このところオートバイだけでなく、レンタカーを利用して海外を巡ることが多くなった。地方の細かな村々をまわったり、風光明媚な山道を旅程に組み込むには足があったほうが便利だし、オートバイと違って旅程を天候に左右されないのがよい。
また、レンタカーにせよオートバイにせよ、宿泊地の目の前で荷物を降ろすことができ、荷物を抱えてうろつかなくて済むのも助かる。
ところがひとつ大きな問題がある。それは交通違反。旅の魅力を減じてしまう交通事故は論外だが、軽微な交通違反は海外でも日常的に犯す可能性がある。
アメリカ、イギリス、フランス、ニュージーランドでは全く無縁だったのに、このところのヨーロッパ(オランダ、チェコ)では立て続けに違反金を取られてしまった。しかも、日本では捕まらない程度の軽微な速度違反で反則金、罰金が科せられている。違反が軽微の場合は前科や出頭、点数制度などはないようだが無視するのは問題がある。
今回は、このような軽微な違反でも、如何にその対処が面倒であるか、その対策を含めてまとめてみた。
● オランダより不幸の手紙きたる
● 交通違反取り締まり大国オランダ
● 違反金徴収のしくみも渋いオランダ
● そして違反金の支払がこれまた面倒
● 翌年はチェコから不幸のメール
● 突然の制限速度変更
● 優れたアプリでスピード違反対策
● オランダより不幸の手紙きたる
ポストに外国から数通の封書。海外チケットをよく購入しているので、また、どこかの国のコンサートホールからのダイレクトメールかな、と思う。しかし、それにしては、こんなに同じところから数通も届くのは妙だ。開封してみるとビッシリと見慣れぬ文字が並ぶ。よく見るとオランダ語。
なにやら覚えのある街の名前とkm/hと速度が書いてあり、更には○○ユーロと(笑)。次々開封して開けると、あちこちでスピード違反をやらかしていたことがわかった。
● 交通違反取り締まり大国オランダ
実はオランダは各所に膨大な数の交通違反カメラが設置されていたらしい。オランダの交通事情を事前に調べて、駐車違反は厳しいとは知っていた。その為、立ち寄りそうな都市の駐車場はある程度、事前にアタリをつけておいて旅にでかけ、幸いにして駐車違反をとられることはなかった。
ちなみに駐車違反はいきなり特殊工具で車輪をロックされることもあるので、いきなり足がなくなることになり、更には初動対応含めて手続きが煩雑そうなので、円滑に旅を楽しむ為には避けたほうがよい。
一方、スピード違反について、オランダがここまで厳しいとは気がつかず、盲点であった。しかも、そのスピード違反のレベルが低くて余計悔しい。日本では見逃すレベルの数キロオーバーばかり。海外で交通事故を起こすと、程度の軽い事故でも事後処理対応などで旅が台無しになるので、いつも安全運転を心がけているから、過度の速度は出していない。にもかかわらず、細かく何通も請求してきているのである。
されど、さすがケチで有名な国民性のオランダである。調べて見ると財政難で、この違反金制度による収入をとてもアテにしているらしい。他国との条約まで見直して、海外居住者にも違反金請求を直接個人宛にできるようにしたようだ(笑)。その為、フランスやドイツとの条約も結んでおり、近隣諸国の方々からとても評判が悪い。
ドイツなんかでは速度無制限のアウトバーンで国境超えて、オランダに入ったとたん既定速度オーバーで、パチリとやられるとのこと(笑)。ユーロ圏は今や生活上の国境はないも同然で、高速道路は国境の標識が軽くでている程度。これはたまったものではない。
● 違反金徴収のしくみも渋いオランダ
ちなみに、違反取り締まりへのクレーム、違反写真の照会などをメールでおこなうことができるのだが、その場合は国民番号が必要で実際のところオランダ人しか照会やクレームをつけたりができない。外国人は、裁判所に直接電話をしてきなさい、というスタイルのようだ。
そして、関連サイトはすべてオランダ語で、違反金の支払い関係と支払い遅延の罰則の記載のみ英語という、徹底した海外集金を目的とした仕組みになっている(笑)。
日本のオランダ大使館のサイトもすごい。違反金の応対はしませんよ、と明記して、速やかに対応したほうがよいと、注記をしている。(※現在はホームページから削除された様子 )同種の問い合わせがけっこう寄せられるのだろう(笑)。
● そして違反金の支払がこれまた面倒
そんなこんなで支払うしかなさそうであるし、オランダはかなり気に入った国で美術館もコンサートホールも素晴らしい国、トランジットでもスキポール空港はよく使うので、入国できなくなるのはたまらない、ここは素直に違反金を支払うことにした。
すると今度は違反金の支払が面倒この上ない。クレジットカードは使えず、PayPal(ペイパル)も非対応で、海外送金の銀行振込一択。なぜか振込先がRoyal Bank of Scotlandと英国系の銀行、これは英蘭戦争の影響を引きずっているのか(笑)と嫌味を言いたくなる。
そして、振込先の住所や銀行の住所の記載が必要になるが、これらは正確なものをこちらで調べ直さなくてはならないし、マイナンバーの登録は必要だしで、支払もたいした手間であった。そして、振込み手数料も海外送金なので相応の金額となってしまい、旅行者にとっては痛い出費だ。
● 翌年はチェコから不幸のメール
一昨年のオランダに続いて、今度はチェコから不幸のメールがきた。ずいぶんとスピード違反には注意していたのに・・・。今度は手紙ではなくメール。レンタカー会社Budget からメールが届く。無事に車も返却したし「なにか問題が?」と目を通すと。「交通違反やらかしたよ、契約通り手数料と違反金をカードから引き落とすからね」と英語で記載されている。
そして、交通違反金明細がメールに添付されている。こちらはpdf 2枚に、びっしりとチェコ語。Googleの翻訳にかけると、どう対処すべきか丁寧に書いてある。そして、違反の正確な月日時間が記載され「Klimkovice郡のD1高速道路トンネル内の制限速度80km/hにおいて、速度95km/hの速度がUnicam VELOCITY4道路速度計によって測定された。測定装置の可能な偏差を読み取った後、それは少なくとも92km / hの速度であったため、許容最大駆動速度を超えていた」とある。
● 突然の制限速度変更
走行中、速度看板を見て『え、トンネルはいきなり80km/h制限なの?』と驚いたので、実はこの違反のタイミングには記憶にある。とにかく中欧のあのあたりは平野が拡がり、普段はトンネルなどない地域。言い訳をしておくと、チェコは130km/h制限、ポーランドは140km/h制限で、走行状態も緩~く皆さんが最大速度で巡航している感じだ。ドイツのアウトバーンでは速度無制限の中、レースもどきの雰囲気だが(笑)、それとは異なり、ダラダラと皆さんがスピードを出している。そのため、テンション低く前の車にあわせてれば大丈夫と高をくくっていた。
今回は違反金の金額は2,500円程度で、レンタカー会社 Budget の支払代行手数料もほぼ同額で5000円程度で済んだ。自分の注意不足はちょっと悔しいが、前回ほど高額でなく助かった。そして、オランダのケースのように海外送金もせずにレンタカー会社が代行支払してくれるのも手間がなくて救われた。
● 優れたアプリでスピード違反対策
高速道路での走行中に、コロコロ制限速度が変わる欧州では、なかなか万全の策をとるのが難しい。最近の車は自動運転であり、制限速度を認識してブレーキをかけてくれる車種もあると聞く、しかし、レンタカーではそれも当面はのぞめないだろう。ところが、昨年の旅でよいアプリを見つけた。
Sygic GPS Navigation というオフライン地図のカーナビアプリで、これが道路個別に応じた制限速度を認識していて、速度超過をすると警告音を発してくれる。目まぐるしく制限速度が変わる町のそばなど、これは大助かりであった。もちろんカーナビとしても便利で、地図は比較的新しいものが入っているし、工事中の表示などもしっかりしてくれている。
昨年もチェコとポーランドを2,700kmほど走破して数ヶ月経つ、今のところ違反の知らせは届いていない。このアプリのおかげもあって、なんとか違反をせずにしのいだようだ。
このところ毎度毎度この不幸の手紙の区切りがつくまで、旅は終わらない。