前回からの続き。テ・アナウ(Te Anau)からクイーンズタウン(Queenstown)へは、朝靄のかかった平原に、朝日を浴びて黄金色に輝く草原と絶景の大地が続く。映画『ロード・オブ・ザ・リング』中にいるかのようである。
そして、ワカティプ湖(Lake Wakatipu)を横目にクイーンズタウン(Queenstown)に向かい、絶品バーガー ファーグバーガー(Fergburger)を食べる。
セントラルオタゴ地方のワイン産地を抜け、 ワナカ(Wanaka)からワナカ湖(Lake Wanaka)とハウィーア湖(Lake Hawea)を並走し、絶景を楽しみながらサザンアルプス山脈(Southern Alps)を越える。
そして、ニュージーランド南島の西海岸(ウエストコースト)を走り、雑誌「コヨーテ」に掲載されていたロッジ フォックス・グレーシャーの ミスティピークス(Misty Peaks)に泊まる。
● テ・アナウ(Te Anau)からクイーンズタウン(Queenstown)へ
● クイーンズタウン(Queenstown)で絶品バーガー ファーグバーガー(Fergburger)
● クイーンズタウンを出発すると。またもやワイナリーの中で工事渋滞
● 巨大な山脈の入口 ワナカ(Wanaka)
● ニュージーランド南島の西海岸(ウエストコースト)を走る
● フォックス・グレーシャー(Fox Glacier)に泊まる
Te Anau→Mossburn→Queenstown→Fox Glacier 550km
● テ・アナウ(Te Anau)からクイーンズタウン(Queenstown)へ
本日の走行予定距離は500km超と長いので、日の出前の早朝に出発する。出発しようと思い、バイクのシートを見ると、なんと霜がおりている。日中は暖かくても、夜はかなり冷え込むようだ。この肌寒い朝、テ・アナウ湖は靄がかかっており、神秘的である。
しばらく走るも景色に朝靄がかかり、うっすら朝日が射す景色は幻想的ですらある。
早朝の出発は寒いながらも風景が美しく、オートバイの旅では欠かせない。やはり日の出直前からの景色の変化が一番美しいと感じる。特に朝日を浴びた山肌や平原が黄金色に染まる光景は圧巻である。
ニュージーランドの牧場は羊ばかりが目立つが、まれにアルパカがいる。人間より多い羊の次によく見かけるのが、牛、そして若干鹿もいる。ただ、豚や鶏はほとんど見かけない。
クイーンズタウン(Queenstown)が近づくとまずはワカティプ湖(Lake Wakatipu)が迎えてくれる。クイーンズタウンの周辺は映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケが行なわれたところが多く、この湖の近辺の連山などにもその趣を感じとることができる。
その映画『ロード・オブ・ザ・リング』の中つ国っぽい雰囲気の連山と湖を横目にバイクを走らせる。これまでもニュージーランドでは幾たびも湖沿いを走ったが、この湖に並走する景色はベストかもしれない。延々と連なる山々が湖に映り、その山々にはかすかに雲がかかる。この美しい景色を横目に走り続ける。
● クイーンズタウン(Queenstown)で絶品バーガー ファーグバーガー(Fergburger)
クイーンズタウンはニュージーランド南島南部のほぼ真ん中に位置するので、名所へのアクセスがよく、絶景に恵まれている。元はゴールドラッシュで栄えた街らしいが、その趣はなく今はアウトドアやウィンタースポーツの中心地のような街だ。すぐそばにはバンジージャンプ発祥の地もある。そんな為か、小ぶりながら商店街にも充実した店が多い。
そして、クイーンズタウンと言えば名物バーガーのファーグバーガー(Fergburger)。他国からわざわざ訪れる人も多いという名物バーガーだ。入口は2つあり、ひとつはバーガーショップ、もうひとつはパン屋。だからバーガーのバンズもとても美味しい。パン屋のほうではサンドイッチなんかを買うことができる。
バーガーショップは人気があり、かなり混んでいるので並ぶと言う噂だったが、さほどでもなかった。落ち着いた内装で、店員も気さく、有名店とは思えない良い雰囲気である。
注文してしばらくしてバーガーができあがり、できたてを店内でほおばった。大きさはやはりニュージーランド風で、手の平を拡げたくらいの大きさ。1つでお腹いっぱいな分量である。
お味は評判通り、肉の旨味を引き出した上手な焼き上がりで、油分少なめのお肉から肉の美味しさが前面にせりだしてくる。ソースも肉の味を邪魔しないし野菜と共にお肉を引き立てる。
● クイーンズタウンを出発すると。またもやワイナリーの中で工事渋滞
クイーンズタウンを出てしばらくすると、落石で道路閉鎖。今度はかなり長い車の列だ。陽気が良い谷間で皆さん手持ちぶさたな様がなんだか可笑しい。地元の人は、こう言った事故に慣れていらっしゃるのか、悠然としたもので、復旧を待つ長い車列から乗客らはめいめい降り立ち、ブドウ畑の横で休憩していた。
自分も道路脇の草むらで横になって寝てしまう。見上げる空は青く、なんとも気持ちがよい。そう言えばヨセミテの倒木による道路閉鎖でも木陰で昼寝をしていた。妙なようだが、こういうトラブル時は先を急いだり、はやる心など持たずに、風任せにしてしまうほうが旅は楽しめる。
ちなみに、この辺りはワイナリーが点在しており、セントラルオタゴ地方はワインの産地として有名である。たまたまであるが渋滞に遭って、ブドウ畑をゆっくり眺めることができた。ニュージーランドらしく、切り立った山の麓にあり、一般的な丘陵地帯のブドウ畑とはちょっと異なる景色だ。
このオタゴ地方のワイナリーはニュージーランドで最も標高が高い所に位置する。土壌は氷河が岩盤を削ってできたらしく、土は細かく水はけがよく、ワイン造りに適しているらしい。ニュージーランドは英国文化圏ながらワインも、とても美味しい国なのであった。
● 巨大な山脈の入口 ワナカ(Wanaka)
クィーンズタウンと双璧をなす湖畔の美しい街。ここもアウトドアスポーツのハブになる街だが、クィーンズタウンよりも落ち着いた様子だった。ここにはパズリング・ワールド(Puzzling World)という、開園から30年以上経つアトラクションがあり、巨大迷路や傾いた塔、錯覚を利用した部屋などを楽しめる。
ニュージーランド南島で東側から西側にわたるには、大きな山脈を越えなくてはならない。そのサザンアルプス山脈(Southern Alps)を越える入口がワナカだ。
そして、この街を出発点とすると巨大な湖、ワナカ湖(Lake Wanaka)とハウィーア湖(Lake Hawea)を並走する絶景が続くドライブコースになる。こういった壮大な景色に何度も行き会うのがニュージーランドツーリングの魅力かもしれない。また、山道なのでバイク乗りにはたまらないワインディングコースがワナカ近辺では続く。
● ニュージーランド南島の西海岸(ウエストコースト)を走る
山脈を越えると南島の西側に出ることになる。ここからはウエストコーストであり、タスマン海に沿って走る。
海沿いなので海に流れ込む河川を渡る為に橋を通過することが多くなるのだが、この近辺の橋はほとんど一車線。頻繁に対向車が来ない前提なので、これで十分なのである。橋に入る前にどちらの入り口が優先なのか、表示がしてある。対向車が来ていれば、入り口付近の停止線で止まって待機する仕組みになっている。
そして、島の西側に来るとシダ類を目にすることが増え、南国的な景色に変わる。ニュージーランドの象徴とも言えるシダ、その中でもシルバー・ファーン(Silver Fern)はニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」のロゴにも使われており、一時は国旗にあしらうことも検討されていたほどだ。
海岸線と森を交互にぬけて走ると、やがて、本日の目的地フォックス・グレーシャー(Fox Glacier)に到着した。
● フォックス・グレーシャー(Fox Glacier)でロッジ ミスティピークス(Misty Peaks)に泊まる
ここフォックス・グレーシャーでは、雑誌「コヨーテ」に掲載されていたロッジ ミスティピークス(Misty Peaks)に泊まる事ができた。街に着いて、直接ロッジを訪ねたところ部屋が空いているとのこと。オーナーに中を案内してもらうと落ち着いた佇まいがとても気に入り即決した。
オーナーのDaveさんはとても親しみやすく、バイクも部屋の前に停めるように勧めてくれる。これで荷降ろしも整理もとても楽である。オートバイは積載量が少ない為、荷物をコンパクトにまとめて、うまく分割して詰める必要があるので、部屋の前にバイクをおかせてもらうと、荷物を降ろすにも積むにも作業がとても円滑だ。
そしてこのロッジの魅力は大自然に囲まれているところ、フォックス・グレーシャーの村はとても小さいが、ロッジは村の中心部から1kmほど離れている。とても静かで、マウント・クック国立公園の山々が見える。
夕食はロッジから1kmほど歩いてフォックス・グレーシャーのど真ん中にあるカフェレストラン Cook Saddle Cafe & Saloon に出向いた。ここで飲んだビールがあまりに美味しくて、今宵からワインをビールに切り替えることを決める。
ニュージーランドには有名な醸造所がいくつかあり、ビールの種類が豊富でとても美味しい。新鮮で風味が素晴らしいのである。
たっぷりめの夕食とビールでほろ酔い気分になりながら黄昏時にロッジに戻った。(次回に続く)