧州にも似たような仕掛けがあったなぁ、と感じ入った。
とにかく段差多く、階段が急な上に、暗いので、転ばぬように都度指摘してくれるガイドさんの気配りがありがたい。
・谷口吉郎 吉生記念金沢建築館
設計はご本人で2019年オープンとまだ新しい。事前知識なく訪れたところ、吉郎氏設計の迎賓館 赤坂離宮の広間が突然現れて驚く。息子が器を設計し、父の建築物を原寸で展示する博物館であり壮観。MOMAと同様に展示作品から一歩引いた物静かな建物でその美観に惚れた。
● 美味しい金沢
・とり野菜みそ1人鍋専門店
鍋がさっと作れる石川のソウルフード「とり野菜みそ」。そのアンテナショップが香林坊東急にあった。
カラフルで手作り感あるお店、注文は細かく鳥肉か豚肉か/各種味噌味/白菜の煮方まで指定できる。ランチに500円でこれが食べられるのは嬉しい。
ちなみにとり野菜の「とり」は、鳥ではなく、野菜や栄養をたっぷり摂るの意。ルーツは古く北前船の船乗りの食べ物ともある。
東村アキコのみそ鍋革命を読むとパッケージの謎の女性キャラクターが誰なのかも判明する。
・天狗中田本店
創業明治41年の老舗精肉店、老舗博物館にも展示があった。長い冷蔵ディスプレー綺麗な肉が並ぶ。また、惣菜売り場も充実しており滞在旅には重宝する。「まかないカレー」が美味しく肉屋の良い肉がゴロゴロ入っている。お代りしたく別日に伺ったが、曜日限定であった。
・赤玉本店
創業昭和2年の老舗。1200円でテイクアウトができると知り、金沢おでんを味わうべく購入。店内では、おでん鍋から直接袋詰めをしてくれる。車麩はとても大きく、赤巻きも入っている。一晩では食べきれない分量。汁も美味しいので、うどんを別途買ってきて、余さずいただいた。
・マルエーmini 香林坊店 / 幸町店
香林坊店は香林坊東急スクエアの1階にあり、とても便利。向かいの大和香林坊の地下食料品売り場と共に食材調達に活用できる。一方、幸町店へは新竪町商店街を抜けてアプローチした。香林坊/片町そばの竪町商店街と異なり、昭和感MAXの懐かしい商店街で楽しい。タチのすはま、吹雪たら、とり野菜みそ等、石川ならではの品々が購入でき、ローカル色が強く、商店街とあわせて買物が楽しめる。
・8番らーめん 金沢駅店
8番らーめん 金沢駅店北陸限定でチェーン展開するラーメン店。メニュー筆頭にある味噌味を頼んだが、周囲は塩を食べている人が多い。寒いからまあ味噌でもよいか、と食べ始めると、平麺でたっぷりの野菜にからみ美味しい。セットにした海老餃子も美味で、土産用にテイクアウトを追加した。
・近江市場
夕方訪ねたところ閉店の店が多かったので、翌日午前中に再訪した。金沢の台所と言われるだけあって野菜や普段使いのお魚は安価で美味しそう。一方、土産魚介類は高価で観光客相手を前面に出した店も多いが、地元民が対面購入している店舗も多く、そちらの売買の雰囲気が楽しい。