Technics SL-G700の導入がうまくいき、その音に惚れ込んでしまったので、SL-G700の力をもっと引き出したいと考え、室内にお手軽なルームチューニングを施した。使用したチューニングツールは、ウクライナの吸音材 UA Acoustics の製品。こちらが評判がよいので輸入してみることにした。
○ ウクライナからルームチューニング商品を調達
○ ウクライナの通販状況/送料や期間
○ ルームチューニングの成果/テレビの扱いに苦慮
○ ウクライナからルームチューニング商品を調達
最近は自宅で動画配信したりする人が増えて、オーディオ向けというより簡易自宅スタジオ用の部材として吸音パーツが注目されているようだ。こちらも前回同様に若い販売スタッフから情報をいただいた。
ところで日本製のこの類いのルームチューニング商品はなぜかお高い。素材はどう見てもたいしたことなく、造りもシンプルなのに「なぜ?このお値段」と思わぬことはない。それにオーディオアクセサリーは健康食品さながらのオカルトめいた商品もたくさんあるし、中華製の性能が定かでないものも多く流通している。
であれば、コンセプトはしっかりしているようなので、送料込みでも格安なウクライナアコースティックス社の吸音材を取り寄せることにした。
天井コーナーやその下の黒い物体がウクライナアコースティックスの吸音材である。もう少しカラフルなものにすればよかったと少し後悔している。吸音材を黒色にしたのと試聴用に予備スピーカーを並べたので、自宅部屋がオーディオショップの店頭のようになってしまった。
○ ウクライナの通販状況/送料や期間
このウクライナアコースティックスのルームチューニング商品すべて(パーツ左右合わせて6個)で、送料53.26$(Japan/Chine/Korea Weight: 3.80kg)とのことだった。ウレタン素材なので圧縮されてパッケージ郵送されてくるが、それでも大きい。その為、送料は妥当と言うより、むしろ安価なような気がする。また、購入メールに記載のあった番号でトラッキングが可能な為、紛失の心配はなさそうである。
到着まで要した時間は2週間あまり、商品発注の翌々日にはキーウ(キエフ)荷物引き受け、更にその翌日にはキーウで通関が完了していたので、対応は早い。
その後、日本の空港に到着するまで10日ほどはトラッキングの更新はされなかった。その期間ががいささか心配ではあったが、それも杞憂で終わる。日本の空港に到着すると、扱いはウクルポシュタ(ウクライナの郵便局)から日本郵便局に切り替わり、中1日で自宅に届いた。ウクライナは戦時下であることを考えると、とても安定した物流体制である。
○ ルームチューニングの成果/テレビの扱いに苦慮
ルームチューニングで問題なのは、スピーカーの間に設置したテレビである。大型テレビはスピーカー背後で反射板のような働きをしてしまうので、やっかいである。そもそもスピーカーの間にものを置くこと自体が避けたほうがよい。
そこで、テレビを自作の吸音パネルで覆うようにした。自作と言ってもホームセンターでダンボールシートを買ってきて、そこに吸音パネル(TroyStudio 吸音パネル 40x30x12mm 12枚)を両面テープ(3M VHB両面テープ 強粘着)で貼りつけるだけである。尚、両面テープは幅18mmほどの面積の広いテープを用いると安定して貼り付けられる。
ウクライナアコースティックスの吸音材と自作の吸音パネルを用いた結果は上々で、音場感かなり向上した。やはり、四角い部屋にはなんらかの音響対策をしたほうがよいようだ。
いろいろ試してみたところ、なぜか吸音パネルでテレビを覆うよりも、スピーカー後ろに吸音パネルを設置したほうが音場感アップには効果があった。試してみないとわからないものである。
吸音素材について、いろいろ調べると吸音効果はウレタンよりもポリエステルやグラスウール素材のほうがよさそうである。ただ、グラスウールは劣化すると埃として飛び散るので、以前使用した際に難儀したことがある。そこで今回はポリエステルのパネルにしてみた。
ルームチューニングの結果は、音響ケーブル交換のように音質が大きく変ったりしないので、激変とは言えないが、音のまとまりはとても良くなり、音像がしっかり把握できるようになった。それ故、長く音楽鑑賞をする場合はやはりルームチューニングを施したほうが絶対に良い。
また、吸音材を設置すると隣室への防音効果も多少見込まれるので多少音量を上げて再生ができるようにもなる。
オーディオショップの若者からの指南によって、サブシステムもずいぶんと現代風の音環境になった。おかげで、この音盤にこんな音が入っていたのかと、今更ながら気がつかされることが多く、サブシステムでもいろいろなCDを引っ張り出してかけている。
ビル・エヴァンスでもサザンでもオペラでも、聞き逃していた音が鮮烈に耳に届くのは刺激的である。音楽好きの方には、自分の好きな音源を持参してオーディオショップを尋ね、若い販売スタッフにそれをかけてもらうことを強くお勧めしたい。死蔵している古いCDから生々しく本物の音が聞き取れて驚くと思う。