中世の主婦の暮らしぶり / オランダ デンボス訪問記-中世の暮しの資料館

中世の主婦の暮らしぶり / オランダ デンボス訪問記-中世の暮しの資料館

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前回からの続き。オランダ南部に デンボス(Den Bosch) / スヘルトゲンボス(‘s-Hertogenbosch)という中世の面影を多分に残す要塞都市がある。美しい街なので自国民のオランダ人には人気の街なのだが、日本ではあまり取り上げられることがない。中世の街並みが美しく、レンガ造りの家々の周囲や下に無数の運河が張り巡らされ、独特の景色のある街で、教会の奇っ怪な石像たちなど見所が多い街なのに残念である。この街は更に画家のヒエロニムス・ボスの生誕の地としても有名である。2016年、そこで彼の没後500年で大回顧展が開かれ、街を散策する機会を得た。
そして、中世の資料館(Groot Tuighuis )を訪れ、中世の主婦の暮らしぶりを丁寧に教えていただいた。

デンボス / スヘルトゲンボス へ
中世の主婦の暮らしぶりを 中世の資料館(Groot Tuighuis)で学ぶ
中世の巡礼土産は観光バッチ

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館   要塞都市の面影のあるお堀 @Den Bosch
要塞都市の面影のあるお堀 @Den Bosch

● デンボス / スヘルトゲンボス へ

前回は中世の画家ボスについて書いたが、今回はボスの名前の由来となった街、デンボス / スヘルトゲンボス と言う素晴らしい街そのものについてご案内したい。

デンボスはスヘルトゲンボスとも言うがオランダ国内ではデンボスのほうが一般的に使われているようだ。この街はオランダのほぼ中央に位置し、逗留していた街アーネムから車で小一時間。街の外縁部に立派な地下駐車場があり、車は簡単に停めることができる。こういった駐車場がオランダの都市内には豊富にあり、とても助かる。

駐車場を出てテクテク歩いていると、この街が中世の趣を多分に残す街だとわかる。この街は日本のガイドブックに詳しい記載がなく、ネットでも情報が限られているのだが、立派な城壁に囲まれ、街中には水路が走り、レンガの古い建物がそこここにあって素通りしてしまうのは残念だ。

● 中世の主婦の暮らしぶりを 中世の資料館(Groot Tuighuis)で学ぶ

街中に向かう途中、立派な古い建物があり、ボスの回顧展の旗がかかげてある。事前にインターネットで調べた際に気がつかなかった施設なので、なんだろうと思い、近づいてみると無料の展覧会の様子。ドアを開けて中に入ると、早朝で受付のご婦人のみしかいない。どうぞどうぞと招き入れられ、英語のパンフを渡される。どうもこの街の歴史展のようだ。これから街に入るので、最初に見学するにはちょうどよい。

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  中は街の歴史館(Groot Tuighuis)@Den Bosch
中は街の歴史館(Groot Tuighuis)@Den Bosch

ぶらぶら館内を見ていると、中世の生活がわかるような、装具や日用品の膨大なコレクションが並んでいる。そこへ、先のご婦人が展示ブースに来てくださり、解説しましょうか、と。これ幸いとお願いする。早朝なので客もおらず、東洋人がひとり何もわからぬだろうと気を遣ってくれたのだろう。その為、とても丁寧に中世の暮らしぶりがわかるような説明をしてくださった。

説明によるとこの建物(Groot Tuighuis )は元は教会だったらしい、それが兵器庫になり、現在は考古学の博物館になったとのこと。そのため、中世の出土品がたくさん展示してあり、当時の生活ぶりがわかるような内容になっている。

例えば、中世の主婦たちの暮らしぶりのブースでは、中世の女性は1人1人専用の包丁(ナイフ)を持っていて、外に行ってもそれを使うために、持ち歩いていた等の説明がある。だから欧州の人たちはペティナイフを上手に使いこなすのかと合点がいく。また、このナイフの装着例をマネキンを示しながら教えてくださる。

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  ナイフ食器類@Groot Tuighuis
ナイフ食器類@Groot Tuighuis
オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館 ナイフの装着の仕方@Groot Tuighuis
ナイフの装着の仕方@Groot Tuighuis

買い物用の皮の財布であるとか、当時の女性の靴であるとか、も展示品をひとつひとつ説明してくれた。

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  革靴を造る際の木型と当時の職人の絵@Groot Tuighuis
革靴を造る際の木型と当時の職人の絵@Groot Tuighuis

食器なども当時は金属が高価だったので、器具のほとんどが陶器であった等の説明を交えて陶器のザルなんかも、指し示してくれるので、とてもわかりやすい。

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  上はパン/フライパン、下はザル、共に陶器@Groot Tuighuis
上はパン/フライパン、下はザル、共に陶器@Groot Tuighuis

こちらの施設では、こういった陶器の修復をしているようで、やはり、これだけ完全な形で残っているのは珍しいらしい

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  修理工房@Groot Tuighuis
修理工房@Groot Tuighuis

● 中世の巡礼土産は観光バッチ

面白かったのは巡礼の展示。ホタテ貝は、巡礼のシンボルで装着事例も展示してある。また、巡礼土産の存在。自分用土産と巡礼に行けない人に対しての土産を兼ねて、各聖地が作っている巡礼バッチがあり、これも装着の仕方を説明してくれた。山バッチや観光バッチの起源はこれだったのか!と納得。この巡礼バッチのデザインも巡礼先によって異なるので、どこに巡礼したのかの証明の役目も果たし、更にこのバッチにはお守りの役割もあったようだ。

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  ホタテ貝の装着事例@Groot Tuighuis
ホタテ貝の装着事例@Groot Tuighuis
オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  各聖地の巡礼バッチ@Groot Tuighuis
各聖地の巡礼バッチ@Groot Tuighuis
オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  巡礼バッチの装着事例@Groot Tuighuis
巡礼バッチの装着事例@Groot Tuighuis

こちらの博物館を去る際に、我が街のカテドラル(聖ヤン大聖堂 / 聖ジャンス聖堂 Sint-Janskathedraal)だけは観てくださいね、と言われ、これまたノーチェックだったので、この機会に教えていただき、とても運が良い。いただいた地図を元にブラブラ歩くと、目の前に実に立派なゴシックのカテドラル。さすがボスの街だけあって、造形の細かい装飾が壁面いっぱいにへばりついている。ちょうど葬儀中だったのと、ボスの展覧会の時間になったのでカテドラル見学は後回しにした。(次回に続く)

オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  聖ヤン大聖堂(Sint-Janskathedraal)@Den Bosch
聖ヤン大聖堂(Sint-Janskathedraal)@Den Bosch
オランダ デンボス スヘルトゲンボス 訪問記 中中世の主婦の暮らしぶり 中世の資料館  ちらっと聖堂の中も覗かせてもらう@Sint-Janskathedraal
ちらっと聖堂の中も覗かせてもらう@Sint-Janskathedraal

オランダ / デンボス、スヘルトゲンボス

<詳細情報>
・中世の資料館 Groot Tuighuis
Bethaniestraat 4, 5211 LJ ‘s-Hertogenbosch