オーディオシステムの変遷-オーディオルーム編 1 / 自宅オーディオルームの反響対策|木質吸音材でスピーカーの前にコンサートホールが広がる

オーディオシステムの変遷-オーディオルーム編 1 / 自宅オーディオルームの反響対策|木質吸音材でスピーカーの前にコンサートホールが広がる

家を建てる際に、オーディオを設置する部屋について、もっともこだわったのは反響を抑えることである。そのため、天井を高くし、吸音材を設置した。例えば、マンションでは天井高こそ変更できないが、今回紹介する木質吸音材「TOPAK Q-on」は壁面に設置できるため、十分に導入可能であり、見た目も美しい。
また、壁に装着する工事となるため、費用こそそれほど高額ではないもののリフォームは必要となる。ただし、隣室への防音効果も若干ながら期待できる。
一方、音響面での工夫として、防音工事などは行わなかった。オーディオを生活の一部として楽しみたかったため、オーディオルームとして独立させるのではなく、「オーディオのあるリビングルーム」をコンセプトにしたのである。
そのため、吸音材には機能だけでなく、見た目にもこだわった。
○ オーディオのどこにお金をかけるべきか~反響を抑えた部屋づくり
○ スピーカー背後に木質吸音材「TOPAK Q-on」を設置
○ サウンドステージの表現~スピーカーの向こうにコンサートホールが広がる
○ オーディオルームをホームシアター化

–海外のコンサートホール、かつての歴史的なコンサートに誘ってくれるのが自分にとってのオーディオ。なぜ旅ブログでオーディオなのか?というお話は、こちらの記事「本場のコンサートホールを再現する」をご参照ください–

○ オーディオのどこにお金をかけるべきか~反響を抑えた部屋づくり

少し前にXにて発信した、レコード針の職人さんの工房訪問記である。高級カートリッジを手作りされている方だけあって、その制作プロセスや市場の話が興味深かった。

こちらの記事では、「オーディオのどこに一番お金をかけるといい音になりますか?」と問われ、「部屋です!」と即答している。まさしく同感である。
記事内には「反響の少ない部屋にする」とあり、実際にレコード針職人さんのお部屋を拝見すると、ラグを敷き、背面のガラス扉にはスクリーンカーテンを全面に垂らしてある。
実際、これだけの工夫でも音場感が変わるのは明らかである。逆に言えば、これくらいの工夫をしなければ、せっかくのステレオの能力を十分に引き出せないとも言える。

さらに、この方のようにスピーカーの間に何も置いていないことも、部屋に物が少ないことも、とてもよい。最近はテレビも大型化しているので、スピーカーの間にテレビを置くことは、サウンドステージの表現に影響するので避けたいところである。また、スピーカーの間にテレビを置かなくても、大型テレビの存在は部屋に大きなガラス板を置くことと同様になるので、再生音を反射し大きな影響を与える。
映画などをよい音で楽しみたいのは理解できるので、使わないときはテレビを厚い布で覆うなど、何らかの工夫が必要だろう。
さらに、テレビをあまり見ない方には、プロジェクターへの変更がお勧めである。スピーカーの間にテレビを置く必要がなくなるうえ、スクリーンを降ろすことで、その吸音効果によって、何も処理していない壁よりも反響が抑えられる効果が期待できる。

○ スピーカー背後に木質吸音材「TOPAK Q-on」を設置

そして、今回ご紹介したいのが、木質吸音材「TOPAK Q-on」。この吸音材をスピーカー背後の壁に設置してみた。

オーディオシステムの変遷 スピーカーの裏壁にあるのが木質吸音材 TOPAK Q-on
スピーカーの裏壁にあるのが木質吸音材 TOPAK Q-on

今回はメープルより少し落ち着いた「Rovere Galles 6909」という色のものを用いた。輸入元は融通の利く会社で、国内在庫がなかったため、イタリアから取り寄せてもらった。

この吸音材のおかげで、スピーカー背後の壁から反射する音を大幅に減少させる効果が得られる。公共のホールや会場で使われている素材だけに、見た目も美しく、カラーバリエーションも豊富にある。

オーディオシステムの変遷 スピーカーの背後(写真右手)は長く、対面は短めに TOPAK Q-on を仕込んだ
スピーカーの背後(写真右手)は長く、対面は短めに TOPAK Q-on を仕込んだ

○ サウンドステージの表現~スピーカーの向こうにコンサートホールが広がる

自分にとっての「よい音」とは、サウンドステージ、つまり演奏されている空間を表現できていることである。具体的には、スピーカーの前に録音会場が立ち現れる様を言う。「海外のコンサートホール、かつての歴史的なコンサートや名演に誘ってくれるのが自分にとってのオーディオ」なので、オーディオ再生を堪能するときに自分がもっとも大切にしている事柄である。

つまり、目の前にアムステルダムのコンセルトヘボウの会場がぐわーっと拡がる、教会音楽では教会の高い三角屋根に達する天井高が目に浮かぶような再現を目指したいのだ。

ハイティングによるブラームス、ブルックナー、マーラー交響曲全集
ハイティングによるブラームス、ブルックナ
ー、マーラー交響曲全集

コンサートホールでティンパニーがどこで叩かれているのか、ホルンはどこに並んでいるのか、がわかる再生が自分にとっては大事なのである。指揮者の目の前に、音の塊が漫然と鳴っているようではダメなのである。ジャズなどでは、どこにピアノやベースがいて、ボーカルがすっとマイクの前に立っているさまが浮かぶような録音が良い録音であり、それをしっかり再生したい。歌い手の大きな口がスピーカーの間に現れ、真後ろからピアノやベースががなり立てるようでは、ステレオでオーディオ再生をする意味がない。

このディスクのような会場を生々しく再現したい
Great American Songbook

以前、記事として書いた「五味康祐氏のオーディオによるレコードコンサート」にも、このサウンドステージの再現については随所に記載した。音場や音像が妙なもの、つまり聴いていて不自然に感じる音は、どうしても耳についてしまうのだ。

そして、このとき訪れた「練馬区立石神井公園ふるさと文化館」にある五味氏のスピーカー(Tannoy G. R. F. Autograph)にも、スピーカー後方にしっかりと空間を取り、空箱を置くなどの工夫が施されていた。
やはり、先のレコード針職人さんのように、まず部屋を整えることがもっとも重要なのだと感じる。

○ オーディオルームをホームシアター化

木質吸音材「TOPAK Q-on」の前には、スクリーンが下降するように設置し、プロジェクターで投影できるようにした。2チャンネルのオーディオにこだわっているため、サラウンドシステムは導入していない。そのため、完全なシアタールームやホームシアターとは言えないかもしれない。それでも、優秀録音の映画であれば、2チャンネルでも十分にサラウンド感を再現できる。

なお、この際のスクリーンは、躊躇せず部屋のサイズぎりぎりまで大きなものを選ぶのが正解だった。ホームシアターは目と画面の距離も近いため、120インチは少々大きすぎるかと思いきや、意外と目は慣れるものである。むしろ、映画館並みの臨場感が得られる。
また、プロジェクターの光はテレビのような直接光ではないため、長時間観ていても疲れにくいのがよい。映画鑑賞には最適である。専用のスクリーンを設置すると、映像もより鮮明に楽しめるので、映画好きにはたまらない。

オーディオシステムの変遷 120インチ 自動スクリーン
120インチ 自動スクリーン

<使用機器>
・木質吸音材
 TOPAK Q-on
・プロジェクター
 SONY ソニー VPL-HW50ES
※現在は、XGIMI HORIZON S Pro
・スクリーン
 KIKUCHI キクチ SE-120HDWAC

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