オーディオシステムの変遷-サブシステム編 5 / Avalon Acoustics Symbol-IIを導入、アヴァロンの音に惹かれて

オーディオシステムの変遷-サブシステム編 5 / Avalon Acoustics Symbol-IIを導入、アヴァロンの音に惹かれて

長らくメインシステムでアヴァロン(Avalon Acoustics)のスピーカーを使い続け、ここに来て機器の更新やEMC電源の導入などを進めたものだから、いよいよアヴァロンの音の虜になってしまった。
やはり、音楽を聴いていると、目の前のスピーカーが完全に消えるほどのアヴァロンの空間表現に魅了されるのである。自分の求める「よい音」を再生してくれる、最適なスピーカーであることを改めて実感している。
一方で、サブシステムのKEF Q700では、次第にもの足りなく感じるようになってきた。そこで、サブシステムにもアヴァロンのスピーカーを導入することにした。
そこで選んだのが、シンボル-II(Avalon Acoustics Symbol-II)である。小型のシンボル-IIなら、サブシステムを置いている部屋にも無理なく収まり、メインシステムのエイドロンとは違ったアヴァロンの魅力を楽しめるのではないかと思った。
○ アヴァロン Symbol-IIをサブシステムに導入
○ アヴァロン創始者ニール・パテル氏のインタビューを読む
○ アヴァロンのふるさと、コロラド州ボルダー(Boulder)を訪ねた記憶
○ KEF LS3/5aは30年使った愛着から手放さない

○ アヴァロン Symbol-IIをサブシステムに導入

アヴァロンのシンボルシリーズは、独特の形をしている。細長い形状でありながら、上方にいくほどさらに細くなっている。代理店のカタログによると、このフォルムはワシントン記念塔からインスピレーションを得たらしい。

独特のフォルムのアヴァロン シンボル-II(Avalon Acoustics Symbol-II)
独特のフォルムのアヴァロン シンボル-II(Avalon Acoustics Symbol-II)

この独特のフォルムのためか、搬入時の梱包までもがちょっと独特であった。細身のスピーカーは、先端に行くに従ってさらに細くなる。そこで段ボールを絞るように巻き付け、最後に四角い段ボールでフタをしていた。

アヴァロン シンボル-II搬入時の梱包の様子
アヴァロン シンボル-II搬入時の梱包の様子

付属品として、スパイクと、それを取り付けるための台座が付いている。スパイクと台座は別パーツなので、スパイクを付けないでスピーカーを使用することもできる。

アヴァロン シンボル-IIのスパイクとスパイクを取り付けるための台座
アヴァロン シンボル-IIのスパイクとスパイクを取り付けるための台座

アヴァロンの他のスピーカーと同様に、例によってスピーカーケーブルの端子が通常の背面ではなく、底面の裏側にある。そこで取り付ける際には、アヴァロン様には寝っ転がってもらうことになる。このスピーカーは、ケーブルを交換するたびに、毎回こうしなければならない。それはメインシステムで使っているエイドロン(Avalon Acoustics Eidolon)も同じである。

アヴァロン シンボル-IIのスピーカー裏面
アヴァロン シンボル-IIのスピーカー裏面

シンボル-IIを設置してみると、この圧迫感のないデザインが意外にもよかった。サブシステムの置かれている部屋は広くはないので、このデザインは視覚的に重たさを感じさせない効果がある。スピーカーをシンボル-IIに変更しただけで、部屋がすっきりした印象になった。

冒頭で、音楽を聴いているとスピーカーの存在が消えると書いたが、この細長いスピーカーは、視覚的にも存在が消えてしまうのである。そう考えると、AV用のスピーカーとしても最適であることがわかる。映像の邪魔にならないのである。
また、以前のKEF Q700は黒色だったので、木目のシンボル-IIに替えると、さらにすっきりした印象になった。

 Avalon Symbol-IIとKEF Q700
Avalon Symbol-IIとKEF Q700

そして、シンボル-IIで音楽を再生してみると、やはりアヴァロンである。空間表現に優れ、目の前にきちんとサウンドステージが現れる。細身ながら2つのウーファーが効いており、低音もしっかり出る。小ぶりな部屋で聴くぶんには、スケール感も申し分ない。

音盤をかけてみると、もたつき感がまったくなく、キレのよい再生音で、かなり満足した。とくに、このような小ぶりなシステムだと、ピアノや室内楽の再生には申し分ない効果があった。

・ラヴェル:ピアノ協奏曲/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ピアノ:アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ

ラヴェルもラフマニノフも、第2楽章が超絶美しくロマンティックな曲である。そこにミケランジェリのピアノが加わる。一度だけ聴いたことがある彼のピアノの音とはちょっと違うのだけれど、冴えたテクニックによる演奏の醍醐味は十分に堪能できる。

1992年10月の来日コンサートチケット。例によってキャンセルとなり、会場は別日のマチネ、サントリーホールになった
1992年10月の来日コンサートチケット。例によってキャンセルとなり、会場は別日のマチネ、サントリーホールになった

○ アヴァロン創始者ニール・パテル氏のインタビューを読む

ステレオサウンド誌は、富士山マガジンサービスのサイトで電子版を購読できる。そのサンプルとしてステレオサウンド184号が無料でアップされていた。

つらつら眺めていると、アヴァロン社を起ち上げたニール・パテル(Neil Patel)氏のインタビューが掲載されていた。アヴァロンの本拠地であるコロラド州ボルダー(Boulder)へ、傅信幸氏がわざわざ出向いて取材している。

ニール・パテル氏へのインタヴュー(ステレオサウンド誌より)
ニール・パテル氏へのインタヴュー(ステレオサウンド誌より)

パテル氏は1989年にアヴァロン・アコースティクス社(Avalon Acoustics)を立ち上げた。このインタヴューでは、自身の生い立ちとともにその経緯などを詳細に語っている。

その中に、興味深い話が書かれていた。彼はエレクトロスタット(コンデンサー型)、つまり静電型スピーカーを使っていたという。そこに名前があがっているメーカーはクォード(QUAD)やマーティン・ローガン(MartinLogan)であった。

そして、静電型スピーカーのクリーンでピュアな音が気に入っていた一方で、ダイナミックレンジが乏しいことをパテル氏は指摘していた。それがアヴァロンの設立につながっている。

この部分を読んで、自分もマーティンローガンからアヴァロンへスピーカーを替えたことは、必然だったのだと気づかされた。マーティンローガンを長く使っていた自分が、アヴァロンを選ぶようになった流れは、パテル氏の想いと重なるものであり、ある意味で当然だったのである。

つまり、アヴァロンのスピーカーには、静電型スピーカーの清らかで無垢な音の流れが受け継がれている。そして、空間表現も設立当初から重視されていたということである。

パテル氏の生い立ちについては、フィラデルフィア育ちで、クリーブランド管弦楽団でセルやムーティを聴いたことなども書かれていた。幼少の頃から名門オーケストラの演奏になじみ、社会人になってからはクリーブランド管弦楽団のシーズンチケットを買っていたという。

ジャズなど他のジャンルの音楽もよく聴いていたそうで、自身でも演奏をたしなんでいたという。技術一辺倒なのではなく、再生される音楽にもとことんコミットしているパテル氏の姿は、自分のようなコンサート好きのユーザーにとっても大きな安心材料であった。

自社のスピーカーについても、興味深い発言が掲載されている。「上級機だからといってアイシス/Isisのほうがイデア/Ideaよりも優秀とは言えないのです。ムードが異なりますので」という発言である。ムードが異なるとは、善し悪しで判断するのではなく、スピーカーそれぞれのパーソナリティの違いを指しているのであって、そうした個性を大切にしているらしい。

今回導入したシンボル-II(Symbol-II)は、アヴァロンのスピーカーの中でも、サイズはもっとも小さく、価格もエントリークラスに属する。メインシステムで使っているエイドロン(Avalon Acoustics Eidolon)とは、描き出す音楽のスケールが大きく異なる。ただ、それを個性と言われれば、納得できるものがある。

小ぶりなスピーカーであっても、きちんと演奏空間を表現し、焦点も正確に合う。この表現力こそ、アヴァロンのDNAなのである。また、サブシステムを設置している部屋には、エイドロン(以前はこの部屋に設置していた)よりもシンボル-IIのほうが、はるかに収まりがよい。

○ アヴァロンのふるさと、コロラド州ボルダー(Boulder)を訪ねた記憶

アヴァロンの本拠地があるボルダー(Boulder)へは、30年ほど前に訪れたことがある。知人宅にホームステイさせてもらい、数日を過ごした。
街の雰囲気を知っていると、アヴァロン社が本社をコロラド州、しかもデンバーではなくボルダーに構えていることが、とてもしっくりくる。

このあたりは標高1600メートルもある高地で、最寄りのデンバー国際空港に降り立っただけでも、空気の薄さがわかるほどであった。それでも、高原特有のすがすがしい空気に加えて、空の色がクリアで、東京とは違って見えたことが印象的であった。空が手に届くかのようで、雲はミケランジェロの絵のように立体的であった。そんな、ひと味違う景色が思い出に残っている。
その記憶が、アヴァロンのスピーカーが醸し出す音の表現に、しっくりとリンクするのである。

コロラドの空 @Denver International Airport
コロラドの空 @Denver International Airport

知人宅では毎日のように、庭の木陰にあるバルコニーで朝食をとった。目の前にはロッキー山脈が広がっていた。日常において常に自然との接点があり、実に健やかな日々であった。

知人宅での朝食 @Boulder
知人宅での朝食 @Boulder

そして、ボルダーの街中は小ぶりながらも小洒落ており、緑がとても多かった。ゆったりと時間が流れ、食事も美味しいし、申し分のない居心地の良さであった。

ボルダーの街中 @Boulder
ボルダーの街中 @Boulder

散歩をしていると、おしゃれな古書店があり、古書だけでなく小物や絵画まで扱っていた。店内では英国人歌手レスリー・ギャレット(Lesley Garrett)が歌う「Diva: Soprano At The Movies」がかかっており、思わずスタッフにディスクを確認させてもらった。

街から少し行けばロッキー山脈である。一日かけて風光明媚な山岳地帯をトレッキングしたことも、よい思い出である。

トレッキング時のロッキー山脈の景色 @Rocky Mountain National Park
トレッキング時のロッキー山脈の景色 @Rocky Mountain National Park

ボルダーにはコロラド大学もあり、この町の人口の3割近くが学生だという。アカデミックな雰囲気を持つ街でもある。

アメリカ大気研究センター外観 @NSF NCAR Mesa Laboratory
アメリカ大気研究センター外観 @NSF NCAR Mesa Laboratory

ここには、アメリカ大気研究センター(NSF NCAR Mesa Laboratory)があり、当時最速だったクレイ社のスーパーコンピューター群を見学した。神々しく、映画の中に出てくるコンピューターのように数百のLEDが点滅している様子が印象的だった。

クレイ(Cray)のコンピューター @NSF NCAR Mesa Laboratory
クレイ(Cray)のコンピューター @NSF NCAR Mesa Laboratory

このようにボルダーは、小さいながらも非常に洗練され、大自然に囲まれた文化的な街という印象がある。
そして、大都会からとても離れた、こんな街に会社を構えているアヴァロン・アコースティック社(Avalon Acoustics Inc.)には、いまでも親近感以上のものを感じてしまう。

○ KEF LS3/5aは30年使った愛着から手放さない

サブシステムでは、スピーカーを2機種使用していた。KEF Q700(Version UP)とKEF LS3/5a Signature Modelである。今回、アヴァロンを導入したことでKEF Q700は手放したが、KEF LS3/5aは手元に残した。

 KEF Q700 (Version UP)とKEF LS3/5a
KEF Q700 (Version UP)とKEF LS3/5a

KEF Q700は鳴らしやすいスピーカーだが、アンプを新しくしたところ、微細な表現では粗が目立つようになってしまったからである。

一方、KEF LS3/5a SignatureModelのほうは、中音域の再生がたいへん上手であり、空間もしっかりと表現してくれる。サブシステムは低音をさほど重視していないので、むしろ、この耳なじみのよいモニタースピーカーの血筋を持つLS3/5aが、ちょうどよいくらいにも感じる。

それに、KEF LS3/5aは30年来使ってきたスピーカーで、自分の耳にとってもモニタースピーカーである。今や手放す気にはとうていなれない。

部屋に2機種のスピーカーを置くことは、あまりよろしくないと思いつつも、常にオーディオルームの片隅に置いたままにしてある。そして、たまに接続して、懐かしい音に触れたりしている。

このLS3/5タイプのスピーカーは、箱鳴りも魅力ではあるが、デジタルアンプにつなぐと音のキレが多少悪くなる印象もある。そこで、Audio-Technicaのインシュレーター、AT6900BRをあてがうことにした。

普段からオーディオアクセサリーの類いはあまり活用をしないが、小型スピーカーをこれ以上改善するにはインシュレーターくらいしか手がない。

KEF LS3/5aにAT6900BRを設置
KEF LS3/5aにAT6900BRを設置

Audio-Technica AT6900BRは、粘り気のあるゴムによって、スピーカースタンドにしっかりとインシュレーターがホールドされる。その上にスピーカーを載せると、音が締まり、好みの音になった。
箱の鳴りが抑制され、LS3/5aらしからぬ音になったともやや感じるが、このスピーカーが持つ表現力の、今まで知らなかった一面を聴かせてくれている。

懐かしくて引っ張り出したKEF LS3/5a
懐かしくて引っ張り出したKEF LS3/5a

<<システム構成>>
・スピーカー:Avalon Acoustics Symbol-II
・プリメインアンプ:Nmode X-PM7 MKII
・CDプレーヤー:Nmode X-CD3
・ネットワーク/SACDプレーヤー:Technics SL-G700
・スピーカー:KEF LS3/5a Signature Model
・ワンボックス・ミュージックプレーヤー:LINN Classik T
<使用ケーブル>
Spectral/MIT MH-750 ULⅡ:Avalon Symbol-IIと接続
NuForce SC-700:スピーカー KEF LS3/5aと接続
MIT Shotgun MA RCA:Nmode X-CD3とアンプ接続
MIT Shotgun S1 Proline XLR:Technics SL-G700とアンプ接続
MIT Terminator 2 RCA:Technics SL-G700とアンプ接続
Cybershaft 75Ω BNC:Nmode X-PM7 MKIIとPalladium OP17を接続
Cybershaft 75Ω BNC:Nmode X-CD3とPalladium OP17を接続
BELDEN PS9364:Nmode X-PM7 MKIIと電源接続
BELDEN PS9364:Technics SL-G700と電源接続
BELDEN PS9364:LINN Classik Tと電源接続

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