海外でのオートバイのレンタル方法(レンタルバイク)は様々。今回はドイツ / ベルリン編をご紹介。ドイツで、どこの国とも異なったのが、レンタルバイクショップがネットでなかなか見つけられないこと。手こずりながらレンタルバイクショップを決め、出向くとなかなか辺鄙な場所だが、ショップスタッフが親切丁寧で順調な乗りだし。
● ドイツでオートバイを借りるのは一苦労、まずはレンタルバイクショップ探し
● ポータルサイト経由でホンダのバイクレンタルショップをなんとか選定
● ドイツでオートバイを借りるのは一苦労、まずはレンタルバイクショップ探し
今回、ベルリンでバイクを借りる際には、かなり難儀した。大概の国では「都市名+motorcycle rental」でググってみると、ずらずらとバイクショップ名が現れ、レンタルショップと直接メールでやりとりをすれば、こちらのリクエスト通りのバイクを用意してくれる。しかし、ベルリンには積極的にホームページでレンタル告知をしているバイクショップが少なく、大手のレンタルバイクショップもないようだ。
ハーレーは北米で大規模なレンタルステーションを展開しているのだけど、ドイツのオートバイの老舗メーカーであるBMWは本拠地ミュンヘンを除くと、さほどレンタルには積極的ではない様子。そこで仕方なく目についたポータルサイト経由でバイクの車種を決めて、所在地も不明なレンタルショップに仮申し込みをする形をとった。
レンタカーと異なりバイクのレンタルショップは大概町外れにあって、行きにくい。装備品などの荷物を担いで地下鉄などを乗り継いでいくには、少しでも町中から近い方が好都合。そのため、仮申し込みを入れないとお店の所在地すら教えてくれないポータルサイト経由の手配は、なんとも心もとない。
快適なツーリングにするためには、バイクにカウル(風防)やトップケース(頑丈な荷物ケース)が標準で装着されているかといった点の確認が必須である。カウルが着いていないバイクで高速走行すると、風をモロに身体で受け続けることになるのでかなり疲労が蓄積する。トップケースがない場合には、雨天走行に備えてその都度荷物の防水対応をしなくてはならない。これらの確認はレンタル料金を含めてお店と直接やりとりできれば早いのだが、ポータルサイトを通じてなので、時間も要して無駄も多かった。
しかも、ポータルサイトにはバイクの写真の下に「予約受付」表示があるのに、見積もりをとると貸し出し中で該当車種がないなんてことはザラにある。ドイツはレンタル相場が他国より高いので、安いバイクからどんどんハケていってしまうようだ。また、表示の条件と実際がちょっと異なるといったことが数件。メールなど直接のやりとりができればなんとなく信頼感がもてるのだが、ポータルサイト経由では借りるまではそれもままならない。
● ポータルサイト経由でホンダのバイクレンタルショップをなんとか選定
結局、安くて手頃かつベルリン近郊にあるという条件から、ホンダのお店に決定した。ただ、今回借りるバイクは、残念ながらカウルもトップケースもつかないとの情報。成約した後、バイクショップにメールをするも、なしのつぶてで返事がない。ようやく連絡がついたのは、ベルリンのホテルに到着後であった。
電話でレンタル予約がなされていることは確認できたが、ドイツ語しか話せないようで会話は微妙にズレており(笑)、詳細は不明のまま。当日、不安を抱えたままホンダのバイクショップに出かけた。駅で言うとUバーンのHermannstraße駅、ここからは徒歩で15分ほどの予定。
このあたりはノイケルン(Neukölln)地区と言い、いささかざわつく雰囲気でトルコ人など移民地区でもある。西ベルリンが戦後の人手不足の時に大量に一時移民を受け入れた。その後、彼らはベルリンの壁の近くで、家賃の安かったこの地区に定住したと言う。それが一大トルコ人街となったそう。レンタルバイクショップはたいてい辺鄙なところにあって、ちょっと緊張する雰囲気のところが多く、別の意味でたどり着くのがたいへん。そう言えばロンドンもニュージーランドもアメリカも皆いささか辺鄙なところにレンタルバイクショップはあった。
そして、バイク屋さん(Zweirad-Shop Cintula)に到着。明るい間取りの大きなお店でひと安心。
● とても親切なベルリンのレンタルバイクショップ
店に行ってみると、このバイク屋の方々が、かなりよい人たちだった。丁寧に提出書類を確認し、説明もしてくれ、英語が堪能なショップオーナー自らが対応してくれる。メールの返事がつたなかったのは、書面のやりとりが苦手な方々だったからかもしれない。
お店スタッフの構成は親子に加えてパートナーの方が一人。このパートナーの方以外は英語がNGで、提出したポータルサイト経由の書類(米国のサイトなので文面は英語)を読むのに苦労されていた。
事前の約束通りバイクグローブだけを持参したのだが「無料で貸すけどジャケットなどの必要はないか?」といろいろなアイテムを打診される、とても親切。「では、トップケースはお願いできない?」と装着されていないのを承知しながらダメ元で伝えてみると「ウチはつけてないんだけど」と言いつつ、なんと新品の荷台用バックを据え付けてくれた。着脱が簡易な可搬式のバックなのでそのまま鞄として使える優れもの。しかも防水である。重宝しそうでこれはとても嬉しい。
ベルリンの外れに日本人がオートバイを借りに来ることなどめったにないらしい。しかも日本車をわざわざ借りに来ているのだから、物珍しさもあっての親切かもしれない。
● レンタルしたバイクでベルリンに乗り出す
レンタルの受付が終わるとショップの裏に回ってバイク置き場へ。けっこう手広くやっている風で、旧車含めてたくさんのオートバイが並んでいる。
そして、提示されたバイクはこちらHONDA CBF500。 最近のバイクはずいぶん小型化進んでいる。トルクはあるのに軽くてコンパクト。そして、乗るにはちょっと気恥ずかしいくらいの赤色。
おきまりのバイク各所の機能説明がとても丁寧。そして、ショップの方にお礼を伝えていよいよ乗り出し。持参したGPSをその場で取り付けて出発。
レンタルバイクショップ(Zweirad-Shop Cintula)は、テンペルホフ空港のそば、なにかと有名なこの空港跡地を横目に見つつ、ベルリンの中心へ向かい試し運転。少々渋滞している場所で、前方で停止したタンクローリーのマークが直接的すぎて不気味(笑)、ただわかりやすいので助かる。
HONDA CBF500は軽く慣れてくると、ひらひらと蝶のよう取り回せる。歩くと駅から距離のあるティーア ガルテン(Großer Tiergarten)に寄り道して、公園ど真ん中の戦勝記念塔(Siegessäule)を拝んで、ホテルに戻った。明日からはいよいよドイツ国内の長距離ツーリングである。(次回に続く)