海外でのオートバイのレンタル方法(レンタルバイク)は様々。今回はフランス / パリ編をご紹介。
ちょっと早めに起きて、ツーリング途中で食べようとサンドイッチをつくり、バスティーユにあるレンタルバイクショップ Darcos へ向かう。
そして、初体験となる三輪スクーター(Piaggio MP3 400LT)を駆り、両大戦の休戦条約が結ばれたコンピエーニュの森(Forêt de Compiègne)に向かう。コンピエーニュの森には史跡として休戦条約が結ばれた列車が「休戦の客車(Wagon de l’Armistice)」として博物館に展示してある。
そして、パリへの帰路の途中はシャンティイ (Chantilly)に立ち寄り、ルーブル美術館に次ぐと呼ばれるコンデ美術館(Château de Chantilly – Musée Condé)へ。
● パリでオートバイを借りる
● レンタルした三輪スクーター(Piaggio MP3 400LT)の乗り心地
● パリの渋滞をクリアして コンピエーニュの森 へ
● ヒトラーの22年越しの復讐の舞台となった客車
本日の行程、パリ市内から高速道路にのり延々と北上し、コンピエーニュの森(Forêt de Compiègne)。その後は南下してシャンティイ (Chantilly)のコンデ美術館(Château de Chantilly – Musée Condé)に立ち寄る。全行程225kmのお手軽ツーリング。
● パリでオートバイを借りる
時期は3月半ば、パリに着いた頃から若干寒い日が続き、朝は吐く息が白くなる。この気候でバイクに乗るのはどうだろうか、といささか迷っていた。今回は自然堪能ツーリングではなく史跡訪問が中心なので、凍えるような思いをしてまで苦行に耐える必要性も感じない。
しかし、本日は朝から青空で、パリに来て初めての暖かい春の日射し。なかなか電車では行きにくいパリ近郊の街も多々あるので、フランスでの初のバイクレンタルを試してみることにした。ヨーロッパでは、イギリス、ドイツに続いて3回目のバイクレンタルである。
パリでオートバイを借りることができる場所を事前にネットで調べていたところ、たいがいのお店は英語ページを用意しているのに、よさそうな雰囲気のレンタルバイクショップがバスティーユにあるのだが、ここだけがフランス語表記のホームページだった。フランスらしいな、と思い気に入りつつも、フランス語のみでは保険手続き、バイクの使い方、返却方法など、細々したやりとりに不安を覚える。
そこで、予約をせずに直接店に行ってみることにした。行ってみるとバスティーユ広場そばにはバイクショップが並び、昔の上野のバイク街の様相。
入店してみると、こちらのお店 Darcos はかなりしっかりした対応で、店主とおぼしき方が英語でしっかり説明してくれた。立地もパリの真ん中で、大型バイクもいくつか常備してあることから、観光客のみならず、フランス人相手の商売をメインに据えているのかもしれない。観光客商売のみでないのは、いろいろな意味で安心できる。そして、レンタル料金は他国と比べても安いし、さすがオートバイ天国の国だと感心する。
Darcos
64 Boulevard Beaumarchais 75011 Paris
車種も目の前から選ぶことができた。そこで、ピアッジオ(Piaggio)の400ccの三輪スクーター(Piaggio MP3 400LT)を指定すると、すぐに準備をしてくれる。
バイクの蔵出しの際にバッテリーをチェックしたところ、電力が弱かったようで、即座にバッテリー交換をしていた。以前、英国のレンタルバイクのバッテリー問題で痛い目にあったので、即座にバッテリーを交換してくれたのはかなり心強い。店主は一般的なフランス人のイメージと異なり、とてもマメで無愛想ながら丁寧、そして明瞭。初めての三輪スクーターなので操作方法はしっかり説明してくださり、こちらが尋ねたことにも細かく説明をしてくれる。こういう時は変に愛想がよくて「大丈夫、大丈夫」と言っているような方より格段に良い。
● レンタルした三輪スクーター(Piaggio MP3 400LT)の乗り心地
三輪スクーターは、操作手順が独特であった。停車時に車体を保持するスタンドがついておらず、停車時はハンドルをロックするスイッチがある。これで前輪の二輪がロックされるので、車体が倒れないようになるのだ。また、車で言うところのサイドブレーキがあり、停車時はこれを引く。
また、例によって最近の欧州バイクはイモビライザーがついているので、これも駐車時のセット、発車時の解除が必要。これを忘れると駐車時に大音量のアラームを鳴らすことになるので気恥ずかしい。
その他、積載量が多く、シート下、リアにも収納ができ、その施錠用のボタン(無線)もキーに付属している。ここの施錠が甘いとエンジンがかからないしくみで、イタリアメーカーのピアッジオ(Piaggio)もなかなか細やかなモノ造りをしている。
三輪スクーターは、乗ってみると、たいした安定性で、ちょっとした悪路や高速走行では、非常に効果的。横風にも強いので、高速道路では120kmくらいだしても不安感が全くない。リッターオーバーの大型バイク並みの安定感である。されど車体重量は重いと感じさせず、走行中度々出会うラウンドアバウトくらいのカーブだと、とりまわしもとても楽だった。
● パリの渋滞をクリアして コンピエーニュの森 へ
そして、出発。朝のパリ市内はたいそう混雑している。そして、マナーは悪くはないが、バイクも車もちょっと強引な感じで。ウィンカーを出さない車も多いので注意が必要。
渋滞でも慌てる必要もないので、パリ市内もゆっくり周囲を見ながら流すのも気分がよい。
朝から天気がよいので、まず目指したのが、コンピエーニュの森(Forêt de Compiègne)。パリから100キロほど北に向かったところに広い森があり、ここは両大戦の休戦条約が結ばれたところとして有名である。 コンピエーニュの森 付近までは高速道路を活用すれば苦労もない。
● ヒトラーの22年越しの復讐の舞台となった客車
第一次大戦も第二次大戦も休戦条約は列車の同じ客車で締結された、そして、その客車はレプリカながら精巧につくられ休戦の客車(Wagon de l’Armistice)として博物館に飾られている。
博物館前に到着すると アルザス=ロレーヌの記念碑が迎えてくれる。この碑は連合軍の剣がドイツ軍の鷲を突き刺さしている様を表現している。
この客車は、第一次大戦の休戦時から人気があり、保存方法で揉めたり、記念行事にひっぱりだこであったらしいが、最終的にはコンピエーニュの森の博物館に収蔵された。しかし、今度の第二次大戦では、ドイツはわざわざ博物館内にあったものを壁を壊して、第一次大戦休戦時の場所までひっぱりだし、屈辱を晴らす形で休戦調停に使用した。ヒトラーの22年越しの復讐である。
この調停の後、客車はドイツ国内に移送され、同じく展示されたりとしていたらしいが、第二次大戦の戦禍で消失。現在、展示されているのは精巧なレプリカとのことだ。
コンピエーニュの森を散策した後は、これまた以前から行ってみたかったシャンティイ城内のコンデ美術館(Château de Chantilly – Musée Condé)に向かう。(次回に続く)