イタリアにも近いミュンヘンは1653年にイタリアオペラが上演されるなどオペラの歴史も深く、1657年には既に宮廷歌劇場が完成している。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ 」「ワルキューレ」などが初演されたのもミュンヘンの宮廷歌劇場であるし、オペラ作曲家として名高いリヒャルト・シュトラウスはミュンヘンで生まれた。現在もミュンヘンオペラと呼ばれるバイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)は評判高い。
そして、コンサートでは数々の名演奏の録音が残されているヘラクレス・ザール(Herkulessaal)などミュンヘンはドイツ屈指の音楽の都である。その他にもワーグナー作品の為に造られた プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)やミュンヘンフィルが本拠地とするガスタイク(Gasteig, Philharmonie)など劇場やコンサートホールが盛り沢山、それらで収録された優秀録音の音源と共に各ホールをご紹介したい。
そして、店舗面積の広い中古のレコード CDショップもあり、ミュンヘンは音楽好きならば幾度も訪れたくなる音楽の街である。尚、各コンサートホール紹介では、当地で収録されたお薦めディスクの紹介も付記している。
● ミュンヘンでの音楽
● プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)
● ヘラクレス・ザール(Herkulessaal)
● ガスタイク(Gasteig, Philharmonie)
● バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
● レコード CDショップ
・musicandbooks
・Dock’s LP/CD/DVD-Börse
● ミュンヘンでの音楽
ミュンヘンはコンサートホールや劇場が充実し、音楽に親しみのある街である。そして、いたるところに音楽を感じるスポットがあり、その世界に浸ることができる街でもある。
長くこの地を統治したヴィッテルスバッハ家のルードヴィヒ2世はワーグナーの音楽を溺愛し、その世界に溺れた為、多くのワーグナー作品が初演され、専用の劇場まで造られた。そのため、ミュンヘン市博物館 (Münchner Stadtmuseum)には、ワーグナーに関する展示や未完のワーグナーの祝祭劇場案をCG再構成した展示などがある。

また、後に記す プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)は未完に終わったワーグナーの祝祭劇場の代替として造られたワーグナー作品の為の劇場であり、そのお隣には大きなワーグナーの彫像がある。こうしたワーグナーを巡る散歩もミュンヘンでは楽しむことができる。
そして、ミュンヘン市博物館内には、ミュンヘン史における音楽環境を知ることができるブース、最上階のワンフロアを使った広い楽器博物館もあり、ここには世界中の楽器が集められ壮観である。

また、オペラ「ばらの騎士」や交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」で有名なリヒャルト・シュトラウスはミュンヘンの生まれであり、街中のPschorr Garage というパーキングビル( Altheimer Eck 16, 80331 München)が生誕の場所であり、今もその名が刻まれている。

● プリンツレーゲンテン劇場 (Prinzregententheater)

ここはワーグナー作品の上演の為に1901年に造られた劇場で、ワーグナー好きであったら是非訪れたい劇場である。そもそもはドレスデンの歌劇場を設計したゴットフリート・ゼンパーにミュンヘンでのワーグナー祝祭劇場案が依頼された。しかしながらルートヴィヒ2世が渇望したにも関わらずこの案は廃案になってしまう。その代替として造られたのがプリンツレーゲンテン劇場である。しかし、こちらも建造の際には散々ワーグナー家とも揉めたようで完成は遅れに遅れた為に、実はルートヴィヒ2世は完成した劇場を見ずに世を去ってしまった。

建造時からバイロイトの祝祭劇場に対置する形で造られた背景があるので、外観も内装も豪華で立派な劇場である。座席数は1100余りと小ぶりで音響は無難な部類、奏者と客席が近いので悪くはない。そして、この装飾の絢爛さが演奏に華を添えるので、音楽鑑賞時は至福の時となる。特に訪れた休日のマチネのような演奏会では、ゆったり気分で最適なコンサートとなる。

また、劇場へのアプローチもイザール川方面から散歩しながら向かうと趣がある。普仏戦争を記念した塔、平和の天使(Friedensengel)がある 美しい公園 マクシミリアンシュアンラーゲン(Maximiliansanlagen)を通過し、プリンツレーゲンテン通り(Prinzregentenstraße)からワーグナーの像を横目に劇場に赴くことができる。

・プリンツレーゲンテン劇場の録音ディスク
この劇場で収録された音源はそう多くないが、なんと1970年に録音された カルロス・クライバー のベルク『ヴォツェック』全曲 はこのプリンツレーゲンテン劇場での収録だったようだ。明瞭な音から録音会場としても悪くないことがうかがえる。また、エレーヌ・グリモー による モーツァルトのピアノ協奏曲 などもある。
・ミュンヘンのネット予約は要注意
プリンツレーゲンテン劇場では、ザビーネ・マイヤー/ ミュンヘン放送管弦楽団を聴いた。ただ、うかつにも夜のコンサートと勘違いしてしまい、マチネだったことに気がついた時には前半プログラムも終わりにさしかかったところ。慌ててアパート前からタクシーに飛び乗った。
途中、前向きでおしゃべりな運転手が気を遣ってくれ「すぐに着くから大丈夫」と励ましてくださる。ただ、ミュンヘン中心部を横断するルートにあたり、なかなか到着しない。しかし、運転手の奮闘のおかげでなんとか休憩時間に滑り込むことができた。
プリンツレーゲンテン劇場は、古い劇場なのでファザードには馬車用のスロープがある。なんとこのスロープをタクシーは駆け上がって劇場の前に停めてくださった。気分はルートヴィヒ2世である。しかしながら、さらに具合が悪いことに日本でネット購入していたチケットが未入手であった。

ミュンヘンでは、ネット予約したコンサートチケットには注意が必要である。通常コンサートチケットをオンラインで購入した場合は自宅でチケットのpdfを印刷した持参したり、会場でスマホを用いてチケット示したりすれば入場できる。しかし、ミュンヘンでは、会場やMünchen Ticket などのチケット発行代理店でリアルチケットを事前に入手しなくてならない。場合によってはその際にパスポートなど身分証明まで必要になる。
つまりプリントアウトした予約確認書(メールの印刷)を都度、リアルチケットに交換してもらう必要があるのだ。しかし、ドイツの日曜日はチケット発行代理店含めてお店はすべてお休みとなる。今回は土曜の深夜便でミュンヘンに入ったので、チケットを交換する時間が全くなく、危うい事態となった。ミュンヘンで日曜日に音楽を楽しみたい方は気にしておいたほうがよい。
そこで、プリンツレーゲンテン劇場に到着した際には、チケットがなく入場できるかもわからなかった。遅刻したものだから、当然劇場のチケット窓口も閉まっている。そんな状況ながら、予約確認書だけで劇場スタッフは入場させてくれ、おまけに座席まで案内くださった。
・プリンツレーゲンテン劇場でのコンサート体験
コンサートは後半から聴くことになってしまったが、こうした劇場の親切な配慮やファザード前にタクシーを乗りつける荒技に気分もよい音楽鑑賞となった。クラリネットのザビーネ・マイヤーさんはウェーバーの権威らしく、前半のそれを聞き逃したのが残念だったが、後半のクラリネットとバセットホルンのためのコンツェルトシュテュックと真夏の夜の夢を聴くことができた。オーケストラはミュンヘン放送管弦楽団とマイナーだが、破綻なく放送局の楽団らしく的確な演奏で午後の調べを楽んだ。
Münchner Rundfunkorchester
Sabine Meyer, Klarinette
Reiner Wehle, Bassetthorn
Ivan Repušić, Leitung
Weber: Ouvertüre zu „Oberon“
Weber: Konzert für Klarinette und Orchester Nr. 1 f-moll op. 73
Mendelssohn: Konzertstück für Klarinette, Bassetthorn und Orchester Nr. 1 f-moll op. 113
Mendelssohn: Auszüge aus „Ein Sommernachtstraum“ op. 61

● ヘラクレス・ザール(Herkulessaal)

ヘラクレス・ザールは録音盤も多く、1度現地を訪れてみたかった。中に入って驚いたのがホールに入るまで、かなりゆったりした空間が用意されていることだ。あちこちに彫像が立っている。そして、2階席がいくつもないのに、階段の踊り場がとてつもなく広い。まさに王宮の中のホールだけある。

更に、驚いたのが座席数が意外に少なかったことであった。総座席数は1300席たらずであり、ほとんどの席は平土間席である。2階にはバルコニー席があるが座席数はわずがだ。また、バルコニーは平土間席に張り出していないので、平土間には棚下席が存在しない。両サイドと後ろには柱が並びこれがバルコニーを支えている。

期待していた音響は、よい響きだが一聴して感じたのは、木をふんだんに使ったブレーメンのGLOCKEやウィーン楽友協会ほど温もりある響きではなく、やや硬質な響きである。その分、楽器の音色を楽しめる自然な残響とも言える。録音にも適しているだろうし、自分好みであり、とても気に入った。

「ヘラクレス・ホール」という名称は2階周囲に巡らされているゴブラン織りのヘラクレス物語のタペストリーに由来していて、このホールを強く特徴づけている。尚、オリジナルのタペストリーは1993年から博物館に入りしており、現在は木綿のコピー品が吊されている。

・ヘラクレス・ザールの録音ディスク
バイエルン放送交響楽団の本拠地となっており、その録音も多い。
バイエルン放送交響楽団60周年記念BOX の中に入っているコリン・デイヴィスによる、エルガーのエニグマ変奏曲はこの曲の良さを教えてもらった録音で印象深い。もちろん、このBOXの内容は厳選されている音源なのでどの演奏も音質も良好である。
名盤の誉れ高いマルタ・アルゲリッチによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番もヘラクレス・ザールでの録音である。
ハイティンクによるワーグナー『ニーベルングの指環』全曲(14CD)も ヘラクレス・ザールでの録音で、オーケストラも上手な上に歌手陣も充実しており、その明瞭な録音から愛聴盤となっている。
バイエルン国立管弦楽団をカルロス・クライバーが振り、ブラームス 交響曲第4番を演奏したものが映像で残されている。クライバー晩年の収録であり、古なじみのオーケストラがクイックにふわっと指揮に反応する様と奏者たちの万感の想いが伝わってくる名演である。
また、ピアニストのポリーニがヘラクレス・ザールで多くのCDの録音をしている。
・ヘラクレス・ザールでのコンサート体験
当日の演目は ヘレヴェッヘ指揮によるシュターツカペレ・ドレスデンのオールモーツァルト プログラムであった。モーツァルトの交響曲を生で聴くのは久しぶりであり、楽しみにしていた。ヘレヴェッヘのモーツァルト演奏は安定の古楽奏法、これをギリシャの神々のタペストリーに囲まれて聴くのはなかなかの体験である。プログラムは交響曲第39、40、41番と続き、特に『ジュピター(ユピテル)』の副題を持つ41番はベストマッチ、ヘラクレス物語のタペストリーに囲まれた荘厳な趣の ヘラクレス・ザール にジュピター交響曲の構築美ある終楽章が高らかに鳴り響く様に感動をした。
Sächsische Staatskapelle Dresden
Philippe Herreweghe, Leitung

● ガスタイク(Gasteig Philharmonie)

ここは1985年完成で完成直後に、 ペンデレツキによるショスタコーヴィッチ9番やフリードリッヒ・グルダのベートーヴェンの協奏曲を聴いた思い出のコンサートホールである。当初からその音響は評判が悪かった。その後、幾度か改修もされたようだが、30年ぶりに再訪しても、その音響はやはり今1つである。

ただし、幾たびの改善のせいか酷すぎることはない。ただ、低い位置の反射板など苦肉策が多いのだろう。反射板の下の楽器音が上に立ち昇らない等もあってバランスを欠く響きで音源も遠く感じる。そして、やはりホールが鳴っていない。ちなみに30年前ペンデレツキ/MPOを聴いた際には、反射板はなかった。

問題は音響が良い席が限られている上に、舞台上でも楽団員間の音が聴きにくいようだ。これで、よくぞあの饒舌に響きをコントロールするチェリビダッケが指揮をし続けてくれたと感心すらする。ミュンヘンという音楽都市の1番のコンサートホールでありながら、音響が残念な評判な上に、名楽団ミュンヘン・フィル(Münchner Philharmoniker)の本拠地というのも惜しい。

しかし、ガスタイクの座席数は約2400席とコンサートホールとしては大きく、ホール自体の造形は美しい。ホール以外の施設も充実しており、図書館や学校なども入っており、軽食を取る場所もあり、カフェなど気軽に使えるので、施設としての利便性は高い。

現在、ガスタイクは更なる改修工事を予定しており、代替としての新しいホールが用意される。また、ヘラクレスザールを常用していたバイエルン放送交響楽団にも新たなホールが与えられることが決っていることから、しばしミュンヘンは新ホールラッシュとなり、ますます音楽の都に拍車がかかることが期待される。
・ガスタイクの録音ディスク
ガスタイクの生演奏を聴くと芳しくない音響も録音盤ではさほど悪くはない。こちらでの録音と言えばチェリビダッケが指揮したミュンヘン・フィルによる演奏が代表的だろう。チェリビダッケの死後、EMIから次々と発売された録音集は録音も悪くない上に演奏内容にどれも深みがあって素晴らしい。その中であえて2枚を選んだ。
・ガスタイクでのコンサート体験
ピアニスト ランラン ホーネック指揮 ピッツバーグ響をガスタイクで聴くことができた。人気のランランの登場とあって、コンサートチケットもプラチナ化し、入手が危うかったがキャンセルが出た為、なんとかチケットを購入することができた。ミュンヘンフィルの日程が合わず残念ではあったが、良い演奏会に巡りあえたので良しとした。
プログラム最初の曲は、ランランによるモーツァルト協奏曲27番、これが悪魔的で迫り来る演奏であった。ランランは打鍵柔らかでダイナミックレンジ広く、とても饒舌である。最近、さらに風格が増してきたようだ。

休憩を挟んでの次のプログラムはブルックナーの9番、ピッツバーグのオーケストラは意外や欧州風の音で弱音も綺麗な腕達者で名演が繰り広げられた。高音質で有名なレーベル リファレンスレコードのファンとしては、ホーネックとピッツバーグ響のコンビは今後も楽しみな組み合わせである。
ホーネックはデイビス/ロンドン響の代役とムーティ/シカゴ響の代役で聴き、昨年はSKDでも聴き、このところ縁がある。かなり注目株の指揮者である。今回はやっと手兵のピッツバーグ響との演奏を聴くことができた。
Mozart: Konzert für Klavier und Orchester Nr. 24 c-moll KV 491
Bruckner: Symphonie Nr. 9 d-moll
Pittsburgh Symphony Orchestra
Lang Lang, Klavier
Manfred Honeck, Leitung

● バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)

ブルーノ・ワルターにハンス・クナッパーツブッシュ、ウォルフガング・サヴァリッシュやキリル・ペトレンコと蒼々たる音楽監督を迎えてきたバイエルン国立歌劇場はミュンヘンに来たら、はずすことができない音楽スポットである。毎夜、見事なオペラやバレエが上演されており、客席数も多いので、よほどのプレミアムチケットでないかぎり入場は可能である。

大昔にこちら歌劇場を訪れた際の演目はサバリッシュの振るロッシーニ「モーゼ」であった。その時はアライサやクルト・モルの活躍を楽しんだ記憶が鮮明にある。そして、当時も感じたが、このオペラ劇場の音響は素晴らしい。空間に声と音に満ちる感じが、自分の好みと合致しているのだ。今回は3公演を鑑賞したので、平土間から立ち見席そばの最上階と各々の座席を聞き比べたが、どの席も総じて安定した音響で楽しめる素晴らしい劇場であると思う。

バイエルン国立歌劇場の客席は2100席とオペラ座としては規模も大きく、歴史も長く欧州のオペラ座の中でも最高峰に位置する。装飾はシンプルだが天井の巨大なシャンデリアは見事である。最上階ではこのシャンデリアが目の前にあたり、視界を遮るので上演時にはせり上がるようになっている。

そして、このシャンデリアを眺めると、かつてお金がなく立ち見席で見ていたことを思い出す。

・バイエルン国立歌劇場での鑑賞体験
- プッチーニ:トスカ
演目と旅程優先で、出演者も調べもせずにチケットを購入したので、実はバッティストーニが指揮とは登場するまで知らなかった。指揮者が壇上にあがるや、日本人にはお馴染みの見知った姿で驚いた次第。バッティは例によって大ぶりな指揮でオケを鼓舞するのだけど、そこはミュンヘンの古株奏者の方々、易々とはのらない感じであったが、それでも、彼ならではの火の玉トスカで、ほとばしる汗のバッティによる1幕ラストは凄まじい熱量であった。
バッティストーニについては、コチラ↓を参照ください。
ステファノ・ラ・コッラはハリある声で拍手喝采。ハルテロスはやや上品すぎるも声量豊かで素晴らしい出来映えであった。こうしてなにげなくチケットを買っても、ハルテロスなんかが普通に歌っているのを聴けるのだから、本場ミュンヘンは本当に凄い。

Giacomo Puccini: TOSCA
Musikalische Leitung: Andrea Battistoni
Floria Tosca: Anja Harteros
Mario Cavaradossi: Stefano La Colla
Baron Scarpia: Željko Lučić
Cesare Angelotti: Markus Suihkonen
Bayerisches Staatsorchester
Chorus and children’s chorus of the Bayerische Staatsoper

- バレエ:不思議の国のアリス
新国立劇場でも評判のクリストファー・ウィールドン振付による演目。ストラヴィンスキーに似た楽曲もよいし、演奏も巧み、チェシャ猫はそうきたか、という演出で楽しい。クリスマス前におとぎ話のバレエ、寒い夜にほんのりするお話で、外は冷え込む今の欧州にぴったり。 キュートなバレエを見て、いかついクラシックコンサートを聴いた後とは別の感慨をもって家路についた。

Joby Talbot Alice’s Adventures in Wonderland
Musikalische Leitung: Myron Romanul
Alice:Maria Chiara Bono
Carroll / weißes Kaninchen: Javier Amo
Jack / Herzbube: Alexey Popov
Mutter / Herzkönigin: Prisca Zeisel
Soloists and corps de ballet of the Bavarian State Ballet
Bayerisches Staatsorchester

- ベートーヴェン:フィデリオ
「フィデリオ」は盛り上がりに欠け苦手なオペラの1つである。しかし、さすがの名門オペラハウス、テンション高く最後まで楽しむことができた。そして、集中力が続いたのは後半のフォークトさんの聞き惚れるほどの美声のおかげもある。
このミュンヘン訪問の後は、ベートーヴェンの「不滅の恋人」の足跡をたどる旅を予定していた。その「不滅の恋人」の手紙がベートーヴェンによって書かれたのが1812年、フィデリオの初演は1814年で作曲は丁度「不滅の恋人」の時と重なる。この機会に苦手なフィデリオをしっかり聴くことができよい体験となった。
「不滅の恋人」の旅については、コチラ↓を参照ください。

Beethoven FIDELIO
Don Fernando: Edwin Crossley-Mercer
Don Pizarro: Michael Kupfer-Radecky
Florestan: Klaus Florian Vogt
Leonore: Emma Bell
Rocco: Günther Groissböck
Musikalische Leitung: Stefan Soltesz
Bayerisches Staatsorchester
Chorus of the Bayerische Staatsoper

● レコード CDショップ
・Dock’s LP/CD/DVD-Börse

ドイツ博物館からの帰路の途中で立ち寄った。閑静なアパート街にひっそりとある中古レコードショップ。店内奧にクラシック専用部屋があり在庫も豊富である。日本なら入手困難そうなレコードがちらほら。当たり前だが、どれも日本で言うところの「外盤」なのだから、音も良いはずである。レコードを収集していた時代だったら思わず大量買いしていそうで危険である。とても落ち着いた雰囲気なのもよかった。
・musicandbooks

こちらクラシック系は充実しており、いかにも中古レコードショップな感じがよい。餌箱と言われるレコード棚がズラリと並び、黙々と客はレコードを選定している。