今回は長くベルリンに滞在するので映画『ベルリン天使の詩』のロケ地でもあるポツダムの州立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)を訪ねてみようかと思った。調べてみると入館証はオンラインで登録でき、図書館でパスポートを見せれば受け取れるとのこと。そして、この入館証を手に図書館お向かいにあるベルリンフィルハーモニーでのコンサート前の時間つぶしに何度も通わせてもらった。
○ 楽しい図書館訪問
○ ベルリンの2つの州立図書館 Staatsbibliothek zu Berlin Haus Unter den Linden
○ 天使が住まう図書館 Staatsbibliothek zu Berlin Haus Potsdamer Straße
○ ベルリンの州立図書館の利用方法
○ 楽しい図書館訪問
各国各地の図書館は、歴史ある建物が多く建築に見応えがあったり、旅人にも開架式の本棚が解放され背表紙を見ているだけで楽しかったりする。そこで旅中で時間がある時は図書館に立ち寄ることにしている。
歴史ある図書館で思い出深いのはアイルランドのトリニティカレッジ図書館。朝一番で入館したので静寂の大図書館がとても神秘的であった。そして、とてつもなく古い本たちに朝のお掃除でハタキをかけるおばさん達がなんとも羨ましく思ったことを覚えている。

その他にも美しい図書館はたくさん訪れた。
・チェコプラハ ストラホフ修道院(Residence Monastery Strahovský klášter)神学の間

・ゲルリッツのオーバーラウジッツ学術図書館
こういった美術館のような博物館だけでなく現役の図書館も訪ねると楽しい。
・ニュージーランド🇳🇿 南島の西海岸のホキティカ(Hokitika)
今回のベルリン逗留の直前に訪ねたオランダではどの図書館も開かれたスタンスであった。
中でもアムステルダム公共図書館 OBA Oosterdokは入館証どころか受付ゲートもなく驚いた。
一方、ドイツでは閲覧室に入るには一定の手続きをしなくてはならない。もしくは見学の為の手続きを受付でする必要がある。それでも図書館の開かれたスタンスは変らない。
ドイツ国立図書館(Deutsche Nationalbibliothek)のライプツィヒ館では、あまりに素敵な建物だったので守衛さんに中を見たいとお願いしたところ、司書の方に声をかけてくださり丁寧に館内各所を案内してくださった。

この時はドイツ語もできない突然の見学希望者への神対応に感激した。貴重な本ばかりなのだろう、書籍の持ち出しは不可とのことで、大きなコピー室と設備も見学させてくださった。
そして、建物の立派なこと、装飾の美しいことに驚かされもした。


○ ベルリンの2つの州立図書館 Staatsbibliothek zu Berlin Haus Unter den Linden
ベルリンは東西に分割されていた歴史があるのでなんでも2つある。動物園、オペラ座、そして図書館も例外ではない。現在ベルリン州立図書館はベルリン市内に2つあり、ひとつはウンターデンリンデンのフンボルト大学のお隣、フリードリヒ大王騎馬像の向かいに建っている。

このウンターデンリンデンの州立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin Haus Unter den Linden)建物は第一次世界大戦直前にでき、王立図書館の流れをくむ当時最大の図書館であった。広大なエントランスと言い、内部は宮殿のような豪華なしつらえであり、見学する価値は高い。


閲覧室も無駄に天井高がある感じなのだが、とても気持ちがよい空間となっている。

メインの閲覧室の周囲にも机が配置されており、古い建物ながら閲覧席は相応に確保してある。しかし、目抜き通りのウンターデンリンデンに面しており立地が良いので、熱心な学生で閲覧席はほぼ満席状態である。

希少本向けの閲覧室や地図の部屋などもあり、建物だけでなくコンセプトも重厚さを感じさせる。


○ 天使が住まう図書館 Staatsbibliothek zu Berlin Haus Potsdamer Straße
そして、東西分裂によって図書館がなくなってしまった西ベルリンはポツダムに新しい図書館を建てた。こちらが映画『ベルリン天使の詩(Der Himmel über Berlin)』で天使たちがたたずむポツダム広場の州立図書館である。

訪れてみると、映画中のあの静かでどこか天国を思わせる静謐さは、現実の州立図書館でもそのまま体験できた。

40年近くたっても映画撮影の時とほぼ同じ景色がそのまま残っていることにも驚かされる。
あこがれていた映画内の図書館そのもの雰囲気である。




読書する人に天使たちが寄り添う静かな清潔感を今も感じることができた。

この図書館の設計はハンス・シャロウンで、向かいにあるベルリン・フィルハーモニーの設計と同じ方である。今となっては多少レトロ感があるが、質実剛健さを感じ、文化の香りもするゆったりとした優れたデザインである。





○ ベルリンの州立図書館の利用方法(写真は主にポツダム館)
今回、ベルリンの州立図書館に入れないか調べていたところ、図書カード(入館証)がオンラインで手軽に入手できることがわかった。それなら、見学手続きなどをとる必要もないので、早速ネットから手続きをして、図書館に行った際にパスポートを見せて図書カード(入館証)を受け取った。手続きは以下の通りである。
1.図書カード(入館証)の入手には国会図書館のサイトからregistration formを入力して登録する。
https://staatsbibliothek-berlin.de/en/service/registration
2.日中に1階にあるインフォメーションデスクに行き登録後に受け取ったメールとパスポートを見せればその場でカードを受け取ることができる。

カードは3つの色とデザインから選ぶことができた。

3.館内に入る時には荷物をロッカーに預け、必要なものは透明袋か備え付けのバスケットに入れて入る必要がある。

また、ロッカーの大部分は自前の南京錠が必要なタイプなので忘れずに持って行く。


4.閲覧室に入る際に受付ゲートで図書カードを提示をして入館する。
ちなみにウンターデンデンリンデン館の受付はガラス壁で仕切られ敷居が高く感じるが、手順は全く同じで図書カードを提示すれば入館できる。


机は仕切り付など各種タイプがあり、電気スタンドと電源がとれるようになっている。

各机の電源はUSBではなくソケットタイプなので日本の電子機器の場合はアダプターが必要になる。

ちなみに図書カードとIDを得られると電子図書も見られるようになる。

図書館のお向かいはベルリンフィルハーモニーである。この図書カードのおかげでコンサート前の時間つぶしに何度も通わせてもらった。この界隈には公的施設ばかりで夕方になると美術館含めてどこも閉まってしまう。特に寒い冬の夜はコンサートホール向かいの州立図書館の存在には助けられた。