オーディオシステムの変遷-ネットワークオーディオ編 / ネットワークオーディオの進化と静音PC導入の記録

オーディオシステムの変遷-ネットワークオーディオ編 / ネットワークオーディオの進化と静音PC導入の記録

ネットワークオーディオは、Squeezebox(スクィーズボックス)というWi-Fi対応の、少し高級なインターネットラジオの導入から始まった。その後、本格的な静音パソコンをShuttleの筐体で組み、Nuforce(ニューフォース)のDACと接続することで、ハイレゾ音源やダウンロード音源も楽しめるシステムへと発展していった。
その後は、Squeezeboxに代えてDENON DNP-F109を使用していた。NASに保存した音源データをDNP-F109から再生できるようにし、PCを立ち上げなくても音楽を楽しめるシステムへと変更した。
※現在は、パソコンからのネットワーク再生はTechnics SL-G700やAmazonアレクサ端末を使用している。
ネットワークオーディオはSqueezeboxから始まった
DENON DNP-F109でNASとインターネットラジオを楽しむ
NuForce DAC-9と静音PCでハイレゾPCオーディオへ
ハイレゾ音源を聴いてみる~Media MonkeyとHDtracks

–海外のコンサートホール、かつての歴史的なコンサートに誘ってくれるのが自分にとってのオーディオ。なぜ旅ブログでオーディオなのか?というお話は、こちらの記事「本場のコンサートホールを再現する」をご参照ください–

● ネットワークオーディオはSqueezeboxから始まった

インターネットラジオのクラシック専門局を聴き始めた時、終日クラシックばかり垂れ流し、その途中に余計な解説やCMが流れないのが嬉しかった。そして、数多くあるクラシック専門局をBGMとして聴くようになると、そのたびにPCを立ち上げるのも面倒である。さらに、PCの作動音や回転するファンの音も耳障りになってきた。そこで、友人の薦めもあり、Squeezebox(Wi-Fi対応のインターネットラジオ)を購入した。

この時、難儀したのが無線LANの設定。無線LANの暗号化方式にはWEPが指定されていたのだが、トラブルシューティングを読むまで、SqueezeboxがHexadecimal WEP key(16進数のWEPキー)にしか対応していないことに気づかなかった。そこで、WEP Key Generator でWEPを再計算をし、16進数で入力して、ようやくうまく接続できた。

オーディオシステムの変遷 Squeezebox
Squeezebox

この製品は仕上げがとてもよく、デザインも気に入っていた。フレームの光沢のある黒、前面のマットな黒色メタルカバーが上質感を醸し出している。液晶表示も美しく、オーディオ機器の上に置いても様になった。音質は、多少薄っぺらく感じるのは仕方ないものの、クリアで好感が持てる。
オーディオと接続する端子もヘッドフォン出力、RCAアナログ出力、デジタル光出力、デジタル同軸出力と揃っており利便性も高い。

また、専用のパソコンソフトと連動し、無線LAN経由で選曲や音量まで自在に遠隔操作できた。このときファンレスのノートPCを使えば静かなので、音楽を聴く邪魔にもならない。

当時は、好みに合った曲を選んでくれるサービス「Pandora」を日本でも利用できた。そこでPCを操作し、気分に合わせてPandoraのアーティストを変えたり、ポップスからイージーリスニング、ワールドミュージック、ジャズへとジャンルを変えたりして、BGMそのものを変えることを楽しんでいた。
また、Pandoraは指定した条件に応じて、なかなかセンスのよい選曲を次々と聴かせてくれた。これがまた心地よい。そのときの気分に合ったアーティストを選んでおけば、聴いたことのない曲でも、自分の感覚に合った曲を次々と選んでくれるのである。

オーディオシステムの変遷  Squeezebox を遠隔操作
Squeezebox を遠隔操作

Squeezebox は小型のシステムとも相性がよく、しばらくサブシステムで活用していたが、残念ながら故障してしまった。サポートももう受けられないようなので、退役となってしまった。

オーディオシステムの変遷 サブシステムのNuforce DAC100に Squeezeboを直結してラジオ再生
サブシステムのNuforce DAC100に Squeezeboを直結してラジオ再生

● DENON DNP-F109でNASとインターネットラジオを楽しむ

故障したSqueezeboxの後任として選んだのが、DENON DNP-F109である。安価でありながらよく働いてくれた。サブシステムでBGM的に使うには、小型で音質もまずまず。まさにうってつけのネットワークオーディオプレーヤーである。

オーディオシステムの変遷 DENON DNP-F109
DENON DNP-F109

再生可能な音楽ファイルフォーマットはLPCM、WAV、FLAC、MP3、WMA、AACなど多彩で、デジタル音声出力も192kHz/24bitに対応している。普段使いには十分すぎるスペックである。

LANケーブルを取り回して有線にして使用すれば、音飛びの不安もなく安定して使用できる。また、Appleのフォーマットにも対応しているため、NASに取り込んだiTunesの音楽データもそのまま再生できる。このおかげで、パソコンを立ち上げなくとも音楽データを再生できるのでとても便利になった。

オーディオシステムの変遷 DENON DNP-F109 再生可能フォーマット
DENON DNP-F109 再生可能フォーマット

1点注意が必要なのがインターネットラジオを聞く場合、Vtunerというインターネットラジオ局データベースサービス経由になることだ。こちらは有料サービスで、年間4ドルほどかかる。登録は簡単で、ホームページ(radiodenon.com)からDNP-F109のMACアドレスを登録し、クレジットカードまたはPayPalで支払うだけである。

インターネットラジオの面白さに惹かれているので、年間5ドル程度ならまあ気にならない。ただ、PC経由なら無料で聴けるので、少々複雑な気分ではある。しかし、国別、ジャンル別にラジオ局を選定でき、それを手元のアプリで操作すればよいのだからなかなか楽しい。

現在は、レンタカーで旅をしていたときによく聴いていた東欧諸国のクラシック番組や映画音楽を、思う存分楽しんでいる。東欧のクラシック局では、Classic Praha はお薦めのひとつであるし、映画音楽では007だけを集めた James Bond Musik. – 007 von laut.fm なんていう局もある。

DENON DNP-F109のデジタル接続端子は、同軸デジタル端子(コアキシャル)のみで、光デジタル端子(OPTICAL)は付いていない。通常、この価格帯では光デジタル端子がメインになるはずなので、ちょっと珍しい。現在は同軸デジタル端子をNuPrime DAC-9 につないで使用している。

オーディオシステムの変遷 NuPrime DAC-9(左)と DENON DNP-F109 (右)
NuPrime DAC-9(左)と DENON DNP-F109 (右)

付属のアプリ「Denon Remote App」はAndroid版とApple版がそれぞれ用意されており、十分に使えた。もちろん付属のリモコンもあるので SwitchBotNature Remo にリモコンを登録して使うこともできる。

オーディオシステムの変遷 Denon Remote Ap‪p 画面
Denon Remote Ap‪p 画面

ただし、「Denon Remote App」はNAS再生ではやや安定性に欠ける。そのため、iOS(iPad)なら「mconnect Player」、Android端末なら「BubbleUPnP」の使用をお薦めする。

● NuForce DAC-9と静音PCでハイレゾPCオーディオへ

一方、ネットワークオーディオを楽しむうちに、デジタル音源そのものも購入してみたくなった。そこでDACを導入し、その再生にはPCを使うことにした。
まず選択したDACはNuforce DAC-9。機種選定の理由は極めてシンプルである。プリアンプとして使うためにXLR出力が必要だったこと、そしてパワーアンプと同じメーカーにしたかったこと、この二つである。
CD、PCのダウンロード音源、LD、Blu-rayの音を一気に新しいDACルートへ移行した。すると、今まで聞こえなかった音があふれ出てくるようで、戸惑うほどの絶大な効果があった。

オーディオシステムの変遷  Nuforce DAC-9
Nuforce DAC-9

再生するPCは低電力CPU+SSDの静音タイプに買い換えた。これまでのPCはファンの音がうるさく、ネットオーディオには支障があったためである。しかし、PCを交換した効果は、ファンの音がなくなっただけにとどまらなかった。驚くほど音質まで良化したのである。低電力CPUを選んだため、クロック数を向上させたわけではない。変わった点といえば、HDDをSSDに変更したことと、OSをWindows XPからWindows 7に変更したことくらいである。

PCを選ぶ際には「音楽専用静音パソコン」という選択肢もあった。しかし、オーディオ用途だけでなく自宅のPCとしても使いたかったので、BTO(Build To Order、受注生産方式のPC)で組むことにした。条件として譲らなかったのは、「静音」と「省電力(音がよくなるらしい)」の二つである。この時利用したお店は秋葉原のオリオスペックで現在でも静音PCを制作販売し続けている。

選択したPCは「Shuttle SH67H3 SuperSilent」。ヒートパイプ式で、CPUファンを使わず、パイプ内の熱媒体によってCPUの熱を逃がす仕組みなので、極めて静かである。実際、PCが作動しているのがわからないほどで、音楽を再生していればPCのノイズは聞こえないに等しい。SSD化については、単にPCの起動を速くしたいという理由で導入した。しかし、駆動部分がないことで振動がなくなり、ノイズ対策にも効果があるようだ。

オーディオシステムの変遷 静音PC ヒートパイプ式 のクーリングシステム
静音PC ヒートパイプ式 のクーリングシステム

また、iTunesをSSD内に置いたことで、処理速度が上がったことも何らかの効果をもたらしたのかもしれない(音楽データは外付けのファンレスハードディスクに保存)。
その際、ケーブル類は一切変更していない。ショップスタッフのアドバイスを聞きながら、CPUにはCore i3-2120T、35Wを選び、速度よりも省電力にこだわったことも、よかったのかもしれない。音質の変化としては、音の情報量が増え、音に深みが出たような印象である。

Nuforce DAC-9には、DAC機能に加えてプリアンプ機能も備わっている。Nuforce DAC-9をそのままプリアンプとして使うか、それとも古いながらもまずまずのMark Levinson No.380LをプリアンプとしてDACとの間に入れるか。結線を変更するのが面倒で、これまで試していなかった。
そこで重い腰を上げて結線をやり直し、Mark Levinsonをつないでみた。すると音が瑞々しくなり、やはりDACはDACとして単体で使い、プリアンプを復活させることにした。
また、NuForce DAC-9ではアップグレードサービスも始まっていた。ハイレゾ音源の世界は日進月歩ということもあり、すかさずアップグレードを行った。

● ハイレゾ音源を聴いてみる~Media MonkeyとHDtracks

当初、ハイレゾ音源は非常に高額だった。しかし、この頃になると、海外サイトのHDtracksなどで比較的安価にダウンロードできる音源も増えてきた。そこで、先ほどのハードウェア構成に、再生ソフトとして使いやすそうなMediaMonkeyを組み合わせて聴いてみた。

Waltz For Debby Bill Evans Trio 192kHz/24bit

LP以上に、スネアドラムの粒子が細かくなったことがよくわかる。そして、意外や総じて音が柔らかくなった。ビル・エバンスのピアノは、CDに比べてボヤけが取れ、音に厚みが増した。まるでCDとはまったく違う奏者のようである(笑)。

Mahler: Symphony No.9 (2011 – Remaster) John Barbirolli | Berlin Philharmonic Orchestra

もうこれは、ため息が出るようなリマスタリングである。音が絡み合うように響き、冒頭から圧巻なのである。ベルリン・フィルは、生で聴くときとまさしく同じように感じられる。ややピッチが高い黄金色の弦楽器、安定した音で太く朗々となるホルン。ようやく、本当のバルビローリに会えたような感覚がある。

Mahler: Symphony No. 5 Yuri Temirkanov St. Petersburg Symphony Orchestra 88kHz/24bit

テミルカーノフがこの時期にマーラーを録音しているとは、つゆ知らずだった。ハイレゾそのものよりも音盤に興味があり、購入した。
旧レニングラード・フィルは相変わらずオーケストラの技術が高い一方、随所にテミルカーノフらしさが入り、なかなかの名演である。
面白いのは、録音技師の問題なのか、ホールの問題なのか、正直に音を拾うハイレゾが裏目に出ていることである。管楽器が目立ち、弦楽器が聞こえない部分もある。遠方でモゾモゾと演奏しているような印象だが、実はこういう録音のほうが臨場感があって嫌いではない(笑)。しかし、現地で確認した際には、これほど残響のあるホールではなかったと記憶している。そのため、この残響は編集段階で加えられたものなのかもしれない。
※ ステレオサウンドの嶋氏によると、こちらのSACDは超優秀録音とのことなので、ネガティブな印象はこちらのネット上の音源の問題かもしれない。

Bach: The Goldberg Variations /Zenph Re-Performance 96kHz/24bit

グールドの1955年版のモノラル音源を、デジタル解析によって再構築したものらしい。1955年版が瑞々しく蘇っていて、これは楽しい。常々グールドのスタジオ録音は、本当に彼のピアノ音をとらえているのか疑問だったので、この再構成は全く問題に感じなく、かえって楽しめた。もちろん、音は目の覚めるような鮮烈さで、いかにもグールドらしい。ちなみに、実際のグールドのピアノの音はものすごい美音だったという。それを裏付けるように、グールドの美しいピアノの音をよくとらえていると思うのがカラヤンとの共演したライブ録音がある。

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