1991年発売と30年ほど経っているマランツのCDプレーヤー、Marantz CD-72。未だにサブシステムで現役である。と言うか、先日修理してまたもや延命が確定した。トレイが開かなくなってしまい、10年近く写真のようにクリップを引っかけて手動開閉をしていた(笑)。これがなんと歯車とゴムベルトのパーツ交換だけで簡単に直すことができる。
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・CDM-4 の修理キットを発見
そろそろSACDも再生ができるCDプレーヤーに買替えようかなと思い、こちらのマランツのプレーヤーの売却を検索していたところ、なんと2000円ほどでトレイの修理キットが販売されていることが判明。内蔵されるフィリプス製のドライブメカを気に入っている人も多いようで、世界中の愛好家が自前で修理をして、使っているようだ。eBayなんかにも修理キットがたくさん出品されている。そこで以前から使っていた、このドライブメカ が生きながらえるのなら、これ幸いと修理キットを取り寄せてみた。
このCDプレーヤーに搭載されているフィリップス (Philips)製のドライブメカはCDM-4と言う。CDプレーヤーの発売時、先陣をきったメーカーがフィリップスとソニー。CDプレーヤーは、フィリップスの光学式ディスク読み取り技術とソニーのデジタル録音技術が融合してできたハードウェア。そして、その後CDという記録媒体は1982年より半世紀近く使われることになった。
また、件のCDプレーヤーのブランドであるマランツ(Marantz)は当時フィリップスがCDプレーヤーを販売する為に買収したブランドであった。その為、CDプレーヤーのディスクを駆動させ読み取るドライブメカ、正確にはスイングアームとピックアップユニットにはフィリップスの十八番の技術が反映され、当時からマランツのCDプレーヤーは安価でも優秀との評判であった。
フィリップスのメカは振動に強く、安定してデータを読み込むことから音へも悪影響が少ないとされ、自分がこれまで世話になったCDプレーヤーもPHILIPS LHH300→REVOX C221 MK2→このMarantz CD-72とすべてフィリップス製のCDM-4メカを搭載している。そんな経緯からMarantz CD-72も今やネットオーディオの時代ながらサブシステムの中で今だ現役だった。
amazonで販売中のCDM-4 の修理キット
・CDM-4 の問題点
さて、そのフィリップス製のドライブメカ CDM-4は評判がよいのだけど、どうもトレイの開閉時に使う樹脂製の歯車が劣化するらしく、動作不全に陥ることが多発しているらしい。
そこで、CDプレーヤーの本体(筐体)を開けてみた。最初に目に飛び込んできたのが、この刻印。なんとも立派な記述が誰も見ないところにしっかり描かれている。ブランドの誇り、昔のよき仕事ぶり。
そして、ドライブメカ部分に目を移すと、見事に歯車部品がモロモロと分解しており、歯車は見る影もない(笑)。さらには歯車の断片が筐体内に飛び散っていて、始末が悪い。
ピンセットで筐体内の歯車の破片を集め、修理キットの新しい歯車に変えてみた。
歯車を変えてみると、昔のようにトレイがゆるやかに開閉し始め、ずいぶんと気持ちが良い。モーター等は全く問題がなく、劣化した樹脂の歯車だけが問題だったようだ。
こうなるとMarantz CD-72を使い続けるしかない。日進月歩のデジタル-アナログ変換回路(DAC)は外付のもの使っているので、CDからデータを読み取るだけの「CDトランスポート」として使うなら、このマランツで十分。それに、他のCDプレーヤーよりも幾分音も良いような気がする。
しかし、スピーカーならまだしも、こういった駆動系の機器が30年も使えるって凄いし、フィリップスもよい物づくりをしていると思う。