オーディオシステムの変遷-プリメインアンプ編 / 究極のフルデジタルアンプ Technics SU-R1000

オーディオシステムの変遷-プリメインアンプ編 / 究極のフルデジタルアンプ Technics SU-R1000

CDプレーヤー、レコードプレーヤーと立て続けに買い替えたが、それが本領を発揮できたのは今回新しく導入したプリメインアンプTechnics SU-R1000の力が大きいと思う。今回はそのTechnics SU-R1000について感想をまとめてみた。
「よい音」の実現にむけて
デジタルもアナログも再生が楽しくしてくれたTechnics SU-R1000
日本製アンプへの交換の威力
Technics SU-R1000によって、様変わりしたレコード再生
高音質な上になんでもこなすアンプ Technics SU-R1000
システム完成後のケーブル交換の威力 Spectral / MIT

以下の続編記事になります。

オーディオシステムの変遷-パワーアンプ編 / 管球アンプからデジタルアンプへ。静電型スピーカーをドライブするには強力なパワー必要だった
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● 「よい音」の実現にむけて

自分にとってのオーディオの「よい音」とは空間表現力があることだ。オーディオにはまる動機がアムステルダムコンセルトヘボウの音を再現したいであったので、1番重視するのがサウンドステージとなる。すると、オーディオ機器の能力以前に録音が満足できるレベルでなければならない。
クラシック音楽であれば、録音を聴くと客席から鑑賞している感じであり、ステージには横一列に楽器が並んでいるのがわかる、更にステージの奥行きがしっかり感じられる。つまり、ホルンやティンパニーは舞台の奥で音が鳴っていることが、しっかり表現できている録音が好ましい。さらには音が会場に拡がっていく感じや天井から反射する様まで感じ取れるのがよい録音と考えている。

もちろん録音の現場ではマイクは複数あって、その内の多数はオンマイク、つまり楽器の近いところで音録りをしているのだけど、最後にエンジニアがホールの空間表現をしっかり描いた音盤にまとめあげる。こうした職人技がなされた音盤でなければ、いくらオーディオ機器が優れていても空間表現を再生することは難しい。

その上でオーディオに求めることは、まずは静けさである。アナログでもデジタルでも再生されていない状態ではボリューム上げても無音に近い状態であること。ノイズが混入した再生音では空間表現はままならない。ノイズが混入しないようにする為に優秀なオーディオ機器や良いケーブルが必要になるのだ。

また、デジタルアンプはこの静音性に秀でている。そして、この静けさが担保されてこそ音の解像度があがり、空間表現力ひいてはサウンドステージ(場感)得られると思う。その次に大事なのは、スピード感である。1番わかりやすいのは、金属製のパーカッション例えばグロッケンシュピール/鉄琴などはスピード感があれば、リアルかつ美しく的確に表現されるし、ドラムなども太鼓の皮の振動がわかるほどアタックの際の表現力があがる。

Technics SU-R1000
Technics SU-R1000

これら用件を満たして、我が家のオーディオを数段上に引揚げてくれたのがテクニクスのプリメインアンプTechnics SU-R1000であった。

● デジタルもアナログも再生が楽しくなった

CDが安くて困っている、どこでも投げ売り状態で1枚200~300円で手に入る。となると聴きたい音源は無数にあるので、次々手を出して部屋の一角にCDが積み上がって異常事態になってしまった。サブスクと昨今のレコードブームのおかげでCDはすっかり下火なのだけど「いやはや皆さん本当にCDいらないの?こんなによい音が詰まっているのに」とつい思ってしまう。

逆にレコード店で棚を覗くと持っているレコードが目の玉が飛び出るような価格で売られている。こちらも異常である。この高騰ぶりだと下手な株式投資よりも断然儲かるのではないか。たぶん、もう少ししたら今後はCDの初期盤の値段が上がり始めるのだろう。JAZZでは、どうもその風潮が出てきているらしく、海外の方々は日本盤に着目していると聞く。そうなってくると、再びCDプレーヤーやDACブームなんかがきたりするのだろうか。

 ESOTERIC K-03XDとTechnics SU-R1000
ESOTERIC K-03XDとTechnics SU-R1000

先だってCDプレーヤーを新しいものに交換したので、俄然CDを聴くのが楽しくなってきた。お蔵入りして久しいディスクを引っ張り出したり、新しめの録音を買い足したり、CD再生にドはまり中である。一方、レコード再生もオートアームリフトで気軽に聴けるTEAC TN-5BBを導入してから快適で、古くから所持しているLPを聴き直している。ただ、この背景にはアンプを Technics SU-R1000 に交換したことが大きい。
CD/デジタル再生もLPレコード/アナログ再生もこのアンプのおかげで見事に本領を発揮していると思われるからだ。

● 日本製アンプへの交換の威力 Technics SU-R1000

デジタルもアナログも今回の音質向上には、昨年5月に新調したアンプが日々使っているうちに安定してきたことが大きい。最近はスピーカー(Avalon Acoustics Eidolon)も新しいアンプに即応するようになじんできた気がしている。この素晴らしいアンプはなんとテクニクス/Technicsのもの、純国産品である。まさか自分がこの期に及んで国産のアンプを使うようになるとは思いもしなかった。

 Technics SU-R1000 含めてALL日本製に TEAC TN-5BB、ESOTERIC K-03XD
Technics SU-R1000 含めてALL日本製に TEAC TN-5BB、ESOTERIC K-03XD

Technicsのアンプを購入した理由は、春先にサブシステムにテクニクスのCDプレーヤー兼ネットワークプレーヤーを導入したことだった。このCDプレーヤーを使ってみて、Technicsの技術力に仰天してしまった。日本のデジタルオーディオは新時代が来た、と思うほど鮮度が高い音がする。Technicsに限らず、今日本では長年デジタルオーディオを研究されてきた方々の成果が華開いた感じでもあって、あちこちの大手家電メーカーでデジタルアンプなどを研究していた方々が独立して、デジタルオーディオの新規ブランドを立ち上げている。

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それで、メインシステムのアンプもTechnics製のSU-R1000にした。名実ともにフルデジタルのプリメインアンプで、日本企業としても、かなり意欲的な製品である。テクニクスのCDプレーヤー同様に、自然で素直な上にハイスピードで理想の音がすることを期待した。

このアンプ、世界のオーディオ界では絶対権威であるTAS (The Absolute Sound誌/米国のオーディオ誌で日本の質の低いオーディオ誌とは全く異なる)がこの機種を絶賛に近いのだから、視聴などせずに購入を決めてしまった。まあ、そもそも視聴しようにも、今やパナソニックのショールームにも展示がなく、受注生産でもあるので視聴したくともできないのが現実なのだが。

● Technics SU-R1000によって、様変わりしたレコード再生

このアンプを使ってみると、一聴してSN比が抜群に優れていて、ノイズが混入しないことがわかった。これはレコード再生でも効果を発揮していて、レコードをCD再生のように少ないノイズで再生できる。アンプに内蔵されるデジタルのフォノイコライザーも更に功を奏していて、ここまでクイックにレコードの音を拾えるのか、と新体験のレコード再生音になった。

Technics SU-R1000 を開梱
Technics SU-R1000 を開梱

このアンプの凄いところは、スピーカーとの相性を自動調整するLAPCという機能がついていることだ。これが素晴らしい音楽再生のために一役かっている。日本のメーカーらしく痒いところに手が届くというか、アンプの細かな出力設定を自動でお任せできる機能がアンプに内蔵されているのだ。そして、レコード再生も同様に、カートリッジやプレーヤーとの相性を自動調整するレコードが付属しており、このレコードを再生することによって、フォノイコライザー各々との最適な出力設定をアンプ自身がおこなってくれる。

 Technics SU-R1000付属レコードを使いLAPCの自動調整をおこなう
Technics SU-R1000付属レコードを使いLAPCの自動調整をおこなう

要するに、頭を悩ませる機器間の調整をアンプが自動でやってくれる上に、その効果は実感できるほど絶大なのである。結果的に、目の前の2つのスピーカーの外側に大きな円を描くようにサウンドステージが現れる。そして、SN比の良さ故に無音から突然大きな音像が目の前に出現する。この驚きと快感は今までのオーディオ機器では未体験だった。

言ってみればデジタル技術がアナログの諸問題を解決して、更に上に押し上げた感じなのである。それ故に、古いCDやレコード(モノラル含む)を再生しなおす日々が楽しくてしかたない。

● 高音質な上になんでもこなすアンプ Technics SU-R1000

このTechnicsのアンプ、パワーについてはデジタルアンプなのでまったく問題なく、長らく使っていた能率の低いスピーカー(Avalon Acoustics Eidolon)もやすやすと駆動させている。そして、格段にスピード感が増している。

入力端子はAVアンプ並に揃っていて、手持ちのほぼすべての機器を接続することが可能になった。CDプレーヤー(デジタル/アナログ両方)、FMチューナー、レコードプレーヤー2台、Bluetooth レシーバー、Blu-rayプレーヤー、HDDレコーダーすべてを今はつないで楽しんでいる。
そして、このアンプを通すと、これらの機器の発する音が前にも増して繊細でクリアになるのだからたまらない。また、プリ機能もついているのでサブウーファーも接続できるし、フォノ端子のひとつがバランス接続となっているのでノイズ混入に強いXLR接続でのレコード再生が可能となる。

 Technics SU-R1000の端子の多い背面
Technics SU-R1000の端子の多い背面

導入して1年ほどの間で機器間の接続ケーブルや電源ケーブルをすべて見直して設定を詰めた結果、音場が良くなって、スピーカーの外側にステージがグァーっと拡がり、ボーカルがすっぅっと中央に立ち、トライアングルなどの金属楽器の音の粒子が一段と細かくなった。中でもSACDの再生において音質向上が顕著で、良い音源の効果を最大限満喫できるようになった。

CDも映画も再生される舞台上で発せられる音がすべて聞き取れる。驚いたのはビル・エバンスのディスク、ビレッジバンガードの低い天井が見えるような気がするほど、高さの空間表現もできるようになった。凄いぜテクニクスである。Technicsと出会って本当によかった。

このTechnicsのアンプで十分なので、今まで使っていたマークレヴィンソン/ Mark Levinsonの米国製プリアンプは売却、同じく米国 NuForce社のDACやパワーアンプも倉庫にしまった。新調したCDプレーヤーやレコードプレーヤーはTEAC製にしたので、スピーカーとケーブル以外はすべて国産品になった。

● システム完成後のケーブル交換の威力 Spectral / MIT

Technics SU-R1000導入に際し、念願のスペクトラル/Spectralブランドのものを初めて入手した。スペクトラルはオーディオを始めた時から夢のブランドだったが、高嶺の花すぎて手が出なかった。それで、オーディオに手が出せないのならと、スペクトラル社のトップが自ら録音を手がけている Reference RecordsレーベルのCDやレコードばかりを購入していた。

こちらの記事のオーディオらっぱ堂の思い出にあるように、横目でSpectralの高額機器をちらちらとうらやましそうに見ていた

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しかし、ついに中古ながらスペクトラル製品を入手できた。本来はスペクトラルはアンプが有名なのだけど、いまだにアンプは手が出せないほど高価だ。それに値段が高いだけでなく、修理はすべてアメリカ本国送りで、各国の代理店にはいっさい修理させない徹底管理。買う際も修理の際も、とても納期に時間がかかるオーディオメーカーである。あまりに大仰すぎて、自分には手に余りそうである。

一方、ケーブルなら故障もしないし定評あるスペクトラルの音の設計を楽しめる。しかも、スペクトラル社のケーブルはMIT社と協同開発している。このMITのケーブルは長年ずっと使い続けている安心かつ優れたケーブルなのである。MITのケーブルに交換しただけで驚くほど音の鮮度やスピード感があがる。今まで何を聞いていたのか、これまで音のデータはどこに霧散してしまっていたのかと思うほど、情報量が増えるのだ。そこで、アンプとAvalonをつなぐスピーカーケーブルはSpectral/MIT MH-750 ULⅡ にした。

Spectral/MIT MH-750 ULⅡ 2.4m スピーカーケーブル Avalonと接続
Spectral/MIT MH-750 ULⅡ 2.4m スピーカーケーブル Avalonと接続

スピーカーケーブルに加えて、CDプレーヤーとアンプをつなぐケーブルはMIT Shotgun MA RCAにアップグレードした。半年くらいかけて、手持ちのケーブルをとっかえひっかえして様子をみていたが、この新しいアンプはもっと力を発揮できるだろうと考えて、ケーブルのグレードを更にあげてみた。

スペクトラルとMITのケーブルにはケーブルでありながら途中に小型アンプのような箱がついている。この箱が魔法の箱で、周波数ごとの信号の流れを整理する役目があるらしく、音の密度が格段にあがるしくみらしい。このケーブルを使うだけで、音場の再現度合いが高くなるので一度使ったら変えられなくなってしまった。

しかも、年々技術革新をしているようで、この箱形モジュールは徐々に大きくなってきており、今では当初の10倍くらいの大きさになっている。RCAケーブルも従来品と並べてみたところ、MIT Shotgun MA RCAの箱はとても大きくなっていた。

MIT Shotgun MA RCA と従来品
MIT Shotgun MA RCA と従来品

このRCAケーブルの交換がとても効いたようで、情報量が格段に増え、音の密度が半端なく増えた。アンプの力量がわかるとともに、2008年に導入したスピーカーもこれまで十分力を引き出していないこともわかってしまった。それほど、この一組のRCAケーブル交換の効果は大きかった。
尚、XLRケーブル(MIT Shotgun S1 Proline)でもCDプレーヤーとTechnics SU-R1000を接続も試みたが、RCAケーブルとの接続のほうが音質はよいようだ。

<<現在のシステム構成>>
・スピーカー:Avalon Acoustics Eidolon
・プリメインアンプ:Technics SU-R1000
・CDプレーヤー:ESOTERIC K-03XD
・レコードプレーヤー:TEAC TN-5BB
+Audio Technica AT33Sa
・レコードプレーヤー:LINN AXIS
+Audio Technica AT33MONO
・スーパーツィーター:Pioneer PT−R4
・サブウーファー:ELAC SUB2050

<使用ケーブル>
Spectral/MIT MH-750 ULⅡ 2.4m スピーカー Avalonと接続
MIT Shotgun MA RCA 1.0m ESOTERICと接続
SAEC DIG-4000MK2 1.5m デジタル ESOTERICと接続
SAEC SCX-5000X-X [XLR→XLR] TEAC TN-5BBと接続
MIT Shotgun AC1 電源 ESOTERICと接続
MIT Magnum AC1 電源 SU-R1000と接続

(参考)TAS / The Absolute Sound 誌の記事
Technics SU-R1000 Integrated Amplifier REVIEW by Anthony Cordesman Sep 03, 2021

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