アムステルダムに11日間逗留した。街に着いてぶらぶらと散歩をしていると小綺麗な中古レコード店に行き会った。とても親切な店主であり、お話をしていると、帰り際にアムステルダムの中古レコード店マップをくださる。「ヤバい」と注意喚起の警告が頭をよぎる。なにしろレコードは重い、かさばるし、旅先で聴くわけにもいかない、旅のお供としてはふさわしくないのがレコード。大昔のことだが、あまりの重量と真四角の包みを怪しんだ成田の空港税関職員に、保護した包装を破かされ中身を確認されたこともあった。
しかし、このいただいたレコードマップのおかげでムクムクとアムステルダムのレコード店を物色したいと気持ちが沸いてきてしまい、どうしようもない。当たり前のことながら、アムステルダムで売られているLPレコードはすべて外盤(笑)。中には高音質の初期盤なんかもあるかもしれない。それで、地図を片手に近くを散歩する都度、各レコード店を覗いてきた。
店内で物色したジャンルは、ある程度自分でも目利きのできるクラシックのみであるが、価格情報は他ジャンルにも当てはまるので、アムステルダムを旅するレコード好きの方は参考にしてくださればと思う。
● アムステルダムレコードマップ(Vinyl Amsterdam)
● アムステルダムの訪問レコード店
● 番外)個性的な女店主のクラシック専門CDショップCharles Muziek
● アムステルダムレコードマップ(Vinyl Amsterdam)
最初に訪れたお店でいただいたアムステルダムレコードマップはこちら。17店舗掲載されており、その中の8店舗を今回の旅で訪問した。どのお店も個性的であって、店構えも独特、棚の分類方法も店ごとに異なるし、店主たちの個性も雑多、それがお店の雰囲気を魅力的なものに引き立てていた。
チェーン店などにはない味わいに、ヴァイナル・ラヴァーであれば、どのお店でも楽しいひとときとなること請け合いである。


また、こういった中古レコード店以外にもアムステルダムではいたるところで蚤の市が開催されており、古物店やリサイクルショップなんかも散歩をすると見かける。これらでも大量のレコードが売られていた。
ただし、こういったお店ではレコード盤の状態は良くないものが多く、ジャケットもカバーがされていないので、汚れたり劣化しているものが多い。ただ、店舗でみかけない珍盤も多く、眺めていて楽しい。

写真はアムステルダム近郊のホールンのリサイクルショップで見かけた1枚。ストリートオルガンのLPでちょっと聴いてみたくなったが盤面が傷だらけで見送ってしまった。

● アムステルダムの訪問レコード店
○ City Records – Second Hand Vinyl LPs and 45s

冒頭に書いた親切な中古レコード店とはこちら。価格は標準よりやや安価。クラシックのLPは売れないのか、店内奥の棚下に投げ売り状態であった。そこで中腰でこれを眺めていると、優しい店主が椅子を持ってきてくださった。
DECCA PHILIPSのオリジナル盤に近いものがあり、思わず数枚を購入してしまった。旅の序盤なのに荷物がいきなり増えてしまった。こちらのお店でアムステルダムレコードマップ(Vinyl Amsterdam)をいただいた。(Vinyl Amsterdam #4)

○ Platypus Record Shop – Platypus Records

店内はさほど広くなく値段は通常価格。クラシックLPはほぼなかったが、ジャケットなしのむき出しLPの中にクラシックのLPがいくつか平積みされていた。(Vinyl Amsterdam #9)
○ Black Gold Amsterdam

レコードは置いてあるがカフェの色彩が強い。音量大きく音楽がかかっており、賑やであった。クラシックLPはなし。(Vinyl Amsterdam #2)
○ RecordFriend Elpees

店内は広く、品物も豊富である。レコードプレーヤーも販売している本格派のレコード店である。

クラシックLPはあるがやや高めであった。セール品は廉価版ばかりであったので、値付けがしっかりしているレコード店。(Vinyl Amsterdam #10)

○ Amstel Antiques Records

店内はかなり広くクラシックLPも数が揃っている上に安価であった。珍しい盤やDECCA PHILIPS盤が充実していた。(Vinyl Amsterdam #1)

○ Record Palace Weteringschans

店内には地下売場もあって広い、クラシックLPもそれなりに揃えてあり価格も手ごろであった。日本盤のジャズコーナーがあって驚いた。噂通り海外では日本盤が大人気らしい。

店主曰く「年に2回フランス経由で仕入れていて、だから値段が高くてね。でも、地下にまだ在庫があるけど、店頭に出すとすぐ売れるんだよ」と。この日本盤コーナーを物色している男性から日本人か?と話しかけられた。男性によると、やはり日本盤のビニールの材質が良くて音も良いとのことである。但し、お値段は相応であった。(Vinyl Amsterdam #11)

○ Second Life Music

店内は2階もあって凄い在庫量であった。但し、整理が追いついていないようで、棚下は雑然としており、展示レコードも少々湿気てしまっていた。ちょっとレアなレコードがあったので、探す楽しさはある。クレジットカードは使えず現金払いなので要注意。(Vinyl Amsterdam #14)

○ Velvet Music Amsterdam

店内はそこそこの広さで清潔感がある。クラシックLPの在庫はあったが、量は多くはない。ただし、新品LPも販売している。(Vinyl Amsterdam 非掲載)

● 個性的な女店主のクラシック専門CDショップ Charles Muziek

博物館からの帰り道に近くまで来たので、こちらのクラシック専門CDショップにも立ち寄った。Google Mapのコメント欄には「女性スタッフの対応がぞんざいで、オランダ語を話せないと対応が悪い、人種差別的」などと書かれていたので、少々を不安に感じながら入店してみた。
すると、そんなこと全くなく最初から女性店主が英語で対応してくださって、まずは棚ごとにどのような区分がされているか、丁寧に説明をしてくださる。いろいろとお勧めするのがお好きなのだろう「好きな作曲家は誰か?」と尋ねられたので、昨日聴いたばかりのブルックナーと答えたところ、取り出してくださったのがハイティンクの最後のコンセルトヘボウでの演奏、CDなら日本で買えばよいのだけど、お話しが楽しいので記念に購入することにした。

他に何か欲しいものはないか尋ねられたので、今度はスプラフォンレーベルでレアなものを探していると伝えると、探し続けてくださる、それでご一緒に棚を片っ端から10分くらいかけて、すべて漁った(笑)。まあこのご時世にCDなんぞ売れるわけもなく、クラシック音楽もどうやら人気がないようなので、店は閑古鳥なのかもしれない。店主も時間をもてあまし気味のようだった。それに商品群のCDは少々くたびれ気味であることに気がついた。それでもこれだけ在庫があるとレアなディスクをぼちぼち見かける。
店主は慣れると更に気さくになり、一緒にいて楽しい。「日本人はLとRの発音ができないね~」と言われてしまい、ブルックナーの発音練習(笑)をさせられた。自分からは「コンセルトヘボウ」と言ってみてくださいと頼むと、オランダ語ではこうとか、面白おかしく発音を聴かしてくださる。たかだかCDを購入するだけなのに、ずいぶんと楽しいひとときだった。
最後に、写真を撮ってよいかと尋ねると「恥ずかしい」と(笑)、それで撮ったら撮ったで、今度は見せろとおっしゃる(笑)、曇り空の肌寒い日だったが、なんだか気分良くなってその後の散策も楽しめた。
ちなみに会計はクレジットカードは使えず現金のみであった。アムステルダムに来て10日経つが初めてこの時現金を使った。
