一気に寒くなり街はクリスマスムード。とはいえ、今年は欧州のクリスマスマーケットも元気なく、日本のイルミネーションも少々寂しい。けれど、こんな時はお家でクリスマス。クリスマスソングを次々かけて、クリスマス気分を盛り上げたい。
そこで、20年ほど毎年数枚ずつ購入してきたクリスマスアルバムからお薦めをピックアップ。
クリスマスアルバム制作はアーティストの大成の証、ロックからジャズ、クラシック各界の大物がこぞってクリスマスソングを歌いまくっている。
そして、レコードメーカーもレーベルもクリスマスアルバムには注力する故に、どれも力作揃いで優秀録音も多い。
“きよしこの夜””O Holy Night””Sleigh Ride(そりすべり)”と定番から名曲ジョニ・ミッチェルの”River”のカバーまで、ジャンルを越えて名歌手たちの聞き比べができるのもクリスマスソングの魅力。
そして、旅行に行けない昨今、カナダの歌姫の美声に耳を傾けたり、ビーチボーイズや小野リサの南国気分のクリスマスソングを楽しんだりするのも一興。
歌い手や奏者の技巧を凝らした技で小粋で軽妙だったり、濃厚なロマンティックな香りだったり、静謐だったりと様々な曲調をシチュエーションに応じて楽しめるようにジャンル分けをしてみた。
また、録音評価を星の数で示し、オーディオファンの指針も付けている。オーディオリファレンスとして使えるのは星4つ以上としているので、かなり厳しめの評価である。どのディスクも普通に聴くには問題ない録音レベルなのでご安心を。但し、所謂ドンシャリの録音は評価低めとしている。
● 優雅に軽妙なクリスマス
● 元気が出るパリピなクリスマス
● 洗練され粋なクリスマス
● 豊潤でゴージャスなクリスマス
● ムード溢れるロマンティックなクリスマス
● チャーミングでラブリーなクリスマス
● ゆったりリラックスなクリスマス
● 優雅に軽妙なクリスマス
・ Snowbound / Fourplay
録音評価 ★★★★☆ 4つ
フォープレイ節によるクリスマスミュージック集、いつもながら鼻につくほどオシャレ。 ちょっと早めのクリスマス気分にも、しっくりくる爽やかな曲たち、夜の落ち着いた頃合いに心地よく。 ジョニ・ミッチェルの”River”のカバーなども。
・ Christmas / Al Jarreau
録音評価 ★★★★☆ 4つ
独特のアレンジを嫌味なく、伸びやかで的確なテクニックで歌いきる。Christmas Time Is Here はアル・ジャロウの華麗な技巧が冴えわたり、心地よくも聴き入る名演。録音もとても優秀。
・ Merry Christmas…Have A Nice Life / Cyndi Lauper
録音評価 ★★★★☆ 4つ
どこか愛らしさを感じさせるシンディ ローパーの声がはじけ、飄々とした明るさいっぱいのクリスマスソング集。たまに入るしっとりした曲も間の取り方が上手で彼女のやや高い声が切なさを増す。優秀録音。
・ Christmas meets Cuba / Klazz Brothers & Cuba Percussion
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
ラテンのリズムにのったクリスマスソング集。いずれ南半球でクリスマスを過ごす時のために 笑。 寒い日々でもウキウキ度満点なジングルベルなど定番の数々を。
・ BOAS FESTAS+ / 小野リサ
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
朝から聴いて爽快気分になるクリスマスソング集。天気のよい12月の朝にゆったりと聴ける。この方は、なんでもかんでも実に上手にボサノバ調に仕上げなさる。
・ Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald
録音評価 ★★★★☆ 4つ
“Sleigh Ride(そりすべり)”の到達点はエラ・フィッツジェラルド。ビッグバンドをバックにクリスマスの名曲が明るくスウィングし、クセのない王道っぷりは彼女ならでは。録音もすこぶる上等。
● 元気が出る、パリピなクリスマス
・ Xmas! The Beatmas / The Beatmas
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
ビートルズのカヴァー・バンドによるクリスマスソング集。素人耳にはビートルズが歌っているかのよう、まるで本家作曲仕立てなのも凄い。”Last Christmas”をビートルズがカバー?と倒錯した楽しみも。パーティソング向き。
・ Seasons Greetings / A Jersey Boys Christmas
録音評価 ★★☆☆☆ 2つ
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の面子でクリスマスソングと好企画。エンターテイナーぶりがハンパなく、どの曲も大いにメロウ。”HolyNight”は厳かでソプラノいらずグループ故になせる技が冴える。
・ The Beach Boys Christmas Album
録音評価 ★★☆☆☆ 2つ
暖かい国のクリスマスもたくさんあります。もし南半球のクリスマスを過ごすのなら うってつけなのがザ・ビーチ・ボーイズ。”Blue Christmas”なんかムードいっぱいながら、切なさ加減の足りないところが逆によかったりします。
・ Love X’mas / 広瀬香美
録音評価 ★★☆☆☆ 2つ
この方の”Sleigh Ride(そりすべり)”もなかなか、元気がわき出るお祭り気分のそりすべり。ウィンターソングがお得意の方なので、選曲もアレンジもお見事なクリスマスアルバム、カバーした曲を含めて上機嫌になること請合い。
● 洗練され粋なクリスマス
・ JAZZY CHRISTMAS
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
Ella Fitzgerald,Dean Martin,Louis Armstrong,Patti Page,Stan Kenton・・・
一部録音は古いものもあるが、さほど悪くはない。これだけの豪華メンバーが揃ってこのお値段は超お薦め。10枚をすべてリッピングしてランダム再生して数日楽しんでいる。
・ Song For You Kiss / Paris Match
録音評価 ★★★★☆ 4つ
優美でちょっとアンニュイな曲がつらなるアルバム、ボサノバ調の曲もよろしく、ミズノマリの乾き気味の声がクリスマスも近い穏やかな日にぴったり。録音も優秀。
・ Winter Wonderland / Emilie-Claire Barlow
録音評価 ★★★★☆ 4つ
アドベント開始で最初に聴きたいのがカナダの歌姫エミリー・クレア・バーロウ。天賦の才に加えてチャーミング、この時期限定が惜しいほどアレンジが素敵なアルバム。爆速の”Sleigh Ride(そりすべり)”がとにかく最高です。
・ Christmas Songs / Diana Krall
録音評価 ★★★★★ 5つ
“Sleigh Ride(そりすべり)” と言えば、こちらも素晴らしいアルバム。ダイアナ・クラールの崩した歌い方がたまらなく格好良くてゴージャス!ビッグバンドをバックにクリスマスムードを盛り上げるアルバム、録音優秀。
・ Peter White Christmas
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
ピーター・ホワイトのギターによる清涼感溢れるジョニ・ミッチェルの”River”、清らかすぎて寂しさが漂う名演。歌うのはサックス奏者のミンディ・エイベア、ヴォーカルが加わると更に情景が浮かぶ素敵な展開に。
● 豊潤でゴージャスなクリスマス
・Christmastide / Jessye Norman
録音評価 ★★★★★ 5つ
ジェシー・ノーマンの唯一無二の深みのある声は宗教曲にうってつけ。幼い頃から賛美歌を歌っていた彼女の声によって厳かなクリスマスに。合唱も良く、録音も素晴らしい。
・Christmas in New York / Renee Fleming
録音評価 ★★★★☆ 4つ
メトロポリタン歌劇場の歌姫、ソプラノ歌手フレミングのクリスマス・アルバム。ウィントン・マルサリスら豪華共演も聴き所の1枚。
・ The Classic Christmas Album/ Tony Bennett
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
クリスマスソングの王道かつ名盤。ゴージャスかつ抜群の歌唱力、際立つジェントルな雰囲気。トニー・ベネットの過去のクリスマスアルバムからなる自薦集でプラシド・ドミンゴとのデュエットも収録。
・ White Christmas / Martina McBride
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
カントリー歌手故に美声の中に、どこか親しみやすさが溢れるマルティナ マクブライドの声。アダンの”O Holy Night”を最後にもってきて、こぶしを効かせ圧巻のシミジミ感が素晴らしい。
・ These Are Special Times / Celine Dion
録音評価 ★★★★★ 5つ
セリーヌ ディオン の歌唱力を出し切ったクリスマスアルバム。のっけから”O Holy Night”をかまして、声をふりしぼる。盛り上げすぎながら、深淵であざとさのない名人芸に、ため息がでる。
・ My Christmas / Plácido Domingo
録音評価 ★★★★☆ 4つ
プラシド・ドミンゴとアナ雪のイディナ・メンゼルなどデュエットが楽しめるクリスマスソング集。美声の女性歌手が揃い踏みでハモりが素晴らしい。テノールの名手が歌う朗々たる「きよしこの夜」も一聴の価値あり。
● ムード溢れるロマンティックなクリスマス
・ The Classic Christmas Album / Elvis Presley
録音評価 ★★★★☆ 4つ
かつて放送禁止になったこともあるエルビス・プレスリーのクリスマスソング。ホワイトクリスマスや きよしこの夜 の悩殺ものの歌声から、それも納得。この芸風は彼のみ許される。故に永遠の名盤の1つ。
・ A Merry Little Christmas / Linda Ronstadt
録音評価 ★★★★☆ 4つ
ジョニ・ミッチェルのカバー”River”が素晴らしく、切なさが迫る。が、リンダ・ロンシュタットのどこかたくましい声音に救いを感じるところも。アルバムタイトル曲のJAZZYな歌い方もこの方ならでは。
・ Baby, It’s Cold Outside / Holly Cole
録音評価 ★★★★★ 5つ
なにを歌っても案配のよい黄昏感が醸し出されるホリー・コール。大編成のビッグバンドを擁してもアンニュイ感が漂うのはさすが。独特のアレンジが多く、冴えわたるのは”Baby, It’s Cold Outside”と”I’ll Be Home For Christmas”。
・ A Christmas Album / Barbra Streisand
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
クリスマスアルバムとして最大セールスと言われているバーブラ・ストライサンド の最初のクリスマスソング集。歌い方も音作りも今や多少古くささを感じるが、風格というか存在感あるアルバムで毎年1回は聴きたくなる。
・ Christmas Carols / Mantovani
録音評価 ★★☆☆☆ 2つ
マントバーニのキラキラ光るストリングスで聴くクリスマスの名曲の数々、メロウすぎで古風な味わいなのが格別。ホームオーディオ全盛だった往年のアメリカ家庭の気分で食後にゆったりと。
● チャーミングでラブリーなクリスマス
・ Carols in the Caves / David Auerbach
録音評価 ★★★★★ 5つ
民族楽器を用い、ナパバレーのワイン倉で録音されたクリスマスアルバム。ハープやダルシマーの爪弾かれる音が洞窟内に響く好企画。楽器音も濁らず奥行感もある超優秀録音。
・ A Winter Symphony / Sarah Brightman
録音評価 ★★★★☆ 4つ
サラ・ブライトマンの濁りのない繊細な声で歌われるクリスマスソングで敬虔かつ晴れやか気分に。2曲収録されたアヴェ・マリア各々からは彼女のオペラ的な側面とミュージカル女優としての側面が楽しめる。
・ Leroy Anderson Christmas
録音評価 ★★☆☆☆ 2つ
モノラル録音だがルロイ・アンダーソン自身の指揮が味わい深く、子供の頃を思い出す米国人のAmazonコメントが微笑ましい。冒頭の”Sleigh Ride”のみアーサー・フィードラー指揮のステレオ録音で鈴音をバックにした楽しい仕上がり。
・ Christmas Tree/ 松田聖子
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
この人は技巧も声質も優れ、どの曲もクオリティ高い。メドレーもよいし、”恋人がサンタクロース”はオリジナルより数段上を行く仕上がりで、ラスト・クリスマスで〆。ソニーの録音も素晴らしいし、クリスマスソングの名盤の一つ。
・ Les Plus Grands Succés De Noël / Muriel Dacq
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
ちょっと古めのフレンチポップ、ミュリエル・ダックによるクリスマスソング集。耳慣れた曲を美しいフランス語で聴くとどこか牧歌的なのが可笑しい。
● ゆったりリラックスなクリスマス
・ A Very Merry Perri Christmas / Christina Perri
録音評価 ★★★★☆ 4つ
懐かさを覚える美声のクリスティーナ・ペリーによるクリスマスソング集。”Happy Xmas (War Is Over)”のカバーは穏やかで高らかで心に染みる。毎年の愛聴盤。
・ A Dave Brubeck Christmas / Dave Brubeck
録音評価 ★★★★★ 5つ
軽妙洒脱、そして静寂。デイヴ・ブルーベックのピアノソロによるクリスマス音楽集。リズミカルだが、しんしんと雪降る”ジングルベル”やろうそくの炎をひっそりと眺めるような侘びある”O Tannenbaum”が素敵。
・ Christmas Songs / 手嶌葵
録音評価 ★★★☆☆ 3つ
マイクが口にも楽器にも近すぎるのだが、それでも心地よい。深夜になればなるほど、この方の声はジンワリくる。街でかかるような派手さはなく、静かでゆったり、たまに豊潤な12月の夜更け。
・ Cantate Domino / Oscars Motettkor
録音評価 ★★★★★ 5つ
超優秀録音で真夏のオーディオショップでも耳にするクリスマスの名盤。圧巻は”Weihnachtslied(O Holy Night)”とスイングする重厚オルガンのホワイトクリスマス。高い天井に立ち昇る合唱が再生できるか問われる。
・ A Christmas Celebration / Kathleen Battle
録音評価 ★★★★☆ 4つ
キャスリーン・バトルの細い声が活かされ、繊細で清らかで高貴さすら醸し出される美しいクリスマスソング集。聖夜に聴く彼女の歌声の”アヴェ・マリア”はまさしく絶品。伴奏もスラットキンの指揮で盤石の布陣。
・ Wintersong / Sarah McLachlan
録音評価 ★★★★☆ 4つ
のっけからサラ・マクラクランの癒やされる声で歌われる”Happy Xmas (War Is Over)”、情感豊かで伸びやかに歌い上げる名曲”River”、その後もゆったりした曲が続く。穏やかな冬の日に、まどろみながら聴きたい1枚。
・ Christmas Portrait / The Carpenters
録音評価 ★★★★☆ 4つ
カーペンターズの”Sleigh Ride(そりすべり)”は、このデュオにぴったり。カレンの明瞭で、可愛らしい歌声。スローテンポから速度を上げ滑るように展開し、声音の微妙な変化も伴い、見事な歌唱で心弾む気持ちに。
・ Joy A Holiday Collection / Jewel
録音評価 ★★★★☆ 4つ
アラスカ出身のジュエル・キルヒャーの七変化なボイスによる”O Holy Night”が素晴らしい。清らかな美声、この時期の白銀の北米を旅しながら聴きたい。
・ An Oscar Peterson Christmas / Oscar Peterson
録音評価 ★★★★★ 5つ
オスカー・ピーターソン 豪快な腕前はなりをひそめ、心地よい曲が続く。非の打ち所がない王道ジャズ クリスマス。”I’ll Be Home For Christmas”でのフリューゲルホルンの奏でる旋律に癒やされる。