ハーレー エレクトラグライド(Harley-Davidson FLHTC ELECTRA GLIDE CLASSIC)をレンタルし、オレゴン州とカリフォルニア州ではたくさんの美味しいものに巡り会えた。両方の州にはたくさんの美味しいワインを造るワイナリーがあって、海の幸も山の幸も豊富である。これだけ豊かな食材があるのだから、料理も当然旨い。アメリカの食事が美味しくないというのは、戯れ言だと確信を得たのもこの旅であった。
ピンチだったのは盛りつけ、アメリカでは常識のデカ盛りの洗礼をこの時初めて受けた。そして、気ままなバイク旅であることを活かして、日本ではなかなかお目にかかれないファーストフード店にも行くことにした。
ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)にまたがり、6日間3000Km、2度目のアメリカバイクツーリングとなった。
● オレゴンは旨い!
・ベント(Bend)でのステーキとチキンのハーブ焼き
・ニューポート(Newport)でシーフード三昧
・ゴールドビーチ(Gold Beach)でシーフードの夕食
● カリフォルニアも美味しい!
・メンダシーノ(Mendocino)のホテル飯
・メンダシーノ(Mendocino)の宿の朝ご飯
・ユリーカ(Eureka)の寿司
● デカ盛りの洗礼
・深皿に盛られた5人前のパスタ
・数日分の分量に相当する中華料理
● 日本では出会えないファーストフードチェーン店
・バーガーチェーン カールスジュニア(Carl’s Jr)
・タコベル(Taco Bell)
・レッドロビン(Red Robin)
・チポトレ(Chipotle)
● オレゴンは旨い!
・ベント(Bend)でのワインとステーキ
オレゴン州のベント(Bend)を訪れた際に、街の中心街ではThe Bite of Bendというお祭りの真っ最中であった。屋台が立ち並び、子供の遊戯施設が道路に設置され、バンドの前では人々が踊り、たいした賑わいで、街あげてのイベントである。
ちょうど地ビールの屋台があり、オレゴンの夕方の爽やかな風の中で苦みに富んだフレッシュなビールがこの上なく美味しかった。屋台の周囲には小洒落たレストラン兼ワインバーもあり、この時はオレゴン牛のプライムリブステーキとお勧めに従ってオレゴンの赤ワインを注文した。ワインはテイスティングを兼ねて2ozから注文できるのが嬉しく、白ワインも試した。白ワインにはチキンのレモンハーブ焼きを合わせる。どちらの料理も焼き加減と素材の良さが抜群で大満足の食事となった。
・ニューポート(Newport)でシーフード三昧
オレゴンのニューポート(Newport)という港町ではシーフードレストラン Local Ocean Seafoods に立ち寄った。お店の前にバイクを停めたところ、テラス席をあてがってくださり、バイクを目の前にしての食事となった。バイクの向こうにはオレゴン州でも美しくて有名なヤーキーナ ベイ ブリッジ(Yaquina Bay Bridge)が見え、最高の気分の昼下がり。
注文したのは蟹のケーキ(Dungeness Crab Cakes)、これはアメリカイチョウガニの身がみっしり詰まったものを揚げて焼き目をつけている。実は、この時クラブケーキなる料理を初めて知ったのだが、この後はレストランで見かける度に注文するようにしている。こんがり焼いた香ばしさはタルタルソース不要の美味しさで、茹で蟹好きの日本人にとっては珍しい調理法でもある。
そしてメイン料理として頼んだのがFishwives Stew、漁師の妻のシチューという意味だろう。蟹、エビ、ホタテ、ムール貝にアサリに鱈をニンニクトマト味で煮込んだシチューである。ごった煮でシンプルながらお味は魚介風味が濃厚で抜群の旨さ。雑然とした盛り付けで、見た目は素朴すぎるが、素材のよさも手伝ってフレンチレストランで出されるブイヤベースのようにかなり洗練された味がした。
バイクで来られる客はあまりいないらしく、帰り際にバイクにまたがる際はテラス席のお客から注目の眼差しを浴びてしまい、少し照れくさく店を後にした。
・ゴールドビーチ(Gold Beach)でシーフードの夕食
海辺の町ゴールドビーチ(Gold Beach)では、Spinner’sというシーフードレストランを訪ねた。ワインをいただくので宿から徒歩で向かったが、田舎街にして駐車場は満車、かなりの人気店のようである。
ワインはオレゴン産の白ワインのハーフボトルがあったのでそちらを注文し、定番のクラムチャウダーを食べながらしばし料理を待つ。そして、海老がゴロゴロ、野菜も美味しい魚介のパスタをいただく。日中は散々農道もどきの道と海岸線を走ってきたので野菜も魚も美味しいのは折り込み済みである。パスタのゆで加減もちょうどよく素材の味を楽しんだ。
そして、メインはサーモン料理、焼き加減が上手で油分も控えめ、すっきりとした白ワインに合う。田舎街にしては洒落たレストランで、分量もほどほど、おかげでゆったり食事を楽した。また、海に面したレストランならではで、眺めもよく夕日が落ちる様を眺めながらの食事は格別であった。
日没後、海岸を歩きながらレストランから宿に戻る。波の音を聞き、アメリカ西海岸の美味しさと豊かさをしみじみ感じながら就寝した。
● カリフォルニアも美味しい!
・メンダシーノ(Mendocino)のホテル飯
メンダシーノ(Mendocino)では食事のないコテージ風の宿に泊まったので、のんびりした海辺の別荘地帯を散歩しながら街中に向かった。人もまばらで古風で小さな避暑地のような街である。そして建物に趣のある Mendocino Hotel & Gardenを見つけ、夕食はホテルでいただくことにした。
前菜はマッシュルームのカルパッチョで無難なお味、そしてトマトスープはホテルらしく量もほどほど味も上品である。旅の最初の頃のデカ盛りには懲りていたので、ハーフサイズの蟹のラビオリ、そしてメインは海老とホタテの串焼きを頼んだ。
噛みしめる都度、素材の新鮮さがわかる旨さで、カリフォルニアのスパークリングワインとは絶妙な相性であった。
この日もレストランからの帰りは海辺の美しい夕焼けを見ながら宿まで散歩をした。シーフードを食べて夕暮の海岸を散歩して宿に帰るという、地味に素敵なフルコースである。
・メンダシーノ(Mendocino)の宿の朝ご飯
よい宿に恵まれた旅であったが、中でも1番だったのがメンダシーノの宿(Agate Cove Inn)。宿代は少々高めだったが、綺麗な庭と素敵な部屋が自慢の歴史ある宿である。訪れてみると庭には花々が咲き誇り、それは見事な景観である。
そして、室内に入ると少々メルヘン調だが、家具もシックで薪ストーブ風のストーブや寝酒用のブランデーが備えてあったり、たいへん優雅である。
この宿の朝食は大評判であり、翌朝を楽しみにこのゆったりとした部屋で寝床についた。
そして、朝。ゆったり過ごす方が多いので、Agate Cove Innの朝食時間は遅い。たっぷり時間があるので、食堂前のデッキでちょっと冷たい朝の海風にあたりながら景色に見入ってコーヒーをいただく。いつもは早朝からバイクに跨がっているものだから、こうした穏やかな朝は久しぶりで気持ちがよい。ぼんやり景色を眺めていると、朝日を浴びた周囲の緑がいっそう青々しく映えてくる。
次はいよいよ朝食。これが期待を裏切らない素晴らしさであった。まず供されたのはリンゴのコンポート、トロトロだが、甘すぎたりはしない。
そして、手作りのソーセージにストロベリーワッフルと朝からリッチな気分にさせてもらった。
・ユリーカ(Eureka)の寿司
港町ユリーカ(Eureka)は歴史も古くオールドタウンと呼ばれる古い街並みが残った魅力的な町である。おまけにハンボルト湾はいくつもの川が流れ込みサーモンなど水産資源も豊富だ。
文化的な街だったので古書店やCDショップなどを冷やかしながら散歩していると、ちょっとモダンな外見のお店がある。中を覗くと意外や寿司屋であった。早速、入ってみると満席で繁盛店である。
板前さんはネイティブアメリカンの方や白人の方で、彼等の握る寿司はどうかなと思いきや、食べてみるとなかなかである。握りが大きいのがちょっと難ありだったが、シャリの酢の加減もよく、フンボルト湾の新鮮な素材も手伝って久しぶりの和食に舌鼓をうった。
● デカ盛りの洗礼
このアメリカの美味しい食事紹介で、なぜ盛りつけの分量をつらつら記載していたかというと、旅の初期はデカ盛りの洗礼もたっぷり受けたからであった。
・深皿に盛られた5人前のパスタ
タホ湖に向かう途中のとある町、夕食は地元のワインがたんまり楽しめそうなモーテルのそばのイタリアンレストランに入った。初日だったこともあり、カリフォルニアワインの赤白両方を楽しみたいと、12ozのプライムリブステーキ、フレッシュトマトのリングイネ、スピナッチサラダを注文した。
そうしたところどの皿も驚きの分量で、とりわけパスタは日本の通常店の5人分相当もあり、食べても食べても終わらない。しかも皿をよく見てみると、なんと底がボウル状になっていて、まだまだパスタが入っているのだ。プライムリブステーキは赤身肉の旨味も充分でワインともよく合って、美味しくはあったのだが、さすがに茹ですぎのきらいのあるパスタは残してしまった。
・数日分の分量に相当する中華料理
次に、アメリカの田舎での中華は如何なものかと、カリフォルニア州のマウント・シャスタ(Mount Shasta)で中華料理店に入ってみた。中華料理で2品だと物足りないかと思い、3品頼んでしまいとんでもないことになってしまった。ここでもまずはパスタが鬼門である。
注文した「鶏そば」のトッピングが照り焼きチキン、あっさり味を期待したのが間違いだった。しかもその鶏肉が山盛りでデンと麺の上に並んでいる。美味しいのだが飽きがくる味で、麺の量は日本人には通常の2倍もある。次に豚肉の炒め物には茶碗6杯分はあろうかという大盛りの白飯丼がついてきた。炒め物にご飯がつくとは知らずに別に頼んだ炒飯が追い打ちをかける。その炒飯も茶碗6杯分以上のご飯の量である。さすがに食べきれない。
お味のほうは悪くなく炒飯は炒め上手で美味しかったので、残りをテイクアウトさせてもらった。この残り飯を翌日アッパークラマス湖のほとりで食べた。豚肉の炒め物がなんと昨晩お店で食べた時よりも、甘さや酢の酸味がマイルドになって格段と美味しくなっていた。
● 日本では出会えないファーストフードチェーン店
せっかくアメリカを走り回るのなら、ロードサイドにある日本であまり展開をしていないファーストフードチェーンで食べようと思い、マクドナルドなどは避けて旅をした。
・バーガーチェーン カールスジュニア(Carl’s Jr)
日本には数店しかないが、西海岸ではメジャーなバーガーチェーン カールスジュニア(Carl’s Jr)。バイクで走行中にカリフォルニア州サクラメント(Sacramento)で日差しと熱波にやられて、フリーウェイ沿いの店に避難がてら入った。パテのボリュームが自慢らしく、どれもメガマックのようなメニューが並んでおり、びっくり仰天。避暑として店に入ったのも手伝って、メニューを見ただけで食傷気味になるボリューム感であった。
レギュラーのプライムリブバーガーをいただくも、折りからの暑さも手伝ってバーガー1個で十分である。むしろ喉の渇きから、1Lはあるビックサイズのカップドリンクに救われた。
・タコベル(Taco Bell)
タコベルもまだまだ日本には数店しかないが、アメリカではいたるところで見かける。トルティーヤに野菜がたっぷり詰まって、味もボリュームもなかなか。外食でなかなか摂取しにくい野菜を手軽にいただけるのがアメリカ旅ではありがたい。
・レッドロビン(Red Robin)
夜、ホテルでビールが恋しくなり、ホテルそばにあったバーガーレストランチェーンのレッドロビンに入った。ここは日本へは未進出。店内は明るく家族連れもたくさんいる、入り口付近の広いカウンター席はスポーツバーっぽくスポーツ中継のTVが並んでいた。週末を楽しむに居心地よさそうな店内である。
食べたのはBBQバーガー、他にもオニオンリング・タワーメニューやクラムチャウダーなどもあってメニューは一工夫してある。格別に美味しいという訳ではないが雰囲気が良く贔屓にされるのもわかるお店であった。
・チポトレ(Chipotle)
ファーストフードながらナチュラルな素材にこだわっているメキシコ料理のChipotle。ブリトーが主力で、具はサブウェイのようにカウンターでいろいろ選びながらオーダーする。アルコールも販売しており、ブリトーに地ビールを合わせた。例によってボリュームはありすぎだが、癖になる味でビールにも合うし、ランチでも夕食でもいける。日本で展開して欲しい筆頭のお店である。